細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●2月の試写ベスト/3

2008年03月03日 | Weblog
●2月に見た試写の、ベスト/3

1/『ランジェ公爵夫人』(ジャック・リヴェット)主演/ジャンヌ・バリヴァール ★★★★
  18世紀パリの上流社会で、恋のゲームに賭けたランジェ夫人の悲壮な顛末。恋はもて遊ぶなかれ。

2/『最高の人生の見つけ方』(ロブ・ライナー)主演/ジャック・ニコルソン ★★★☆☆☆
  病室でいっしょの末期がんの男ふたりが、人生最期の生き甲斐を探す旅に出るのだが、ほろ哀しいラスト。

3/『さよなら。いつかわかること』(ジェームズ・C・ストラウス)主演/ジョン・キューザック ★★★☆☆
  戦死した妻の訃報を、ふたりの娘に言い出せないダメ夫の取った愛情のある行動。音楽で泣かせる。

☆今月もアカデミー賞絡みで、話題の新作が多く見られたが、『大いなる陰謀』『ジェーン・オースチィン読書会』などはなかなか良かったが、どうも今イチでした。

●『さよなら。いつかわかること』での新たな戦争後遺症。

2008年03月02日 | Weblog
●2月29日(金)15-30 京橋<映画美学校/第一試写室>
M-027 『さよなら。いつかわかること』Grace is Gone (2007)weistein com.米
監督/ジェームズ・C・ストラウス 主演/ジョン・キューザック ★★★☆☆☆
母親がイラク戦争に出征して戦死したという家族。
傷心の父親ジョンは、シカゴ郊外の家材工事関係の仕事をしているが、ふたりの12歳と8歳の娘に、母親のグレイスが死んだことを告げられない。
そこで娘達を連れて、海岸の娯楽施設に連れて、小旅行をする。
始めのうちは楽しんでいた少女たちは、少しずつこの旅行の意味を察知するようになる。
家族の悲劇を、非常にデリケートに描いた佳作だが、演出がクールすぎて感情の激しさがない。
その気持ちの部分を、クリント・イーストウッドの担当した音楽がフォローしている。
これもまた、新しい戦争後遺症映画である。

●4月、シネスイッチ銀座などでロードショウ

●『ブレス』のギドクは獄中の疑毒恋愛。

2008年03月01日 | Weblog
●2月29日(金)13-00 東銀座<シネマート試写室>
M-024 『ブレス』Breath(2007)韓国
監督/キム・ギドク 主演/チャン・チェン ★★★☆
14作目となるギドク監督の新作は、見ず知らずの死刑囚に愛を捧げる若妻の偏執的な恋。
相変わらず人間の特異な性癖のなかの美しさを見つめる作品。
家庭の夫婦間の不和の現実から、死に行く若者との激しい恋に心を燃焼する狙いはトリュフォー的にも見える。
しかし、意外に安直に見えるラストへの展開は、せっかくのギドク地獄に恋の無為感だけ残してしまった。
孤独な者同士の断末魔の恋だが、あっさり昇華してしまったのが残念だ。

●5月3日より、シネマート六本木などでロードショー