細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『スウィート17モンスター』は学園ハミだしセブンティーンの元気な日々。

2017年03月25日 | Weblog

3月23日(木)13-00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>

M-034『スウィート17モンスター』" Sweet 17 Monster " (2016) Stage 6 Films / STX Financing, LLC / Huayi Brothers

製作・ジェームズ・L・ブルックス 監督・脚本・ケリー・フレモン・クレイグ 主演・ヘイリー・スタインフェルド <104分・ビスタサイズ>配給・カルチャヴィル

これまた<モンスター>映画で、あの「キャリー」や「エクソシスト」などのような少女モンスターが出現する恐怖映画かと期待したが、完全にこちらの、オオボケ早とちり。

まったくバケモノも<ポケモン>も出ない、すこぶる健全な<スウィート・セブンティーン>の学園青春映画で、どこにも妖怪変化も発狂奇人も出て来ない、健全ホームドラマ。

あの名作「愛と追憶の日々」や傑作「恋愛小説家」を監督したジェームズ・L・ブルックスがプロデュースしているので、これは実に<マトモ>なるアメリカン・ガールの青春日記なのだ。

ま、どこの親でも、17歳になる青春期の少女は<モンスター>に見えるものだろうが、たしかにこのヒロインのヘイリーは、かなり自己主張の強い、元気すぎるビッチには違いない。

ごくありがちなアメリカの中流家族に住むヘイリーは芳紀17歳のハイスクール・ガールだが、親友が、こともあろうにハンサムな兄貴と、何と恋仲になったことからクレイジーとなる。

ぐうたらな母親に不満を持っているヘイリーは、父親がいないので、学校の中年教師のウディ・ハレルソンに何かとちょっかいを出しては相談相手になっているが、このウディがいいのだ。

「ナチュラル・ボーン・キラー」で強烈なワルを演じたウディは、そのイメージのせいか悪役が多いが、ここでもワケあり風なセンセーを演じていて、その冴えないセンセ風采が実に好感である。

だから家族に不満だらけのヘイリーは、何かとウディ先生に相談するのだが、この関係のアンバランスながら心地いい友情があって、この作品を味のアル<モンスター映画>にしている。

とにかく脚本と人物設定がいいのだが、やはりジョエル・アンド・イーサン・コーエン兄弟の「トゥルー・グリット」という、あのジョン・ウェイン西部劇のリメイクで光ったヘイリーが好演。

何しろ、あの映画で、いきなり14歳でアカデミー助演女優賞にノミネートされたという<モンスター>少女女優なので、この作品のヒロインとしても完全に作品をリードしてブレないのだ。

学校一のイケメンなボーイが、実はエッチな不良だったり、言いよって来た香港ボーイが超リッチだったり・・・とにかくヘイリーの青春は想定外なトラブルが続出して、ドラマは飽きさせない。

というワケで、怪獣やモンスターは出て来ないが、現実に不満だらけの女子高生には、これはハートフルな応援歌映画であることは間違いない、おすすめだ。

 

■前進守備のサードの後方に落ちたポテン・ヒット。 ★★★☆

●4月22日より、ヒューマントラストシネマ渋谷他でGWロードショー