細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『WAVES』は、英語表示のままの、マイアミ・ブラック・ラブストーリーズ。

2020年02月19日 | Weblog
●2月12日(水)12-30 六本木<アスミック・エース試写室>
M-012『ウェイブス』"Waves" (2019) A24 Distributions, Phantom Films, Waves Movies.
監督ー脚本・トレイ・エドワード・シュルツ 主演・ケヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル <135分・ビスタサイズ>配給・ファントム・フィルムス
一種のオムニバス・ラブ・ストーリーであり、そのエピソードによっては、出演者から演出も、そして音楽の感覚も変わる・・という<カメレオン・ムービー>。
とはいえ、監督の趣味性でスタイルは青春映画、といえるだろうが、あの「ムーンライト」や「レディ・バード」などを製作した、<A24>の新作。
年中、陽光のマイアミが舞台の背景なので、あのウィレム・デフォーが主演した2018年の「フロリダ・プロジェクト」に似ているが、こちらはブラック系。
というだけに、ロケーションも陽光が明るいが、終始バックで流れているサウンドが、黒人系のリズムなので、ある種、青春ブラック・ミュージカルでもあるようだ。
若い黒人のハイスクール生のケヴィンは、髪の毛をホワイトにしている学生レスリングのスター選手で、映画の前半は彼のストーリーで、後半は妹のエピソード。
ごく平均的な黒人兄弟の、それぞれの青春をスケッチしているが、とにかくそのバックに流れるサウンドが多様で切れ目がないので、ミュージック・ビデオのような味。
という意味では、深刻な犯罪映画の多い、アメリカ白人系の多くの作品の中で、これはかなりユニークなブラックの兄弟ダブル・ラブ・ストーリーといえよう。
曲の中には、ダイナ・ワシントンとか、なぜかグレン・ミラーの曲もかすかに聞かれるが、ほぼ今のブラック・ミュージックをリードするアーティストの曲が満載。
31曲ものブラック・サウンドが、まさに切れ間もなく聞こえているので、これは新種のミュージック・ビデオの劇場版と言った方が聞こえはいいだろう。
マイアミのハイスクールがバックなので、その体育館とか通学のラジオからは、常時、サウンドが流れている・・・という意味では、いまの<ミュージカル>なのかな。

■平凡なレフト前のヒットだが、野手がポロしてツーベース。★★★+
●4月10日より、ロードショー