細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●12月の二子玉川サンセットのベスト。

2006年12月31日 | Weblog
●12月に見た自宅(二子玉川サンセット)傑作座
石上三登志さんが名付けた「二子玉川サンセット」の,12月に見た自宅VTR,DVD選

1/「友情ある説得」56(監督・ウィリアム・ワイラー)ゲイリー・クーパー ★★★★☆☆
2/「彼奴は顔役だ」39(監督・ラウォール・ウォルシュ)ジェームズ・キャグニー ★★★★☆
3/「結婚泥棒」61(ジョージ・シートン)フレッド・アステア ★★★★☆
4/「秋刀魚の味」62(小津安二郎)笠 智衆 ★★★★
5/「幸福への招待」56(アンリ・ベルヌイユ)フランソワーズ・アルヌール ★★★★
6/「サン・フィアクル殺人事件」59(ジャン・ドラノワ)ジャン・ギャバン ★★★☆☆☆
7/「続・夕陽のガンマン」66(セルジオ・レオーネ)クリント・イーストウッド ★★★☆☆☆
8/「灰色の服を着た男」55(ナナリー・ジョンスン)グレゴリー・ペック ★★★☆☆
9/「ギャング」66(ジャン・ピエール・メルビル)リノ・ヴァンチュラ ★★★☆☆
10/「暗黒街の女」58(ニコラス・レイ)ロバート・テイラー ★★★☆

●その他の傑作
「神の左手」55/ハンフリー・ボガート
「裸の拍車」58/ジェームズ・スチュワート
「殺し屋は放たれた」56/ジョセフ・コットン
「プードルスプリング」98/ジェームズ・カーン
「北西騎馬警官隊」40/ゲイリー・クーパー
「胸に輝く星」57/ヘンリー・フォンダ
「青い戦慄」46/アラン・ラッド
「サンアントニオ」46/エロール・フリン
「明日になれば他人」62/カーク・ダグラス
「血と砂」41/タイロン・パワー
「セイ・エニシング」89/ジョン・キュ-ザック
その他いろいろ・・・・。

あけましておめでとうございます。

●12月の試写ベスト3

2006年12月31日 | Weblog
●12月の試写ベスト・3
1/「ハッピー・フィート」監督・ジョージ・ミラー ★★★★☆☆
踊る皇帝ペンギンの冒険物語を、ヒット・ソングのメドレーで描いたサイコーに楽しいアニメーションの名作。

2/「幸せのちから」監督・ガブリエレ・ムッチーノ、主演・ウィル・スミス ★★★★
リストラされ離婚され、子供をつれた無職小連れ狼の心温まるサバイバル・コメディ。スミスの好演が印象的だ。

3/「今宵、フィッツジェラルド劇場で」監督・ロバート・アルトマン、主演・メリル・ストリープ ★★★★
アルトマン入魂の遺作だが、群衆ドラマとしての面白さは若々しく陽気で、しかも深い。

●「オール・ザ・キングスメン」と「デジャ・ヴ」も同格に楽しめた。

●「デ・ジャヴ」はローラの事件を思い出した。

2006年12月28日 | Weblog
●12月26日(火)13-00 六本木<ブエナビスタ試写室>
M-148 「デ・ジャヴ」Deja Vu (2006) touchstone 米
監督・トニー・スコット 主演・デンゼル・ワシントン ★★★☆☆☆
ことしのラスト試写は148本目。上等なフィニッシュだった。
ニューオーリンズでテロによるフェリー・ボート爆破事件が起こった。
捜査官のデンゼルは、その河の上流で見つかった若い黒人女性の死体に興味を持つ。
大体、上流で見つかるのも変だが、死亡推定時間も2時間位は早い。
しかもその顔には過去に逢った記憶があった。
そう、あのクラシックな捜査もの「ローラ殺人事件」である。
事件前の監視カメラを分析していた極秘の政府特殊捜査機関では、デンゼルの「透視能力」をもとに、4日前の女性の行動を探るうちに、その殺人を未然に食い止めればテロも防げたはずだ、と思い当たる。
ここからは「マイノリティ・リポート」と同様に、S.F.的ファンタジーの要素が濃くなるが、結末は言えない。
ただ、一種のタイムスリップものと見るか、ロマンティックなラブ・ストーリーとして見るかで、この映画の評価は割れる。
もともと「デ・ジャヴ」というのは、ロマンティックな思い込みだと解釈するわたしは、この映画のラストは面白かった。
<アリエネエー>主義のハリウッド映画では、この展開もよく判る。
さすが、ブラッカイマーとスコット・コンビは、面白い。

ではよいお年を。

●「輝く夜明けに向かって」アパルトヘイトの長い夜。

2006年12月23日 | Weblog
●12月22日(金)東銀座<U.I.P.試写室>
M-147 「輝く夜明けに向かって」Catch a Fire (2006)universal
監督・フィリップ・ノイス 主演・ティム・ロビンス ★★★☆☆
なぜかアフリカでの紛争映画がこのところ多い。
80年代の南アフリカ、白人優遇の人種隔離政策に反発した一般の黒人青年が、不当な迫害と冤罪からテロリストの道を選ぶ。
これもひとつの社会悪の構造だ。
ティム・ロビンスはテロ組織壊滅のための秘密警察捜査官だが、執拗な追求が亀裂を生む。
プロデューサーのシドニー・ポラックは、この問題をフィリップ・ノイスに任せて、自分は「インタープリター」でアフリカでのテロの温床を娯楽的に描いたが、この新作も政治色はあるが、ポリティカル・エンターテイメントになっている。
実際の事件の経路を描いているが、作品はそれほどシリアスではない。
これがハリウッド・メジャー作品の妥協点なのだろう。

●「ハッピー・フィート」はジーン・ケリーのペンギン生まれかわり

2006年12月22日 | Weblog
●12月21日(木)13-00 日比谷<ワーナー試写室>
M-146 『ハッピー・フィート」Happy Feet (2006) warner bros.
監督・ジョージ・ミラー 声の主演・イライジャ・ウッド ★★★★☆
こんな映画見たことない。
サイコーだ。
007を抜いて、全米トップのクリスマス・シーズン映画は、踊る皇帝ペンギン。
みにくいペンギンの子として生まれたマンブルは、音痴でタップダンスしかできない。
南極でも魚が少なくなり、生存競争の激しくなる一方だから、虐められっ子のマンブルは、その原因を探る冒険にでる。
社会風刺もあるが、基本はヒット・ソングのタップと、大コーラス。
皇帝ペンギンに踊りをさせたアイデア、そしてスピーディで完璧なアクション。
あの「マッドマックス」シリーズのジョージ・ミラーがリベンジした、このスーパー・アニメは、ディズニーも「アイス・エイジ」のピクサスも呆れてしまったに違いない。
ジーン・ケリーに見せて、一緒に踊って欲しかった。
アカデミー賞最有力とは、この作品である。

●「フランシスコの2人の息子」も子育て苦労実話だ。

2006年12月21日 | Weblog
●12月20日(水) 六本木<GAGA試写室>
M-145 「フランシスコの2人の息子』Two Sons of Francisco (2005) ブラジル
監督・ブレノ・シウヴィラ 主演・アンジェロ・アントニオ ★★★☆☆☆
またしてもブラジルの歴代映画興行新記録を作ったヒット作。
貧しい農民の家族だが、ラジオから流れる音楽のせいか非常に明るい。
ラテンの国民性だろう。明らかに映画はその国土と住んでいる人間の楽天性を見せつける。
ふたりの少年が、苦労と悲劇を乗り越えて成功するまでのサクセス・ストーリーは、それ自体は実話というだけに説得力はある。
しかし、よくある美談である。
昨日のモータウン・サウンドよりもハートに暖かい音楽が、心地よかった。

●「ドリームガールズ」のモータウン時代リターンズ。

2006年12月20日 | Weblog
●12月19日(火)13-00 銀座<ヤマハホール>
M-144 「ドリーム・ガールズ」Dream Girls (2006) U.I.P.
監督・ビル・コンドン 主演・ジェイミー・フォックス ★★★☆☆
60年代のモータウン・レコード人気を背景にしたブロードウェイ・ミュージカルの映画化。
オール黒人によるパワフルなモータウン・サウンドの洪水は、全編に溢れっぱなし。
従って、あのソウル・ミュージックがお好きでないと堪らない。
ダイアナ・ロスのコピーをビヨンセが熱演。シュープリームス解散がクライマックスで、ジャクソン・ファイブや、マーヴィン・ゲイ風のアーチィストがドラマを彩るが、とにかく歌ばかりだ。
ロスがビリー・ホリデイを演じたように、ビヨンセがロスを演じる。時代の回り舞台だ。
今年で取り壊しになるという銀座のヤマハホールで見たことが感慨ひとしおだった。
初めてこのホールで試写を見たのが58年の「追想」だったが、多くの試写を見たホールのラスト試写が、この60年代ミュージカルとなったのも、不思議な気分。
そこで☆ひとつのオマケである。
さらば、ヤマハホール。ありがとう。また逢えると嬉しいな。

●「パリ、ジュテーム」のフレンチつまみ食い。

2006年12月16日 | Weblog
●12月15日(金)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>
M-143 「パリ、ジュテーム」Paris Je T' aime (2006) 仏
監督・アレキサンダー・ペイン他、主演・ジーナ・ローランズ他、★★★☆
18人の監督が、5分のパリに関するエピソードを、ひとつの作品にしたオムニバス。
当然、それぞれの地区や出演者たちによって、異なったタッチになる。
「パリ」という名前のパッチ・ワークだしキルトのようだ。
そしていろいろな味のオードブルを一口ずつ摘み食いしたような印象になる。
よくあるように、ラストでは、それぞれ別のエピソードの役者たちが顔を合わせる。
ならば異質だったイライジャ・ウッドのバンパイアが、レストランでドパルデューとでも、食事しているシーンがあれば、もっと笑えたと思うのだが・・・・。

●「オール・ザ・キングスメン」はミステリー仕立てでリニューアル。

2006年12月15日 | Weblog
●12月14日(木)13-00 明石町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M-142 「オール・ザ・キングスメン」All the King's Men (2006) columbia
監督・スティーブン・ゼイリアン 主演・ショーン・ペン ★★★★
1949年にアカデミー作品賞を受賞した名作のリメイクなので心配したが、「シビル・アクション」などでシリアスないい味を出していたゼイリアン監督は、見事なミステリー・タッチのドラマに変えて見せた。
ショーン・ペンのルイジアナ州知事は、民衆のためには何でもする豪腕派。
前作では、その強引な政治が社会悪を派生させていたが、この新作ではジャーナリストのジュード・ロウの視線に重点をおいて、ドラマが暗転していくサマをハードボイルド・ミステリー風に見せて成功している。
ほとんどの人は前作を知らない訳だし、まったく新しいストーリーとして新鮮でもある。
ペンの演技はカリスマティックで困ったが、他のオールスター達が好サポートし、モノトーンのカメラが素晴らしい。
よく出来た社会派のサスペンスだ。

●「今宵、フィッツジェラルド劇場で」フェアウェル・ショウ。

2006年12月14日 | Weblog
●12月13日(水)13-00  新橋<スペースFS汐留ホール>
M-141 「今宵、フィッツジェラルド劇場で」A Prairie Home Companion (2006)米
監督・ロバート・アルトマン 主演・メリル・ストリープ ★★★★
つい最近他界した監督の遺作となったが、まるでご自分の死期を知っていたような作品である。
人気のラジオ・ショウの最終日に、多くのゲストが集まって歌を披露したが、その中に見かけない白いトレンチ・コートの女性がいる。
天使であり、死神なのだが、彼女の存在が、この作品を運命的なドラマとして厚いものにしている。
陽気で人情味のあるフェアウェル・ショウは、まさにジョン・ヒューストン監督の「ザ・デッド」がそうだったように、まるで監督のラスト・パーティのようだ。
いつもの群衆ドラマを、まるでミュージカル映画のように陽気なメロディで貫き、そのパーティが終わったあとの、ダイナーでの時間が心地いい。
とくにアルトマンの最高とは言わないが、アベレージを維持したラスト・ピクチャーに拍手したい。