細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『工作』韓国と北の接点を模索する、ひとりの<スパイ大作戦>

2019年07月01日 | Weblog

6月25日(火)12-30 六本木<アスミック・エース試写室>

M-046『工作<黒金星と呼ばれた男>』"The Spy Gone North" (137分)シネマスコープ・CJ Entertainment、韓国

監督・ユン・ビョンビン 主演。ファン・ジョンミン 配給・ツイン

まさに今や、アメリカのトランプ大統領が、南北朝鮮の両首脳と手を取り合って会見をするニュース映像を見ると、これはまるでフィクションのようだ。

たしかに南北朝鮮が38度線で分断されて、日本ロケしたウイリアム・ホールデンが戦死する「トコリの橋」などを見ていた時代がウソだったような現実。

しかしこのスパイ工作映画は、たった1995年以後の話しで、韓国スパイに仕立て上げられたファンが、一種の産業スパイとして北との交流するルートを見つける。

多くの疑惑の難関を凌いで行く作品は、まさに産業スパイのようにサスペンスに満ちていて、まったく戦時の後の両国間の産業戦争には興味もないのだが、テンポはいい。

どこまでが真実で、どこがフィクションかは、当時の両国間の情勢に詳しい先生にお聞きした方がいいだろうが、それは別として、娯楽スパイ映画としては面白い。

あのクルーゾオ監督の「スパイ」や、ウィリアム・ホールデンの「偽の売国奴」、リチャード・バートンの「寒い国から帰ったスパイ」よりは、テンポも上々。

全編、ニコリともしないで、個人感情を封じてしまったような、マジ一点の青年ファン・ジョンミンもなかなかの好演ぶりで、映画を面白く回転させていく。

現実の政治情勢とは関係なく、南北の対立は、あのドイツの東西対決の時代がウソだった様に、これもいずれは笑えるサスペンスになってほしい

 

■レフトライナーを野手がファンブルする間に、セカンド・セーフ。 ★★★☆

●7月19日より、シネマート新宿他でロードショー6月25日(火)12-30 六本木<アスミック・エース試写室>