細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ミッション:8ミニッツ』で試される、あなたの最後の8分間。

2011年09月15日 | Weblog

●9月14日(水)13−00 目黒<ウォルト・ディズニー試写室
M−112 『ミッション;8ミニッツ』Source Code (2011) summit / buena vista
監督/ダンカン・ジョーンズ 主演/ジェイク・ギレンホール <94分> ★★★☆☆
疾走する電車の車内で目を覚ましたジェイクは、周囲の状況が掴めない。
トイレに行って、自分の顔を見たら、それは知らない男の顔。
自分はアメリカの兵士で、アフガンでヘリコプターで戦闘中だった筈なのに、所持しているIDカードも別人のもの。
何だこりゃ。気が狂ったのか。?????。
ハリウッド好みの、心理倒錯サスペンスの映像レトリックである。
そして列車は8分後にシカゴ郊外で爆破されて、フェイドアウト。
ところがジェイクの意識は元に戻っていて、8分前から事態を修正しろ、という指令なのだ。
そして爆弾を処理してテロリストを逮捕するのが、彼の指名なのだ。
ああ、これはフィリップ・D・ディックの「マイノリティ・リポート」のような、予知サスペンスらしい。
と、自分のアタマを切り替えないと、この映画は収拾がつかなくなり、フォローできなくなる。
つまりは、<アタマの体操>サスペンス。
ま、「ジョニーは戦場に行った」と「影なき狙撃者」のアレンジと思えば判りやすい。
さすがデヴィッド・ボウイの御曹司が監督とあって、暴走気味の無理はあるが、面白いテロ防止サスペンスだ。
人間の知能は、死の8分前までは機能している、とか。
あなたの、8分後も試される。

■ライトのファールライン上に落ちたフライで、ビデオ判定でもめたがヒット。
10月28日より、全国ロードショー


●『マネーボール』はMLBの裏野球。イチローもチラリと見えました。

2011年09月13日 | Weblog

●9月12日(月)14−00 新橋<汐留FSホール>
M−111『マネーボール』Moneyball (2011) sony pictures / columbia
監督/ベネット・ミラー 主演/ブラッド・ピット <133分> ★★★★
アメリカ・メジャーリーグ、オークランド・アスレチィックスのGMビリー・ビーンの野球理論を描いた映画。
わたしはMLBの大ファンなので、ものすごく楽しんだ。
案の上、多くのMLBのチームやその所在地。選手、野球ルール。契約条項など、野球プロの常識が連発される。
これまでの野球映画と違って、ゲームや有名選手ではなく、長期イベントとしての仕組み工作の裏面が中心。
従って、これはスポーツ映画というよりは、ビジネス・サスペンスだ。裏野球映画なのだ。
そうしたMLBの背景を知る人には、とても面白い男性映画だが、そうではない人には難解な作品かも????。
予算の少ない地方球団では、実力選手が、ヤンキースなどに吸収されるのは日常茶飯事の常識。
だからといって、大金持ちのヤンキースが常勝するかというと、そうではない。そこが野球の面白さ。
選手と監督は、実戦の戦略を駆使するが、その前にGMは資材である人材を見つけて調達する。そこに私情はない。
若手はスカウトやドラフトがメインだが、GMは、シーズン中でも、ベテラン選手の交換交渉に暗躍するのだ。
ブラピが演じるGMは、強力な打者ジオンビーやデーモンを抜かれた10年前に、奇策を考えた。
ルールを熟知すれば、ゲームに勝てる。MLB版『七人の侍」だ。そして奇跡は起こった。
実際のゲームを見ない彼は、まったく野球を知らないビジネスマンをアシスタントに、独自の戦術を磨く。
あの「ソーシャル・ネットワーク」のスタッフならではの着想の面白さは、飽きさせない。
これもひとつのアメリカン・ドリームだし、ビジネスとしての「フィールド・オブ・ドリーム」なのだ。
アシスタント役のジョナ・ヒルは、オスカー・ノミネートだろう。

■バントと見せかけたバスターがサード頭上からファールグラウンド。二塁悪投でスリーベース!!!
●11月11日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー
★東京国際映画祭クロージング作品。


●あの『ブリット』のムスタングで今夜もドライブ・ジャズを。

2011年09月11日 | Weblog

●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)
今夜の放送/ Vol. 062『今夜もドライブ・ジャズで』Let's Drive More   
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎

★9月11日(日)午後8時ー9時放送
★曲目メニュー紹介

1/『スピード』演奏/ポール・オーケンフェルド(映画「ソードフィッシュ」より)
2/『ストリート・ライフ』唄/ランディ・クロフォード(映画「シャーキーズ・マシン」より)
3/『マルホランド・フォール』演奏/デイブ・グルーシン(映画「狼たちの街」より)
4/『ロスト・ハイウェイ』唄/デビッド・ボウイ
5/『ブリット』演奏/フレッド・カーリン・グループ
6/『オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート』唄/フランク・シナトラ
7/『クロスロード』演奏/マーク・アントワン

★今週の映画紹介/『探偵はBARにいる』主演/大泉 洋

●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★来週の、この番組は「セプテンバーの歌」と題して、9月に関係した爽快なジャズを。
ご期待ください。


●『ハートブレイカー』は自爆気味な結婚式解体屋コメディなのだが。

2011年09月10日 | Weblog

●9月9日(金)13−00 築地<松竹本社試写室>
M−110『ハートブレイカー』L' Amacoeur (2010) universal / yume-quad films 仏
監督/パスカル・ショメイユ 主演/ロマン・デュリス <105分> ★★☆☆
要するに、結婚式テロリスト。結婚式破棄請負便利屋のはなし。
どんな幸せな結婚にも、必ず反対者はいる。
富豪の娘ヴァネッサ・パラディの結婚式に反対していた父は、この結婚破壊屋に仕事を依頼する。
ドジな仲間と、この仕事を請け負ったロマンは、モンテカルロの挙式に向けて妨害作戦。
ドタバタな無計画破壊工作が展開するが、まったく歯切れが悪い。
フランス映画にしては、どうもシャレ気のない退屈な演出が野暮ったいのだ。
結局は思惑通りに、ミイラ取りがミイラになる先は見えて来る。
つい、あのフレッド・アステアの「結婚泥棒」は良かったなーと、愚痴りたくなるのだ。
せっかく、モナコの全面協力で、素晴らしい景色のロケなのに、主演ふたりがダサい。
別に「招かれざる客」のように、結婚の真意に迫らなくていいが、このシナリオではお祖末だ。
英語のリメイク版が作られるというから、そちらに期待しよう。

■ヒット・エンド・ランが失敗して三振の併殺。
●10月29日より、ヒューマントラストシネマ有楽町でロードショー


●『アントニー・ジマー』は、さすがにオシャレな「ツーリスト」のフレンチ・オリジナル。

2011年09月08日 | Weblog

●9月7日(水)19−00 自宅鑑賞
M−109『アントニー・ジマー』Anthony Zimmer (2005) Studio Canal /  universal 仏
監督/ジェローム・サル 主演/ソフィー・マルソー <89分/DVD> ★★★☆☆
あの「ツーリスト」のオリジナルのフランス映画。
さすがにハリウッドがリメイクしたくなるようなエッセンスが盛り沢山のスタイリッシュ・サスペンス。
ジョニー・デップの役をイヴァン・アタールが演じ、よりシャープでミステリアスな色気を出している。
そしてアンジェリーナ・ジョリーが演じた謎の美女を円熟のソフィー・マルソー。
導入から、ヒッチコック・タッチを滲ませたシンプルなカットが心地いい。
スムーズなカメラも音楽も端正で品がよく、先日見たばかりの「ラルゴ・ウィンチ」のサル監督も、実におしゃれだ。
リュック・ベッソンと違って、ごく日常的なシーンをシンプルにスケッチする視線は好感が持てる。
これが伝来のフレンチ・ミステリの香華なのだ。つまり、オ・ト・ナのエンターテイメント。
謎だらけのアントニー・ジマーのDNA鑑定がないのは、今どき変だが、それを言ったら「あんたヤボね」と言われそう。
刑事役に、あのアラン・ドロンの宿敵でバルドーを惑わせたサミー・フレイが、じつに渋い顔を見せている。嬉しい。
最近のハリウッドナイズされすぎた過剰なアクションはないが、好感の持てる一作だ。

■セカンドの後方にポトリと落とした技ありのポテン・ヒット。
●現在、DVDが店頭発売中。


●『カウボーイ&エイリアン』時空を超えた映画の夢、てんこ盛り。

2011年09月06日 | Weblog

●9月5日(月)13−00 神谷町<パラマウント・ピクチャーズ試写室>
M−108『カウボーイ&エイリアン』Cowboys & Aliens (2011) paramount / dreamworks
監督/ジョン・ファブロー 主演/ダニエル・クレイグ <118分> ★★★☆
またしてもS・スピルバーグが制作の新作で、ロン・ハワードとブライアン・グレイザーも協力。
まさに今のハリウッドの映画的知性集団が総力を結集した強力エンターテイメント。
西部の町にエイリアンがやって来て、開拓者とインディアンの三つ巴の戦いとなる構図。
ま、時代錯誤の面白さとしては「戦国自衛隊」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のアクション西部劇版。
しかも007のボンドと、老インディ・ジョーンズ博士も絡むという、まるで年末お年玉興行のような盛り沢山。
しかし大盛りで具が多いから美味しいかというと、それはまた別問題だ。
たしかにエイリアン襲来までの前半は、なかなかストイックなウェスターン調で雰囲気はいい。
そこに突然のUFOが急襲してきて、民衆をさらって行く。なぜか登場した謎の女ガンマン。 
お尋ね者のダニエルに謎のブレスレットも、さっぱり判らないが、よく判らないことが多いままドラマは勝手に進行。
オイオイ、ちょっと待ってくださいよ、といっても、事態は悪化。
そしてまたも軟体怪物のようなエイリアンの迷宮アジトのクライマックスとなる。また、これだ。
このゲーム感覚と、ドロドロとした奇怪生物のお好きなハリウッド映画の集大成がお好きなファンには、大サービスだ。

しかも、拉致された人質も全員無傷で帰還。????。

一種の、デザスター・ウェスターンなのだろうか。
アイデアは面白いが、料理は毎度の大味な定番調理。ごくろうさまであった。

■豪快な一発でセンターのフェンスまで飛んだが、もう少しのフライ。
●10月22日より、全国ロードショー


●今夜のFMはルート66へドライブです。

2011年09月04日 | Weblog

●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)
今夜の放送/ Vol. 061『ドライブ・シーズンのジャズ』Let's Drive in Jazz   
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎

★9月4日(日)午後8時ー9時放送
★曲目メニュー紹介

1/『ルート66』唄/ジョン・ピザレリ
2/『ストリート・アヘッド』演奏/クリス・ボッティ
3/『ピンク・キャデラック』唄/ケイコ・リー
4/『いつも二人で』ピアノ演奏/マイケル・ラング・トリオ
5/『モーター・ウェイ』唄/セイント・エチエンヌ(映画「スピード」より)
6/『オール・ザ・ウェイ・ホーム』唄/フランク・シナトラ
7/『ドライブ・バイ・ナイト』演奏/ピーター・ホワイト

★今週の映画紹介/『くまのプーさん』

●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★来週の、この番組も「ドライブ感覚ジャズ」と題して、爽快なドライブ感の大人のジャズを。
ご期待ください。


●8月の二子玉川サンセット傑作座のベストはピーター・フォークとウディ・アレン共演!!!

2011年09月03日 | Weblog

●8月の二子玉川サンセット傑作座(自宅)上映ベストテン

1/『サンシャイン・ボーイズ』(95)監督/ジョン・アーマン 主演/ピーター・フォーク VHS
   昔コンビだった漫才芸人が再会するが、口喧嘩ばかりしていて仕事にならない。ウディ・アレン共演の秀作。

2/『酔いどれ天使』(48)監督/黒澤明 主演/三船敏郎 DVD
   戦後復興の泥沼のような街。酔いどれ天使のような老医者は、肺病を患っているならず者の男に何かと気をかける。

3/『マーティ』(55)監督/デルバート・マン 主演/アーネスト・ボーグナイン LD
   風采の上がらない中年男マーティは、怠惰な終末にケリをつけて孤独な女性に声をかけた。アカデミー作品賞の傑作。

4/『死刑執行人もまた死す』(43)監督/フリッツ・ラング 主演/ブライアン・ドンレヴィ DVD
   戦時中ナチスの首脳が暗殺され、ゲシュタポは犯人探しに必死で街のユダヤ人を徹底的に調べるサスペンスの力作。

5/『ハート・オブ・ゴールド』(05)監督/ジョナサン・デミ 主演/ニール・ヤング DVD
   円熟のニール・ヤングが、亡くなった父親のために唄う鎮魂のステージ。痛恨のラストシーンは監督のハートの歌だ。

6/『こわれゆく女』(75)監督/ジョン・カサベテス 主演/ジーナ・ローランズ LD

7/『名探偵再登場』(78)監督/ロバート・ムーア 主演/ピーター・フォーク DVD

8/『ポケット一杯の幸福』(61)監督/フランク・キャプラ 主演/ベティ・デイビス DVD

9/『小早川家の秋』(61)監督/小津安二郎 主演/中村鴈治郎 DVD

10/『地球は女で回ってる』(97)監督/主演/ウディ・アレン LD

★その他に見た傑作
『消された証人』(55)ジンジャー・ロジャース
『ピンク・キャデラック』(89)クリント・イーストウッド
『狼たちの街』(96)ニック・ノルティ
『名探偵登場』(76)アレック・ギネス
『七人の愚連隊』(64)フランク・シナトラ
『西部の王者』(44)ジョエル・マクリー などでした。


●『ステイ・フレンズ』の意外で嬉しいNYロケシーン。

2011年09月03日 | Weblog

●9月2日(金)13−00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M−107『ステイ・フレンズ』Friends wit Benefits (2011) sony / castle rock
監督/ウィル・グラック 主演/ジャスティン・ティンバーレイク ★★★☆☆
狙いは「ソーシャル・ネットワーク」と「フレンズ」の路線を意識した都会派セックス・コメディ
ヘッドハンター、ミラはニューヨークの「GQ」の編集ディレクターにLAのジャスティンを抜擢。
意気投合したふたりは、それぞれ失恋直後で、仕事も超多忙なので、感情ぬきのセックスだけの関係を選ぶ。
それはそれで愉しいのだが、独立記念日の休暇に一緒にロスの家族のもとに帰ったことから、関係に亀裂が生じる。
まさに70年代のセックス・コメディの定番シチュエイション。
ドラマは予想通りの展開になるが、その設定に工夫があり、それがいいのだ。
そしてこの映画の魅力は、ニューヨークとロサンゼルスの見所紹介が素敵なことだ。
★ブロードウェイのテケツ広場で500人の群衆が「ニューヨーク、NY」をラップ調ダンスを踊る。
★セカンドアベニューの51丁目角ビルの70階位の屋上で、エンパイアーステイト・ビルの夕景を見る。
★道路渋滞でハドソン河をモーターボートで横切る。
★グランドセントラルのコンコース広場で、500人の群衆が踊り、ふたりを祝福する。
★ハリウッドのサインボードの上でデートしてヘリに救出される。
などなど、このふたつの街が好きな人には、本当に嬉しいシーンが続出。それで満足。
現代の「アニー・ホール」は、遊びも進化したようだ。

■打球がセカンドベースに当たって飛び上がりヒット。
●10月、渋谷シネクイントでロードショー


●『8月の試写ベスト』は、お猿さん軍団の圧勝でした。

2011年09月02日 | Weblog

●8月に見た新作試写ベスト・3

1/『猿の惑星/創世記(ジェネシス)』監督/ルパート・ワイアット 主演/ジェームズ・フランコ ★★★★
   あのシリーズの発端ともいえる猿たちの知覚異変はなぜ起こったのか。新しい撮影方法による驚異的アクション。

2/『ラブ&ドラッグ』監督/エドワード・ズウィック 主演/ジェイク・ギレンホール ★★★☆☆☆
   新薬セールスマンの彼のガールフレンドは、難病の患者。薬ではなく愛で医療しようとする男の献身と勇気。

3/『プリースト』監督/スコット・スチュワート 主演/ポール・ベタニー ★★★☆☆
   ヴァンパイア集団の来襲に立ち向かうプリーストたちの、西部劇のように爽快なスピードとアクションの新感覚。

★その他に見た新作では、
『探偵はBARにいる』、『カンパニーマン』、『アジョシ』、『ラルゴ・ウィンチ』、『ゴモラ』、『女と銃と荒野の麺屋』、『フェアゲーム』が面白かった。デス。