細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『荒野の誓い』で再現された本格ウェスターンの荒涼なプライド。

2019年08月01日 | Weblog

7月22日(月)12-30 築地<松竹映画本社3F試写室>

M-055『荒野の誓い』"Hostiles" (2018) Waypoint Entertainment, Bloom a le Grisbi Productions

製作・監督・脚本・スコット・クーパー 主演・クリスチャン・ベール,ロザムンド・パイク <135分・シネマスコープ>配給・クロックワークス

実に夢に見るような、まさに白日夢のような本格的な<西部劇>であって、少年時代にウェスターン映画で育った当方にとっては、往年の旧友に会う気分。

あのクリント・イーストウッドは、イタリア製の<マカロニ・ウェスターン>で育ったキャリアなのだから、本格西部劇というのは、実に70年ぶりか・・・。

と、半信半疑で見始めたのだが、30分もすると、この若きスコット・クーパー監督も、かなりの<西部魂>を持っている血統のキレものなのが判って来る。

話しは1892年という西部が本格的に開拓しせ白人社会が軌道に乗った始めの頃、捕虜にしていたシャイアン族の長老がガンの末期となり、故郷に戻すことになった。

軍人のクリスチャンは、インディアンと戦った武勲の大尉なのだが、北部モンタナ州のシャイアン族の保護区まで、この病気の老酋長と一族を護送することになった。

まだ凶暴なインディアン達が、少人数ながらゲリラとなって襲撃するという危険な旅路のなかで、襲撃に遭った開拓者家族の離散したロザムンドなどを同行。

かなり危険な状況で移動するという、これはまさに<マジ西部劇>であって、こうして危険な西部の荒野を旅する状況の映画を見るのも50年ぶりぐらいだろうか。

もちろん、当時の多くの傑作はDVDでコレクションしているオールド・ファンなのだが、やはり大きなスクリーンで<ウェスターン>を見る快感は涙も出てしまう感動。

そのノスタルジックなスクリーンの景色も、かなり人種感情を考慮しきったスコット・クーパー監督の演出は、あの傑作「クレイジー・ハート」をクリアしていくのだ。

ニヤリともしないで過酷な使命を続けるクリスチャンの軍人も、あの西部魂を匂わせて、あの砂埃のザラついた感触まで思い出させるような砂塵を感じさせる。

はからずも、久しぶりの本格西部劇の眩しさには、ついホロリとしてしまった、これは懐かしくも逞しいウェスターンの再登場、心から<おみごと>と言いたい。

 

■文句なしの左中間スタンド中段へのホームラン。 ★★★★★+*

●9月6日より、全国ロードショー