●10月12日(火)21-30 <ニコタマ・サンセット傑作座>
0V-149-57『運び屋』"The Mule " (2018) warner brothers / Imparative Entertainment / Bron Creative / Malpaso Company
製作・監督・主演・クリント・イーストウッド 共演・ブラッドリー・クーパー <116分・シネマスコープ> 配給・ワーナー・ブラザース映画
つい昨年にドキュメンタルな実話サスペンス「15時17分、パリ行き』を、現地ロケで監督したばかりの老練クリント・イーストウッドの、何と88歳の監督主演作品だ。
しかも「グラン・トリノ」から10年ぶりの出演作品となると、わたしのような大ファンのみならず、試写の30分前には長蛇の列となるのも、こりゃ当然でしょ!!
タイトルのように、彼が主演している老練ドライバーは、とうに定年を過ぎた長老のクリントで、あちらではドライバーの運転免許証は80すぎでも出るのか・・と、余計な心配。
わたしなどは運転免許証の更新試験が、年々厳しくなるし、自家用車もなく過密な東京都内では運転するのも命がけなので、早々に免許証返還をしてしまって警視庁から褒められた。
しかしわがクリント老は、入院している病身のワイフも放っておいて、悪徳裏業者の依頼のシナものを、終日フリーウェイをオンボロセダン車での<運び屋>稼業で、かなりのゼニを稼いでいる。
その悪質依頼組織の実態は描かないで、とにかく無言で依頼品を後部座席に積み込んで、ひたすら寡黙に、ときに鼻歌などを交えて運転する老人は、ハイウェイ・パトロールも関知しないのだ。
テーマの実態は、悪質な犯罪映画なのだが、ここでは実の娘のアリソン・イーストウッドご本人が久しぶりに中年女性として共演していて、病身の妻の看護もしないで、勝手に出かける父に厳しい視線。
彼女は2008年に、自身で監督作品「レールズ&タイズ」というホームドラマを作っていて、病身の妻への愛に悩む夫をケヴィン・ベイコンが演じていて、この作品の夫婦設定はよく似ていた。
おそらくは、あまり家庭を顧みない父親クリントへの苦言が、作品のテーマになったのだろうが、この作品でも病身の妻ダイアン・ウィーストの病気と死が、ドラマの底辺になっている。
だから、まさに西部劇のヒーローのように、毎日ハイウェイをワゴン車で走りまくっている老父クリントへの厳しい視線も、おそらくは実娘のアリソンの父親への厳しい視線なのかも知れない。
もともとはドライバーではなくて、自宅に小さな家庭菜園を持って楽しんでいた男が、またラストで、とうとう刑務所の中庭で花を小さく咲かせる菜園を楽しんでいるクリントに、ニヤリとしてしまった。
■ボテボテのレフト横のゴロを野手がトンネルしている間にツーベース。 ★★★☆☆☆+
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