細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ブラインドスポッティング』の監視つき仮釈3日間の黒人青年の挙動。

2019年07月13日 | Weblog

7月5日(金)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-049『ブラインド・スポッティング』"Blindspotting" (2018) Oakland Moving Pictures LLC.

監督・カルロス・ロペス・エストラーダ 主演・ダヴィード・ディグス,ラファエル・カザール <95分・ビスタサイズ>配給・Regents

サンフランシスコの湾から東に位置する<オークランド>という街は、東京で言えば<川崎>のような位置関係にあって、とくに観光地でもない。

いちど、クリント・イーストウッドの長男のカイルが、ジャズのライブ出演で東京に来たときに、インタヴューしたチャンスに、この街の話しが出た。

長老のクリントは、サンフランシスコから100キロ程南に位置する、<カーメル>という小さなステキなビーチタウンの市長もやったことがあった。

ビーチに近いゴルフ場やテニス・コートも隣接する、いかにも<カリフォルニア>という印象のステキなエリアを所有しているクリントはレストランも経営。

しかし、長男のカイルは、父親のクラブハウスには住まないで、内陸に100キロほど入った<オークランド>に住んでいると、照れながら言っていた。

ま、野球場もある若者の街だから、オヤジのクラシックなフラットハウスよりは、オークランドの方が活気があっていいのだ・・・と、カイルは豪語していた。

この映画はその街が舞台になった、やはり若者たちの好きそうな雑居シティで、マンハッタンから離れた<クイーンズ>のような賑やかさは若者の趣味に合うだろう。

映画はそのオークランドで、仮釈放になった黒人の若者が、保護観察というのか<指導監督期間>の3日間の話しで、周囲からのヤバい誘惑に勝つ迄のストーリー。

たしかに、この雑居都会の雑然とした風景と、犯罪の悪臭は危機一髪のテンションがあって、オヤジのヒット作品「ダーティ・ハリー」のシスコほど美しくもない。

つまり、いかにも犯罪の温床のような悪臭を放つ街で、この保護観察中の黒人の若者が、いかに更生していくか・・・というのはサスペンスがある。

無名の若い黒人をメインにして、それを囲む白人の友人や街の喧噪が、いつでも青年を犯罪の世界に引き戻すのかという、危機感と友情に包まれた異色の力作だ。

 

■センターの手前でワンバウンドした打球がフェンスへ、ツーベース。 ★★★☆☆

●8月30日より、渋谷シネクイント他でロードショー