●12月16日(金)13-00 外苑前<GAGA試写室>
M-162『ネオン・デーモン』" The Neon Demon " (2016) Space Locket / Gaumont / Wild Bunch / Vendian Films
監督・ニコラス・ウィンディング・レフン 主演・エル・ファニング、キアヌ・リーヴス <118分・シネマスコープ> 配給・GAGA
衝撃的なロスのタクシー・ドライバーを描いた『ドライヴ』のニコラス・W・レフン監督の新作なので、狭いGAGAの試写室は、またしても開場と同時に満席。
またもロサンゼルスのハリウッド地区の、あの悪魔的な泥酔地獄を描いて、見た直後の印象は、まさにデヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」のようにクレイジー。
あの映画界のサクセス・ストーリーのように、この作品ではジョージア州から出て来た田舎娘エルが、ロスのファッション界の新人モデルとして業界で伸し上がって行く。
たしかにフレッシュな美女だが、実は整形美容で作られたプラスティック美貌であって、あの「エクス・マキナ」のミュータント・ビューティのような、人間性の欠如が無表情な、マヌカンの冷たさ。
ストーリーは毎度よく見るハリウッドの出世と転落もので、別に新しくはないが、その栄光と転落への図式が、どこかリンチや、スタンリー・キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」のようでキワドい。
そこをファッション・モデルのカラフルで、いかにもグラフィックな絵空事としてパラパラと見せて行くので、マジに見ていると、かなり危なっかしくてニセモノっぽいので面白いのだ。
ま、あの「ドライブ」で斬新なスピード映像感覚を見せたレフン監督なので、そこはハリウッドの底なしなコマーシャル地獄の裏側を華麗に見せていて、けっこう笑える愉しさがあった。
とくにモデル達の定宿ドライブインのオーナーを演じているキアヌ・リーブスが、まるでヒッチコック監督の「サイコ」のベイツ・モーテルの、クレイジーなアンソニー・パーキンスをパクっていて笑えるのだ。
ま、カラフルなファッション・モデル界の栄光と、そのあっという間の転落地獄をペラペラと見せて行く様子は、バレリーナの地獄を描いた「ブラック・スワン」とも対比されて当然だろう。
おそらく監督の狙いだろうが、主演のエル・ファニングがいかにも薄っぺらな田舎娘であって、線香花火の輝きのようにあっという間なのが、狙いにしても軽すぎた・・・のが残念。
■フラフラ上がったセカンド後方のフライを3人の野手が譲ってヒット。 ★★★☆☆
●2017年1月13日より、ロードショー