細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ジャッキー』は女性として最も過酷な10年間と、その生涯を閉じた。

2017年02月11日 | Weblog

2月1日(水)15-00 五反田<イマジカ第一試写室>

M-014『ジャッキー*ファーストレディ最後の使命』" JACKIE " (2016) Protozoa / Wild Bunch /Fabula Production

製作・ダーレン・アロノフスキー 監督・パブロ・ラライン 主演・ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード <99分・ビスタサイズ>配給・キノフィルムズ

ご存知、あの暗殺されたアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの奥さんで、最近までアメリカ駐日大使だったキャスリーンの母親のジャクリーン・ケネディをテーマにした映画。

伝記ではないので、その後のオナシス夫人になった経緯などは描かれていなくて、あの悲劇のあと、ホワイトハウスを退出する時のインタビューが回想ドラマ化されている。

当のジョン・Fに関しては、1963年11月22日の事件から、かなり多くの映画がドラマ化されて、オリバー・ストーン監督の『JFK』などが記憶に残っている。

悲劇の大統領として、あの事件は暗殺の関連として容疑者の「ジャック・ルビー」から、関連したドラマが多く映画化されて、「大統領の堕ちた日」や「ブラインド・ホライズン」は有名。

しかしなぜか未亡人のジャクリーンをヒロインにした映画は作られなかったのは、その後の波乱に満ちた人生の関係者などからの映画化許可取りが不可能だったからだろう。

ジャッキーを演じているナタリー・ポートマンは、つい最近「ブラック・スワン』の好演で、オスカーを受賞したばかりだが、あの時の監督のダレンが、ここではプロデューサー。

監督には、チリ出身の若いパブロ・ララインが起用されているが、以前にチリの大統領をテーマにして監督した作品が好評で、この作品での起用になったろうが当然のようにダーレン色が濃い。

プライベイトでも社会貢献活動家としても貧民救済の政治活動しているナタリーが、この作品のプロデューサーとしてもクレジットされていることから、このテーマの言い出しっぺに違いない。

映画はホワイトハウスから転居する時間での、記者のインタビューでの回想となっていて、ほとんどのシーンでジャッキーが絡んで来るという、ワン・ウーマン映画になっているのも当然だ。

どうしても、あの「ブラック・スワン」で麻薬に冒されて行くバレリーナのドラマがダブってしまうのは、ダーレンの指示もあったろうが、ミカ・レビのダークなサウンドの不気味さかも知れない。

24才の若さでJFKと結婚し、最初の子供を死産して、31才でファーストレディとなり、次男は生後3日で亡くなり、その年の11月には夫が目の前で暗殺、たった10年の結婚生活だった。

ナタリーは似ていないにしても、不運で気丈なヒロインを独演して、またオスカーにノミネートされたが、どうもインタヴュアーの演技がフラットなせいか、ドラマは盛り上がらないのだ。

ダラスでの暗殺シーンも、バート・ランカスターの「ダラスの熱い日」よりもかなりリアルに表現されているものの、やはりアロノフスキーの趣味なのか、ちょっと後味が悪いのが惜しまれた。

 

■左中間を抜くヒットだが、セカンドに滑り込み憤死。 ★★★☆

●3月31日より、TOHOシネマズ シャンテ他でロードショー