細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●1月の二子玉川サンセット傑作座/上映ベスト

2008年02月04日 | Weblog
●1月に自宅/二子玉川サンセット傑作座で見たベスト10

1/『柔らかい肌』64(フランソワ・トリュフォー)DVD ★★★★☆☆
三文記事をヒッチコック並みの手際で見せる巧さは、いまだにスリリングだ。

2/『ヨーク軍曹』41(ハワード・ホークス)LD ★★★★☆
イーストウッドの原点になったという、アメリカン・ヒーローもののお手本映画。クーパーも最高だ。

3/『窓』49(テッド・テズラフ)VHS ★★★★
ウールリッチの原作だから、あの『裏窓』の原型ともいえるサスペンスの傑作。

4/『秘めたる情事』58(フィリップ・ダン)VHS ★★★★
年老いた男の最期の恋を、クーパーはまるで自分の遺作のような繊細さで演じている。

5/『鷲は舞いおりた』76(ジョン・スタージェス)DVD ★★★★
チャーチルを暗殺しようとしたドイツ将校の緻密な行動、地味ながらスタージェス演出が冴えた。

6/『いぬ』63(ジャン・ピエール・メルビル)DVD ★★★☆☆☆
フレンチ・ノワールの真骨頂。このノワール美学が最近はまったく見られなくなったのが残念。

7/『昭和残侠伝/唐獅子仁義』69(マキノ雅弘)DVD ★★★☆☆☆
シリーズがDVDで発売されたので、お気に入り連続上映がスタートだ。!

8/『風と共に散る』57(ダグラス・サーク)DVD ★★★☆☆
典型的なハリウッド家庭崩壊メロドラマ。ステージのような装飾華美もクラシックでいいのだ。

9/『情欲の悪魔』55(チャールズ・ヴィドア)LD ★★★☆☆
20年代の歌手ルース・レティングのギャングとの絡みが、いかにもジャズの歴史だ。

10/『地獄の英雄』51(ビリー・ワイルダー)VHS ★★★☆
ジャーナリストの暴走ぶりを描いたワイルダーの摘発ドラマだが、ひどく乾燥している。

●他に見た傑作は『ゼンダ城の虜』52
『十三号桟橋』51
『西部の二国旗』50
『恋は青空の下』50
『去り行く男』56
『芸人ホテル』44
『我が心の呼ぶ声』52
『ロイ・ビーン』72
『サンアントニオ』46、、、と、きりがないな。

●1月の試写ベスト/3

2008年02月03日 | Weblog
●1月に見た新作試写ベスト/3

●1/『ノー カントリー』監督/ジョエル&イーサン・コーエン 主演/トミー・リー・ジョーンズ ★★★★☆☆
80年代のテキサスで麻薬取引に失敗した男たちの、実に共学の必殺バイオレンスと追跡の結末。オスカー最有力作。

●2/『告発のとき』監督/ポール・ハギス 主演/トミー・リー・ジョーンズ ★★★★☆
イラクから帰国した筈の兵士が死体で発見された。父親の悲痛な捜索の果て。アメリカは国内でも戦争中だ。

●3/『スウィーニー・トッド』監督/ティム・バートン 主演/ジョニー・デップ ★★★★
復讐に燃える男が開業したのは、殺人床屋とその肉のミートパイ屋。シュールな快作ミュージカル。

他には「フィクサー」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ぼくの大切なともだち」「つぐない」など傑作揃いでしたが。

●2008年/第80回アカデミー賞/予想

2008年02月03日 | Weblog
●1月31日(木)赤坂<キネマ旬報編集部会議室>19-30

恒例のアカデミー賞予想座談会が、いつもの渡辺祥子さんと襟川クロさん、それにわたしの3人で開催された。
2月20に発売されるキネマ旬報誌上で、その詳細は発表されるが、ここでわたしの個人予想を紹介します。

☆作品賞/『ノー カントリー』No Country for Old Men (paramount vantage)
☆主演男優賞/トミー・リー・ジョーンズ(「告発のとき」)
☆主演女優賞/ケイト・ブランシェット(「エリザベス/ゴールデン エイジ」)
☆助演男優賞/ハビエル・バルデム(「ノーカントリー』)
☆助演女優賞/ケイト・ブランシェット(「アイム・ノット・ゼア」)
☆監督賞/ジョエル・コーエン+イーサン・コーエン (「ノーカントリー』)

●アカデミー賞の決定は、2月25日(月)<日本時間>です。

●『ぼくの大切なともだち』で問われる本当の親友とは?

2008年02月03日 | Weblog
●1月31日(木)15-30 六本木<アスミック エース試写室>
M-016 『ぼくの大切なともだち』Mon Meilleur Ami (2006) fidelite 仏
監督/パトリス・ルコント 主演/ダニエル・オートゥイユ ★★★☆☆☆
パリでアンチィークショップを経営しているダニエルは仕事熱心、中年だが意気軒昂。
「しかし本当の親友がいない」と捨て台詞を吐いて妻が逃げた。
たしかに仕事でつきあう奴はいるが、夜中の3時に電話できる友人はいない。
仲間たちは、それをネタに賭けを持ちかけた。
一週間以内に親友を連れてくること。
困った彼は、昔のクラスメイトなどに当たるが、皆冷たい。
ルコントの映画は「タンデム」や「列車に乗った男」など、男の友情の話になると、グッとレベルが上がる。
タクシー運転手のダニエル・ブーンが駄犬のような、いい味を出していてドラマを締めた。
最近のフランス映画では、とても感じのいいコメディの佳作だ。

●初夏公開予定

●『つぐない』に描かれた小さな嘘の大きな後悔。

2008年02月02日 | Weblog
●1月31日(木)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>
M-015 『つぐない』Atonement (2007)universal.UK
監督/ジョー・ライト 主演/キーラ・ナイトリー ★★★☆☆☆
イアン・マキューナンの原作小説「贖罪」の映画化。
ことしのアカデミー作品賞にノミネートされた作品のなかでも、唯一のロマンティックな人間ドラマ。
しかし、姉の恋人に嫉妬した妹の言った小さな嘘が、姉の恋と人生を狂わせる恐ろしいテーマだ。
イギリス伝統の女性文学のようだが、実はかなり戦争も絡んだ大作。
あの「イングリッシュ・ペイシェント」的なスケールの大きさも魅力。
ただ、編集で時代が行ったり来たりするので、どうもリズムが乱れるのが難点。
女性の些細な嫉妬心の行方が、とんでもない問題となる、そのポイントが、ラストで贖罪の弁明になるのか。
それによって、この映画の価値観は、大きく違ってくる。

●3月、日比谷スカラ座などでロードショウ

●『愛おしき隣人』のシュールでおかしな隣人愛。

2008年02月01日 | Weblog
●1月30日(水)13-00  渋谷<ショウゲート試写室>
M-014 『愛おしき隣人』You the Loving (2006)スウェーデン
監督/ロイ・アンダーソン 主演/ストックホルムの隣人たち ★★★☆☆
不思議な魅力の、おとなの漫画のようだ。
ストックホルムに住む人々をスケッチ風にスクラップした、実におかしな作品。
文明批判は、フェリーニやジャック・タチのようだが、50カットもある漫画的なスケッチは笑える。
いかにも北欧的な乾いたユーモアが、皮肉に光る。
たまには、こういうヘンテコな作品もいい。ヴィジュアルのレベルは非常に高く、グレイ・トーンの色調にも、独特の美学がある。ブラスバンドのサウンドが懐かしい。曲芸のないサーカスともいえる。
おとなのために、北欧のミュージカル・コミックだ。

●GW,恵比寿ガーデンシネマ他でロードショウ