●10月25日(月)11-30a.m. ニコタマ・サンセット傑作座<VHS鑑賞>
OV-151-98『巴里横断』"La Traversee de Paris" (1956) French Film, B&W/standard size
監督・クロード・オータン・ララ 主演・ジャン・ギャバン、ブールヴィル <81分・モノクロ・スタンダード>
激化する第二次世界大戦時下のパリは、封鎖されて路上にはナチスの軍兵が、銃装備でパトロールしているが、パリジャンの食欲は関係ない。
それでも深夜になると、空腹なパリジャンは、チーズとフランスパンだけでは食欲は満たされないので、肉やソーセージなどの調達に出没するのだ。
ある夜に、ヤミ商人のブールヴィルは、北駅の裏通りで殺したばかりのブタを1匹調達して、その肉をモンパルナスの自宅に運ぶために苦労していたが・・。
たまたまカフェから出て来た酔っぱらいのジャン・ギャバンと、口論しているうちに、話しが、その生のブタを運ぶことに同意して、一緒に運搬作業することに。
とにかく、東京で言えば、浅草からわがニコタマまで、陸路、その重いブタの死体を運ぶというのは、いかに運搬作業用陸車に乗せての作業は重労働なのだが、
ボードビリアンで漫談家として人気のあったブールヴィルは、当時人気絶頂のフランスの国宝級の名優ジャン・ギャバンとの<慢才道中>なので、飽きさせない。
夜警のナチス兵隊に会うと、その近くのヤミ・カフェに逃げこんでは客人たちと世間話しで安いグラッパで、時間つぶしをしてナチスの警戒をかわして行く。
つまりフレンチの漫才映画で、達者なジャン・ギャバンの話しをブールヴィルの話術で見せて行く、あの「おかしな二人」のフレンチ版なのだ。
とくに、50年代はジャン・ギャバンは絶好調で、フランス映画の代表作の<顔>として、「フレンチ・カンカン」や「現金に手を出すな」は代表的名作だ。
「望郷」の頃のような若さのなくなった初老のギャバンには、とくにこの時期には名作が多く、この時期の「冬の猿」やメグレ警部シリーズは絶品だったのだ。
だからこのピーク時に、こうした彼の名演を見られたわが世代は、とにかく彼の渋い声と不機嫌な表情には魅了され、あれがフランス映画のピークだったのを、記憶する。
晩秋の似合うパリ・オヤジ「ありがとう・・・ジャン・ギャバン!!!」。
■ただのセカンドゴロなのに、ベースに当たって逆戻りヒット。 ★★★☆☆
●保存VHSテープでの鑑賞