細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●シナトラ・パスタ・ランチパーティ

2006年05月15日 | Weblog
●5月13日(土)12-00 高田馬場<カフェ・コットンクラブ>
「フランク・シナトラ・パスタ・ランチパーティ」
Frank Sinatra Society of Japan Pasta Party

歌手のフランク・シナトラのファン・クラブは世界各国にあり、日本にも25年前に出来た。
わたしは1962年に初来日公演した時に5,000円のチケットを買って見に行った、筋金入りのファン。
彼のレコーディングした曲は、ほとんどコレクションしていて、このファン・クラブの会報にも、かなり長い連載を書いているが、年に数回開かれるパーティにも、なるべく顔を出すようにしている。
今回は、イタリアン・グルメとしても有名だったシナトラ家直伝のパスタ・ソースによるランチ・パーティ。
要するにナポリ風のミート・ソースによるトマト・ベースのパスタだが、8つの手順のレシピがあり、パスタ・ソースもシナトラ・ブランドとして発売していた本格派。
黒コショウにオレガノとドライバジルを、秘伝のトマト・ソースで15分も煮るという味は深い。
ニューヨークのブロードウェイにある「PATSY'S」が、このシナトラ・パスタをメニューにしている。
おいしかった。
そのあと集まったメンバーで、62年のシナトラ・ロンドン・コンサートのDVDをバーボン片手に眺めた。
まさにファンならではの、幸せな時間。冷たい雨を忘れた午後だった。
★興味のある方は、シナトラ・ソサエティ・ジャパンのホームページで検索して下さい。

●「ハードキャンディ」の猟奇的でサイコな赤ずきん。

2006年05月11日 | Weblog
●5月11日(木)13-00 渋谷<東芝試写室>
M-058 「ハードキャンディ」Hard Candy (2005) lionsgate 米
監督・デヴィッド・スレイド 主演・エレン・ペイジ ★★★☆
赤ずきんちゃんの「オヤジ狩り」のような猟奇的復讐を描いた、モダーン・サイコ。
シンプルなセット・デザインと、無駄のない意表をつく演出は魅力的だ。
いかにも今ありがちな出逢い系サイトで知り合った少女が、カメラマンの男の家に行く。
ちょいと「ロリータ」のようなスタートが、意外やイーストウッド監督「恐怖のメロディ」のようなストーカーものに変化していくサスペンスはお見事だった。
しかし少女が男根を切断しようとする異常な行為になると、スマートな画調もインビに見えて来て、次第に不快感になってしまった。
「トランス・アメリカ」のように男を切り落として幸福になる奴もいれば、この映画のように泣き叫んで許しを乞う奴もいる。
ドラマとしてのニューロティックなグロテスクも面白い。
でも、この不快感はどうにも困ってしまった。

●「ブロークン・フラワーズ」は21世紀の「泳ぐひと」だな。

2006年05月01日 | Weblog
●5月1日(月)12-55 渋谷<シネマライズ>R.S.
M-057 「ブロークン・フラワーズ」Broken Flowers (2005)Focus 米
監督・ジム・ジャームッシュ 主演・ビル・マーレイ ★★★★
試写を見逃して、ロードショウでやっと見た。
ジャームッシュの新作は、ヴィム・ヴェンダース監督の「アメリカ、家族の風景」と同じ中年男の、未だ見ぬ息子探しの旅。
しかし、こちらは、かなりミステリー小説のようなファンタジーだった。
身元不明のピンクの手紙には、あなたの19才になる息子がいます。とあった。
そこで友人の下調べで4人の元彼女の消息を探す旅が始まった。中年独身ダメ男の役をビル・マーレイは「ロスト・イン・トランスレーション」の延長戦上でボケーっと演じている。
そのオフ・ビートな気まずい「間」はおかしいが、ちょいとダレてくる。
要するに、バート・ランカスターの「泳ぐひと」のように、人生の過去のできごとが蜃気楼のように消えて行く朦朧としたイメージが、ラストでフェイドアウトしてしまう。
映画的には好きなテーマだが、全体に無感動でフラットなビルの表情は超越しすぎたようだ。