細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『それでも恋するバルセロナ』恋には言葉の障碍などは必要ないよね。

2009年04月08日 | Weblog
●4月7日(火)13-00 六本木<アスミックエース試写室>
M-037 『それでも恋するバルセロナ』Vicky Christina Barselona (2008) mediapro 米
監督/ウディ・アレン 主演/ハビエル・バルデム ★★★☆☆
親友の結婚を前にして、スカーレット・ヨハンソンは友人とスペインに旅行する。
バルセロナで中年の画家ハビエルに誘惑され、スカーレットは胃潰瘍になり、友人は恋におちたために、ニューヨークからフィアンセは駆けつけ、画家の元妻のペネロペ・クルスまでが戻って来て、この騒動は大騒ぎとなる。
ウディ得意の痴話喧嘩なのだが、場所がスペインなので、言葉が噛み合ない。
そこを解消すべく、ナレーションでフォローしたので、よけいに話が混乱した。
無理に理解しようとしないで『ロスト・イン・トランスレーション』のように、判らないままの面白さの方が良かったようだ。その点、ペネロペのスペイン語の迫力のほうが面白い。
まさにペドロ・アルモドバルの映画のようだが、あれには適わない。
恋なんて所詮は説明がつかないのだから、解説は不要。
その分、ゴタゴタした印象の作品になった。

●6月27日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー

●『デュプリシティ』は騙されることの面白さなのだが。

2009年04月05日 | Weblog
●4月2日(木)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>
M-036 『デュプリシティ/スパイはスパイに嘘をつく』Duplicity (2009) universal
監督/トニー・ギルロイ 主演/ジュリア・ロバーツ ★★★☆
大手トイレタリーのライバル会社が、相手の企業機密を探る為に、元C.I.A.の調査員を囮捜査官として潜入させ新製品の化学方程式を盗もうとする。
国家間のスパイ戦争を企業に置き換えた分、殺し合いというよりは騙し合いの駆け引きが続く。
むかしのドリス・デイのコメディのあったような話だが、『フィクサー』のギルロイがシナリオを書いているので、あまりユーモアはない。
むしろスパイ同士の恋の騙し合いが底辺にあるのが面白いのに、やたら編集で時間差をかけるので、せっかくの面白味と、おとなの恋の騙し合いが嘘っぽさが目立ってしまった。
これでは、いつまでたっても楽しくならない。
もともとギルロイはマジなライターなのだから、監督までは荷物が重すぎたようだ。

●5月1日より、みゆき座などでロードショー 

●『バビロンA.D.』の近未来感覚に対応できるのか。

2009年04月04日 | Weblog
●4月1日(水)13-00 六本木<FOX試写室>
M-035 『バビロン A.D.』Babylon A.D. (2009) Fox
監督/マチュー・カソヴィッツ 主演/ヴィン・ディーゼル ★★★☆
テロや戦争や病気によって、ほとんど崩壊した近未来。
闇社会から、人質の護送を以来された傭兵のヴィンは、カザフスタンの奥地から、謎の女性を陸路ニューヨークまで届けることになる。
要するにデリバリー・エージェントなのだが、その背景がやたら国家秘密が絡んでいるので、007やジェーソン・ボーンのような展開となる。
名作『憎しみ』や『クリムゾン・リバー』などのマチューが監督なので、さすがにサスペンスのある異様なシーンが飽きさせないが、その謎の女性パッケージに大して魅力もないし、重要さも感じられないので、ニューヨークに着いてからの展開に意外性がない。
ほとんどパソコンゲームのシネスコ版なので、そんなゲーム感覚で楽しむ分にはいいかも。

●5月9日より、お台場シネマメディアージュでロードショー

●3月に見た試写ベスト3

2009年04月03日 | Weblog
●3月の試写ベスト3

1/『チェイサー』韓国08(ナ・ホンジン)主演/キム・ユンソク ★★★★☆☆
  消えた女性を探して、元刑事が睨んだ容疑者は警察では逮捕できない奴だから、俺が裁くのだ。

2/『重力ピエロ』日本09(森 淳一)主演/加瀬 亮 ★★★★
  出来のいい弟は、俺とはDNAが違うのか。伊坂幸太郎の原作を軽妙で味わいの深い兄弟ドラマにした。 

3/『愛を読むひと』英国08(スチィーブン・ダルトリー)主演/ケイト・ウィンスレット ★★★★
  戦後にナチス容疑で逮捕された年上の女性に、年下の彼は本を読んであげることが愛情表現だった。

★その他に見た傑作は
『子供の情景』
『夏時間の庭』でしたね。

●3月の二子玉川サンセット傑作座ベスト

2009年04月02日 | Weblog
●3月の二子玉川サンセット傑作座(自宅)公開ベストテン

1/『とまどい』95 (クロード・ソーテ)ミッシェル・セロー <LD> ★★★★☆☆
  蔵書を処分して、自分の回想録をまとめる老人は、秘書の女性にほのかな戸惑いを抱いていたが。

2/『殺人の追憶』03 (ポン・ジュノ)ソン・ガンホ<DVD>★★★★☆
  雨と闇夜の女性連続殺人事件が迷宮となり、転職した元刑事はまたかつての殺人現場を訪れたが。

3/『犯罪河岸』47 (アンリ・ジョルジュ・クルーゾオ)ルイ・ジューヴェ<DVD>★★★★
  連続したパリの殺人事件に罠をかけた老刑事の見事な推理とはったりは、メグレを凌ぐ。 

4/『ステージ・ドア』37 (グレゴリー・ラ・カーバ)キャサリン・ヘプバーン<LD>★★★★
  ブロードウェイでスターを夢見る俳優のためのアパートは、すでに生存競争の戦場だった。

5/『ブラックレイン』89 (リドリー・スコット)高倉 健 <DVD> ★★★☆☆☆
  ニューヨークから護送された凶悪犯は、大阪空港で逃走したので、県警の健さんはとんだ災難だ。

6/『出獄』48 (ヘンリー・ハサウェイ)ジェームズ・スチュワート <VHS>★★★☆☆
  不当な逮捕に気づいたFBI捜査官は、無実で入獄している男を出獄させるために闇社会を奔走する。   

7/『彼女は二挺拳銃』50 (リチャード・セール)アン・バクスター <VHS>★★★☆
   コロラド初の山岳の列車の運行を守る為に、町の女性保安官は悪漢やインディアン相手に大活躍だ。

8/『愚かなり我が心』50(マーク・ロブスン)スーザン・ヘイワード <LD>★★★☆
   戦死した軍人に恋をした女性の哀しい後日を、J.D.サリンジャーのシナリオで泣かせる。

9/『暗黒の恐怖』50 (エリア・カザン)リチャード・ウィドマーク <LD>★★★☆
   ニューヨーク港湾の細菌調査官が、麻薬に混入された細菌の輸入経路を捜査する「波止場」の別版。

10/『悪の花園』54(ヘンリー・ハサウェイ)ゲイリー・クーパー VHS ★★★
   メキシコの奥地の洞窟で、金とともに埋められた男を救うべく4人のならず者が欲望の旅に出る。

★そのほかの傑作
   『パリの灯は遠く』76 /アラン・ドロン 
   『ロスト・イン・トランスレーション』03/スカーレット・ヨハンソン
   『三銃士』48/ジーン・ケリー
   『クリミナル・サスペクツ』00/ジェフ・ブリッジス
   『赤い影』73/ドナルド・サザーランド
   『東京暗黒街/竹の家』55/ロバート・ライアン
   『機動部隊』49/ゲイリー・クーパー
   『無頼の谷』52/マレーネ・デイトリッヒ 
   『勝利なき戦い』59/グレゴリー・ペック などでした。

●『新宿インシデント』も香港と替わらぬ暗黒都市なのかなー。

2009年04月01日 | Weblog
●3月31日(火)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-034 『新宿インシデント』Shinjuku Incident (2009) universal
監督/イー・トンシン 主演/ジャッキー・チェン ★★★
ジャッキーが新宿を舞台に、中国人不法入国者を演じるというので、見た。
話はたしかに新宿に潜伏する密入国者たちの実態を描いて社会的なテーマだが、映画の作りは、昔の東映の不良番長のような暴力やくざ映画でがっかり。中国人暗黒組織の抗争は30年前と変わらないのか。
せっかくのシリアスなテーマを落書きしたような無謀な暴力シーンが塗り込められ、そこには年老いたジャッキーの狼狽する姿があっただけ。
竹中直人の刑事もご苦労様だった。
せめて『不夜城』や『ロスト・イン・トランスレーション』のような視線のSHINJUKUが見たかった。

●5月1日より、新宿オスカーなどでロードショー