●2月7日(火)13-00 外苑前<GAGA試写室>
M-018『ライオン*25年目のただいま』"LION" (2016) Long Way Home Holdings / The Weinstein Company /Screen Australia
監督・ガース・デイビス 主演・デヴ・パテル、ニコール・キッドマン <119分・シネマスコープ> 配給・ギャガ・GAGA
サルー・ブライアリー著の原作「25年目の<ただいま>5歳で迷子になった僕と家族の物語」は、驚くべき自身の奇跡的な人生の体験を書いたベストセラー小説。
その実話をもとにして、あの「英国王のスピーチ」の製作陣が、オーストリアの女優ニコール・キッドマンなどのキャストで、実話と同じインドとオーストラリアで撮った再現ドラマ。
呆れるような真実のストーリーを忠実に映画化したこの作品は、今年のアカデミー賞で作品賞を含む6部門でノミネートされていて、26日の結果が注目されている。
1986年のインド、ムンバイの東北に位置するカンドワという村に住む5歳のサルーは貧しいシングルマザーの4人の子供のひとりで、いつも兄弟で遊び回っていた。
極貧の住民たちの田舎町には仕事もなく、兄は深夜のアルバイトでささやかな食費を稼いでいたが、サルーは兄の仕事中に停車していた回送列車の中で眠ってしまったのだ。
気がつくと回送列車はノンストップで終日走り、やっと夜になって停車したのは、インドの東、バングラデシュに近い貧困の犯罪都市コルカタだったのを、彼は知る由もない。
浮浪者たちと路上で暮らすが、どうして家族のいるカンドワまで帰ったらいいのか・・・、身分証明も金も知人もいないサルー少年は、とにかくホームレス達と同様の生活となる。
結局は当局の浮浪者収容所に護送された挙げ句に、身元不明の迷子として施設に入れられた後に、里子としてオーストラリアの南の島タスマニアの夫婦に引き取られてしまった。
そして25年後になって、メルボルンの大学でホテル経営を学んでいた30歳になったサルーは、どうしても産みの母親や兄たちに会いたくて、自分の記憶を頼りにネット検索をしたのだ。
正確な住所や所番地は記憶にないし、成人したデヴは大学のPCを使って、<Google Earth>の<地図の旅>というサイトの移動上空撮影のスクリーンで少年時代の記憶を辿って行く。
ま、いまだからこそ可能な検索方法だが、むかしなら「母を探して3千里」のように、自分の足と目で探さなくてはならないが、いまでは<グーグル>という文明の利器がある。
1992年のアルゼンチンのフェルナンド・E・ソラナス監督の「ラテンアメリカ光と影の詩」では、パタゴニアからメキシコまで少年が父親を自転車で探した名作があった。
それに比較しては無駄だろうが、どうも<グーグル>の宣伝映画のような後半の美談印象になったのは、惜しまれたが、最後にタイトルの「ライオン」の意味には驚いた。
■ゴロの打球が左中間でイレギュラーする間にツーベース。 ★★★☆☆
●4月7日より、TOHOシネマズみゆき座などでロードショー