●1月31日(火)18-00 五反田<イマジカ第2試写室>
M-013『ハクソー・リッジ(原題)』"Hacksaw Ridge " (2016) Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd / Lions Gate
監督・メル・ギブソン 主演・アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン <139分・シネマスコープ> 配給・キノフィルムズ
今年もまたアカデミー賞のシーズンになって、例年高齢の「キネマ旬報」誌上での19年目の受賞予想座談会がある関係で、ノミネート作品は優先的に見なくては・・・という次第。
あの「ブレイブハート」で受賞経験のあるメル・ギブソン監督作品は、作品賞、主演男優賞などの主要6部門にノミネートされているので、とにかく百聞は一見にしかず・・。
お久しぶりのメルは、2002年にベトナム戦争でのもっとも苦戦だったというイア・ドランでの3日間の死闘を描いた「ワンス&フォーエバー」で主演して以来の戦争映画。
さすがに今回は完全に監督に徹していて、太平洋戦争でも最悪に熾烈だった、沖縄での<前田断崖(ハクソー・リッジ)>での日米の攻防戦を描いている。
主演のアンドリュー・ガーフィールドは「沈黙・サイレンス」での布教クリスチャンに似てか、絶対に他人には銃を向けないという信念を持った頑固な青年を演じて、戦場で苦戦する。
というのも、彼が志願したのは<衛生兵>で、戦場で負傷した兵士を緊急治療して専門医師のいるテントまで運ぶという難役で、戦争映画の主役としては珍しいが、これも実話だ。
前半では、その頑固な青年が太平洋戦争に志願するまでの日々と、恋人との恋を描いて、あの戦争異色作「愛欲と戦場」のような展開だが、とにかく衛生兵は敵にも狙われやすい。
それで彼は赤十字の腕章はしないで、銃弾の行き交う塹壕から負傷兵を運び、激戦地の100メートルもある断崖絶壁を負傷兵を担いで下りる、という苦難の大役を演じている。
さすがに「マッドマックス」出身のメル監督は、後半の実戦シーンはド派手な戦闘シーンを展開して、爆弾は炸裂して兵士はぶっ飛び、銃撃のサウンドは頭上をかすめるリアリティが凄まじい。
恐らくは、過去のすべての戦争映画を圧倒するような実戦が2日間も続いて、とうとう崖を占拠したアメリカ軍は、地下に無数の塹壕司令部を掘った日本軍の司令部まで戦闘を展開する。
この後半の激戦のリアリティは、さすがにハリウッドの映像とサウンドの最新デジタル技術で、もう何も考える余裕もないほどに目と耳を圧倒していくのは、さすがメル監督の男気な、ど根性。
武器を持たない兵士として、終戦後にアメリカ大統領から名誉勲章を授与された、という実話だから、この無謀ともいえる戦闘シーンは熾烈すぎるが、ま、とにかく凄まじい映像と音響だ。
アカデミー録音賞と音響編集賞は、おそらく当確だろうが、容赦なしの激戦シーンの熾烈さは、見ていて、やはり、かなりに視聴覚にはヘビーだったのも、実感だ。
■右中間を破る痛打で,一気にサードを狙いタッチをかわす走塁。★★★☆☆+
●夏には全国でロードショー予定