●2月18日(火)10-00 六本木<キノフィルムズ試写室>
M-015『アンティークの祝祭』"La Derniere Folie De Claire Darling" (2019) Les Film du poisson, France 2 Cinemas. Uccelli Productions.
監督・脚本・ジュリー・ベルトゥチェリ 主演・カトリーヌ・ドヌーブ、キアラ・マストロヤンニ <94分・シネマスコープ>配給・キノフィルムズ
実にこれは、ある意味ではシリアスなテーマであって、誰でもいつかは迎える自分の死期に、自分の生きて来たコレクションを処分する訣別がテーマ。
誰でも、いつかは迎える死というのは、ただ自分の生命が終わってしまうのではなくて、家族はもちろん、自分の生きて来た<私財>というものの存在がある。
<遺産>といわれるような、普遍の価値のある不動産とか、価値観の変わらないお宝ものならば、<鑑定家>という専門家がいて、金銭化も可能であろう。
しかし個人的な趣味の品物や、日記類のようなものは、金銭的な価値もなくて<ゴミ>として残ることになり、家族はその処分に苦慮することになる。
考えようによっては、人間、誰でも迎える<死期>が判っていれば、家族とも相談するだろうテーマだが、この作品のヒロイン、ドヌーブは個人で判断する。
そして趣味で長年集めていたアンティークな置物や食器や家具などを、ある晴れた休日に、屋敷の庭に展示して即売しようという、かなり深刻なテーマだ。
それを聞いて、別れて生活していた娘が、心配してやって来るが、この娘が以前にマルチェロ・マストロヤンニとの間に出来ていたキアラが扮している。
だから、かなりドヌーブとしても個人的な家族の問題も抱えたテーマとなるわけで、背景は深刻だが、作品は「田舎の日曜日』のように、のどかなものだ。
テーマの奥にある金銭問題は、じつは重大であって、軽く、ほいほいとキャッシュで即売できるような<ガレージ・セール>ではないが、そこは軽く描いて行く。
つまり見ていて、案外に軽いホームドラマのテーマのようだが、実際に個人的なテーマに置き換えると、かなり重い問題も含んでいる異色のテーマだろう。
あの「シェルブールの雨傘」から、実に多くのフランス映画で出演して、個人的にもお会いしたことのあるカトリーヌも、もう、この決断か、と思うと、ツラいなーーー。
■セカンド後方のフライだが、センター前のポテン。 ★★★☆
●4月下旬より、シネスイッチ銀座でロードショー