細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『世界にひとつの金メダル』を獲得するまでの、人馬一体の強い情熱と呼吸。

2017年05月12日 | Weblog

5月4日(木)13-00 二子玉川<サンセット傑作座・自宅>・サンプルDVD

M-053『世界にひとつの金メダル』" Jappeloup "( 2013) ACAJOU Films / Pathe Production, Orange Studio, TF1 Films

監督・クリスチャン・デュゲイ 主演・脚本・台詞・ギヨーム・カネ、ダニエル・オートゥイユ <130分・ビスタサイズ> 配給・レスペ

1988年9月の韓国ソウル・オリンピックの馬術による障害飛越競技で、実際に金メダルを受賞した、フランス代表の馬術ピエール・デュラン選手の、その苦節の栄光までを描いた作品。

というと、何やらNHKの教育チャンネルによるドキュメンタリー映画のような感じで、ちょっと引いていたら、その新作サンプルDVDが郵送されてきたので、さっそくGW中に見た次第だ。

たしかに苦節と栄光までの、人馬一体となった作品だが、実はよく脚色されたヒューマン・ドラマであって、ただ、人間のチームワークだけでは成立できないシンプルな感動があった。

ここで主演の乗馬騎手に扮しているギヨームは、ご自身が乗馬一家の家族に生まれたために、幼少のときから乗馬に親しんでいた、というキャリアがあってこその実現映画化。

普通にこの感動ドラマを映画化するのなら、オリンピック直後の1990年代でも出来たはずだが、ほぼ30年も後になっての、この映画化というのは、当然、ギヨームならではの企画なのだ。

フランスのドルドーニュ地方に住む、久々の、名優ダニエル・オートゥイユの演じる農園家族は、庭には乗馬障害のフェンスがあって、幼少のころからギヨームは熱心な父親の特訓を受けて上達していた。

しかし、どこの家族にも問題はあり、息子は都会に出て、弁護士になる資格を得て、かなりのエリート・ロイヤーに成長していたが、その途上で、やはり父の夢の乗馬を引き継ぐことにした。

気性の強い若い飼い馬を調教して、しだいにギヨームとその馬も呼吸が合うようになったが、そう簡単にはオリンピックの舞台に出られるほど、この馬術競技の世界も甘くない。

という次第で、あのエリザベス・テイラー主演「緑園の天使」や「シービスケット」のように、多くのトラブルを乗り越えて、緒戦を人馬一体で勝ち抜いて、とうとう84年のロサンゼルス・オリンピックに出場。

もちろん、主演のギヨームはすべての乗馬シーンを自分でこなして、多くの障害物を飛び越えて行くシーンは、さすがに<本物>なので、これまでに見た事のないリアルな爽快感があって、美しい。

ドラマの中では、おおお、あの名優ジャン・ロシュフォールや、ドナルド・サザーランドまでが特別出演していて嬉しいが、とくにオリンピック障害レースのシーンは、かなり迫力あり見応え充分だ。  

とくにスケールの大きなオリンピック・スタジアムでの乗馬シーンは、やはり劇場のビッグ・スクリーンで、もういちど見てみたい。

 

■センターをオーバーしてフェンスまでのツーベース。 ★★★☆☆+

●6月17日より、シネマート新宿他でロードショー