細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『オラファー・エリアソン視覚と知覚』の不思議な都市アート感覚の妙。

2017年05月24日 | Weblog

5月22日(月)13-00 渋谷<映画美学校B1試写室>

M-059『オラファー・エリアソン視覚と知覚』" Olafur Eliasson =Space is Process " (2009) Jacob Jorgensen JJ Films / Ficka Denmark

監督・ヘンリク・ルンデ、ヤコブ・イェルゲンセン 出演・オラファー・エリアソン <77分・ビスタサイズ> 配給・フィッカ

あなたはオラファー・エリアソンをご存知ですか?

おそらくアート関連の画商や美術出版関連のお仕事や、美術大学の講師や学校関係者と、その熱心な美術大学生なら、このデンマーク出身のアーティストの存在と有名をご存知だろう。

わたしも、かつては和田誠さんの後輩として多摩美術大学の図案科に通学して、そのまま銀座でグラフィック・デザイナーとして、停年まで勤務したというキャリアがある。

映画やジャズは趣味だったが、御託を並べて評論を書いたり、しゃべったりしたので、こうして映画に関するブログを書いているが、自分ではアーティストだと自覚したことはない。

ただし、そうしたアートワークの周辺で仕事をして、多くの有能な作家諸氏との交際もあったので、普通のひとよりは、少しは<アート>に近い位置にいたのは事実だ。

かといって画商のような才覚もカネもないので、こうして見た事もない外人アーティストのアートワークには、懲りもせず興味はあるが、あまり有名芸術家には接触がない。

だから、このオラファーというアーティストのことも、試写状が来る迄は知らなかったし、従ってモダンアートやら、有名美術家の展覧会にも、ご無礼ながら興味はないのだった。 

つまり、何も知らないで展覧会を見た人間の気分なのだが、この北欧の作家が何をしようとしているのか・・・?という疑問が、映画のミステリーとして興味はあった。

ま、マンハッタンは大好きなので、あそこのイーストリバーに、<滝>を作るという発想には呆れてしまったが、まるで壮大な都市開発事業計画のように、多くの人材が動くのには呆然。

意表をついた発想ではあるものの、これだけ多くの建設作業人やブレーンを駆使して、まるで新しい建築物を作るようなエネルギーとマネーゲームには、ただ呆れてしまった。

オラファー自身の自信過剰な発言や行動力が、現在のモダン・アート界を刺激して引導するのだろうが、あのスノーデンのような雄弁過剰な行動力には、ちょっとロック・アーティストのような軽さがウザかった。

 

■バスター・ヒット狙いで強打したが、ファースト正面。 ★★☆☆

●8月5日より、渋谷アップリンク他でロードショー