細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『デニス・ホッパー*狂気の旅路』で、彼の懐かしいスマイルに、ハートが暖まる。

2019年11月05日 | Weblog

10月24日(木)13-00 渋谷<映画美学校B-1試写室>

M-088『デニス・ホッパー:狂気の旅路』"Along For the Ride" (2017) The Orchard Presents Significant Productions, MNM Creative.

監督・ニック・エヴェリング 主演・デニス・ホッパー(記録フィルム)ヴィム・ヴェンダース<101分・スタンダード>配給・コピアポア・フィルム

つい先日に見たばかりの、2010年に亡くなったデニス・ホッパーの監督作品「ラスト・ムービー」と平行して公開されることになったトリビュート新作。

生前のデニスのアーカイブ映像を掘り出して、その映画作家としてのデニスの残されていた映画的な記録を、ひとつのドキュメントにまとめた異色作だ。

だから、「イージー・ライダー」はもちろん、多くの出演作品や、同時に公開される最期の監督作品になった「ラストムービー」などを見ていないと失礼になる。

あのジェームズ・ディーンの友人でもあり、ヴィム・ヴェンダース監督の「アメリカの友人」やデヴィッド・リンチ監督「ブルー・べルベット」などに出演。

たしかにハリウッドのメジャー・スタジオのスターではなかったが、異彩といわれたアウトローな監督たちとの親交の深かったデニスの動向は異色ではあったのだ。

あの「理由なき反抗」や「OK牧場の決闘」などの、話題作に出ていたキャリアからすれば、いずれはスターダムに伸し上がる人材かなと期待されていたが。

やはり、当時は、大きな変換期を迎えていたハリウッドは、上映システムや撮影サイズも代わり、当然のように人気スターたちの動向も激しくなった時代。

名優ヘンリー・フォンダの息子であったピーターと、親友だったことや、あのジェームズ・ディーンの急死などで、デニスの青春も迷走を始めたに違いない。

多くの独立プロダクションの資金難や分裂などで、結局はデニスの映画人生も、今回同時に公開される「ラストムービー」のように波乱に満ちていたのだろう。

10年ほど前に来日した時も、とても静かでシャイな人柄が伺えて、わたしが持参した「イージーライダー」のキャビネに、「Thanks Rintaro, Dennis Hopper」とサイン。

やさしい笑顔で、握手してくれた彼の表情は、まるで10歳の少年のように、はにかんで見えたものだ。

 

■左中間をゴロで抜けるヒットで、ツーベース。 ★★★☆☆

●12月20日より、新宿シネマカリテなどで、お正月ロードショー


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