●2月15日(水)12-30 日比谷<東宝本社11F試写室>
M-020『3月のライオン<後編>』(2017) 東宝映画、アスミック・エース、ROBOT,朝日新聞、電通、KDDI、白泉社
監督・脚本・大友啓史 主演・神木隆之介、有村架純 <136分・ビスタサイズ> 配給・東宝、アスミック・エース
前編の試写を午前中に見て、30分の休憩軽食時間を挟んでの連続試写は、まるで高校時代の授業のようで気持ちが焦ってしまう。
たしかに前編の余韻が残っているアタマなので、映画のリズムには入りやすく、昨年の「64ロクヨン」のような、一種の親しみは持続するのはいい。
しかし、とにかく<将棋>はやったことがなくて、あの駒の持つ強さとか役割を知らない無知な当方としては、チェスのボビー・フィッシャーの強さが判らない気分と同じ。
ただ羽海野チカの国民的な人気コミックのロングランの魅力は、むしろ神木くんが少年から青年へと、人間的に独り立ちしていく精神過程の進化を見て行く楽しみもあるのだろう。
あの「るろうの剣心」でヒットした大友監督が長編ニ部作に映画化に挑戦したのも、その辺の若々しい青年の進化を見極めてみよう、とした辺りで、ただの勝負師映画にする気はなかったろう。
隅田川の近所に住む和菓子屋さんと、その家族姉妹たちは、神木くんの将棋の成長には直接には絡まないが、この後編では、長女の有村の男性関係等でドラマが複雑になってくる。
という次第で、後編の目玉としては、情報がまだ解禁されていない有名俳優が、その和菓子屋の一家のドラマに介入してくることになり、いよいよホームドラマは厚みが出てくるのだ。
やはり盛岡一高の後輩監督の新作なので、後半の将棋の名人戦の会場が、盛岡市の郊外にある御所温泉の<ホテル大観>になるというサービスがあり、谷藤市長までが登場。
ま、この辺は、監督のふるさとサービスだろうが、いよいよ将棋の天才、加瀬亮との対決が迫って来る・・というクライマックスは、さすがに<和>の世界を強調した演出が静粛だ。
将棋に無知な当方としては、これを勝負師のサクセス・ストーリーとして見ているだけで、なにがどう勝負を決めたのかがわからない悔しさは、この後編では募って来る。
多くの原作コミック・ファンや、将棋の醍醐味をご存知の方には、この作品の細部がよく理解できるだろうが、当方はただの傍観者レベルだったことは、お恥ずかしい。
■前進守備のセカンドの頭上を越えるバスター・ヒット ★★★
●4月22日より、<後編>東宝系でGW公開。