細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『キングスマン』のコミック・スパイ・アクションで嗤う。

2015年07月24日 | Weblog

7月15日(水)13-00 飯田橋<角川映画試写室>

M-089『キングスマン』" Kingsman / The Secret Service " (2014 ) Twentieth Century Fox Film Corporations UK

監督・マシュー・ヴォーン 主演・コリン・ファース <129分> 配給・KADOKAWA

スパイ・コミックの実写劇映画で、一応はメジャーな20世紀フォックス映画のジャジャーン・・・というタイトルで始まる。

しかし、あくまでスタンスは、あのジェームズ・ボンドを茶化したようなコメディだから、ジョン・ヒューストン監督の1967年の「カジノ・ロワイヤル」と同様だ。

あの「カジノ・・・」は、モロ、ショーン・コネリーの正統ボンド・シリーズ映画をネタにして、ピーター・セラーズやウディ・アレンなどがスパイに扮した奇作だった。

もともとはジェームズ・ボンドのリタイアしたあとのエピソードだったが、それを完全にドタバタ・コミック仕立てにしたお笑いで、当時も、かなり失笑もののオチャラケ・コメディ。

この新作「キングスマン」も、どうやらスタンスは、正統ボンド・スパイものを茶化したスタイルで、あの「スナッチ」や「キック・アス」「XーMEN」のマシュー・ヴォーン監督の世界だ。

「キングスマン」というロンドンのメンズ・ファッションの老舗は、実はドアの裏は、イギリスの国際諜報機関の裏組織で、スコットランド警察も感知しない独立エージェント。

かつて活躍して他界したスパイの息子タロンが、父の遺したバッジを持って、その組織のドアを叩いたことから、主任のコリン・ファースのアシスタントとしてスパイ修行を始めるのだ。

65年頃に、ボンド映画と対抗して作られた正統間諜映画「国際諜報局」のスパイ、マイケル・ケインは、まさにショーン・コネリーのライバルだったが、ここでも顧問として登場する。

つまり制作しているスタッフは、マジ、ボンド映画のパロディ作品のプライドで、この奇妙なスパイ・アクションを展開していくが、独特のイギリス人気風がハリウッドとは一味違う。

というのも、正統スパイ映画の流れに、「キック・アス」の劇画タッチのコミック・アクションも取り入れているので、壮絶なアクション・シーンも相当にクレイジー。

とくに、サミュエル・L・ジャクソンが演じる奇妙な悪漢が、まさに「ドクター・ノオ」や「ゴールド・フィンガー」のノリで徹底的に茶化しているので、これは、もう、笑うしかない。

おまけに両足に金具をつけたダンサー、ソフィア・ブテラのカンフー・アクションは、完全にコミック・アクションの世界で、これには007も適うまい。

もうじき、年末には、正調のジェームズ・ボンド新作が公開されるので、ここは「キングスマン」が、お笑いで稼ごうというスパイ笑戦なのである。

 

■いきなり初球からバスターでサード頭上のヒットでセカンド・エラーを誘う。 ★★★☆

●9月11日より、新宿ピカデリーなどでロードショー