●3月17日(金)13-00 神谷町<ワーナー・ブラザース映画第2試写室>
M-033『夜に生きる』" Live By Night " (2017) Warner Brothers Studio, Appian Way Studio, Parle Street Productions
製作・レオナルド・ディカプリオ 監督・主演・ベン・アフレック、クリス・クーパー <129分・シネマスコープ>配給・ワーナー・ブラザース映画
あのクリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」や「シャッター・アイランド」などの人気作家デニス・ルヘインの原作を、作家自らディカプリオと共同で製作。
という、かなり男気の強い連中が、1930年代アメリカの、あの禁酒法時代のボストン旧市街を舞台にしたマジ・ギャング映画で、キャグニーやボギーなどの再現ドラマとなる。
「アルゴ」でアカデミー作品賞も受賞したベン・アフレックが、またも監督主演なのだから、まさに久しぶりな本格ギャング映画の復活・・・という次第だ。
もともとワーナー・ブラザース映画は、30年代から40年代にかけては、シカゴの密売酒ギャングたちの映画を量産にて多くのスターを生んだ老舗の専売特許なのだ。
つい最近でも「ブラック・スキャンダル」では、ジョニー・デップがハゲ頭のギャングを演じて凄みを出していたが、これは従ってワーナー社自慢の伝統ブランド。
もともとは警察署長の息子だったベンは、アウトローの世界に憧れて、世の常のように父親に敵対したショーバイで反抗してひったくられて、フロリダのタンパにしけこむ。
タンパといえば、メジャー・リーガーのキャプ地でいまは有名だが、もともとはキューバやメキシコなどの密入国者たちギャングの温床で、テキーラやラム酒の密売拠点だった。
リノ・ヴァンチュラ主演の傑作「ラムの大通り」なども、メキシコ湾岸で暗躍する悪党連中のギャングものだったが、ここではベンが監督業も兼ねての悪役でクールに凄んで見せる。
ま、シカゴよりは明るいフロリダのギャング映画なので陽光が眩しいのにW、このギャングたちも夜のショーバイなので、タイトルのように夜光虫のように暗がりで撃ち合う。
あくまでタイトルは、夜中の商売というのではなくて、暗黒街での密造酒販売を主とした連中だから、あの「華麗なるギャツビー」のレッドフォードやディカプリオのようにおしゃれだ。
今年のアカデミー賞では、弟のケイシー・アフレックが受賞したので、兄貴のベンも会場では苦笑いしていたが、この兄弟も弟の方が芝居は上手で、ベンは演出業はマズマズ。
派手な銃撃戦のシーンでは、さすがにプロデューサーたちの背後の視線を感じたのか、なかなかスリリングな演出の切れ味は見せるのだが、肝心の俳優としては相変わらずのダイコン。
オールドファンならば、キャグニーやボギーや、エドワード・Gたちの面構えで見たかった、・・・と悔しがる久々の本格老舗ブランド自慢の、専売ギャング映画だった。
■フルカウントから豪快な左中間へのフライが上がりすぎて、フェンスに当たりツーベース。 ★★★☆
●5月20日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー