●2月22日(水)12-30 六本木<アスミック・エース試写室>
M-023『バーフバリ*伝説誕生』" Baahubali : The Beginning " ( 2015 ) Arka Media works Property / India
監督・脚本・S.S.ラージャマウリ 主演・プラバース、ラーナー・ダッグバーチィ <138分・シネマスコープ> 配給・ツイン
異文化映像体験という意味では、世界最高の観客動員数を誇っているという噂の<ボリウッド>製インド映画だが、かなり荒唐無稽で奇妙奇天烈。
話は<ジンギスカン>のような、伝説の戦闘士の、祖父、父、そして息子という三代にもわたる壮大な歴史大作であって、ま、どこの国にもあった伝説だ。
まるで昨年公開されて好評だった「ジャングルブック」のように、敵兵たちに滝に追いつめられた母親が、胸に抱いていた少年だけは奇跡的に生き延びて、村人に育てられるという導入。
まさに「ターザン」のように、幼児は野性の少年となり、逞しい青年は屈強な戦闘士へと成長していくが、その成長ドラマ展開はミュージカルから大掛かりな戦闘大作へと変貌していく。
あまりインド映画というのは見るチャンスがないが、とにかくホームドラマからラブスーリーとなり、アクションとミュージカルが混沌とした五目チャーハン状態になるのは毎度同様だ。
「マッキー」や最近公開された「PK」の世界的なヒットを凌いで、この作品は3年の歳月をかけて作られた2部作となる戦闘大河ドラマなのだが、インドの歴代最大のヒット作だという。
主演のプラバースも、「グラディエイター」のラッセル・クロウのように、ムキムキな不死身の筋肉マンを演じていて、まあ・・・よくぞ暴れ回る。
ま、見ていて歴史大作の「ベン・ハー」や「クレオパトラ」のようなCG処理による壮大な人海によるモブシーンは凄まじいが、その途中にも唄や踊りのミュージカル・シーンがカットインしてくる。
それはインド人の国民的な趣向であるらしく、われわれのように文化生活の様式として整然とした家屋や食事の趣味性とかスタイルはおかまいなしの、まさに<ごった煮>のような感覚には閉口する。
というか、インド映画を見るには、あの「スラムドッグ・ミリオネア」のような、まさに大学の学園祭感覚の雑居趣向にどっぷりと浸らないと面白くはない、というクレイジー感性が問われるのだ。
従って、後半の戦闘シーンのハチャメチャさは、あの秀作「マッドマックス・怒りのデスロード」の後半の追撃シーンのように、リアリティーなどは糞食らえ的なお祭り感覚で暴走する。
それを覚悟で愉しまないと、このインド映画のドンチャンお祭り騒ぎは面白くはなるまい。
■でかいファールフライだが、ライトがフェンスギリギリでキャッチ。 ★★★
●4月8日より、新宿ピカデリーなどでロードショー