●1月5日(火)11-25 二子玉川<109シネマズ・5スクリーン>
M-001『クリード・チャンプを継ぐ男』" Creed " (2015) MGM Pictures / New Line Cinema / Warner Brothers film
監督・ライアン・クークラー 主演・マイケル・B・ジョーダン 製作・助演・シルベスター・スタローン <125分> 配給・ワーナー・ブラザース映画
さて、新春第一弾の映画が近場のシネコンで、はからずもこれになったが、実は昨年の試写は、もうスタローンのボクシング映画はいいや、とパスしていた。
ところが、ゴールデングローブ賞で、スタローンが助演男優賞にノミネートされるは、試写室仲間の評価も意外に「いいよ」というではないか。
もうデ・ニーロとのご老体同士でのボクシング映画「リベンジ・マッチ」で、ああスタローンもネタ切れだなーーと思っていたので、完全に無視していたのが甘かった。
これはリタイアしたロッキーのところに、ラストゲームで激闘したアポロの、腹違いの男の子がいて、そのガキがボクシングをやりたい、と彼の店にブラリやってきた。
ま、しょうがないので、近所のジムに連れて行って、一応グラブでスパーリングをしてみたら、おおお、このガキには素質がありそうだ、と一目おいたのが前半。
どうせ苦戦して、イギリスのタイトル保持チャンプとのゲームが、ラストの見せ場になっているんだろう、と軽く流して見ていたら、おっと、後半は人間ドラマになったのだ。
というのは、実はスタローンには臓器のガンが見つかっていて、彼は化学治療のキモを拒否していたのだったことが、思わずマイケルにバレてしまう。
絶大の信用をしていたコーチの闘病を心配して、教え子のマイケルは、父親との出生の秘密を告白して、スタローン・コーチの徹底的な化学治療の延命手術を説得する。
そのシーンで、意外やスタローンは自分の人生を語り、これ以上、薬物で寿命を延ばそうとはしない心情を語る長いワンショットで、何と涙を浮かばせてしまったのだ。
これには、こちらも思わずホロリとしたが、やはりワンショットでの演技で、自分の涙を自然に流すという演技は、そう簡単に誰でも出来る芝居じゃないが、それを彼は見せたのだ。
それからは、抗がん剤の薬物障害で、髪の毛や眉は薄くなり、頬もこけてしまい、あのランボーも遂にガンには勝てないか・・・という壮絶なバトルがリングと同時に展開していく。
という次第で、弟子のボクシングをサポートする感動映画かと思っていたら、意外に骨のある人間ドラマであって、ラストの、あのピッツバーグに長い階段で、ロッキーが息切れしてしまうのだ。
いずれ人間は年老いて、40年前には、一気に駆け上がったあの長い階段が、もう登れなくなったシーンには、正直、「おつかれさま」と、声をかけたくなった。
■レフトが後逸したスキにサードまで走ったが、タッチ・セーフ。 ★★★☆☆☆
●全国でロードショー中