細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ロング・グッドバイ』はネコ好きマーロウ探偵のキャット・ウォーク。

2021年07月14日 | Weblog
●7月13日(火)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD