●4月に見た新作試写ベスト3
1/『幸せへのキセキ』監督/キャメロン・クロウ 主演/マット・デイモン ★★★★
リストラされ、妻が病死して子供たちからも蔑視された中年記者マットが、人生リセットのために取った意外な行動実話。
2/『ミッシングI.D.』監督/ジョン・シングルトン 主演/テイラー・ロートナー ★★★☆☆☆
何不自由なくキャンパスで部活する青年は、ある調査の行方不明者サイトで、自分の少年時代の写真を見つける。ニュータイプ・アクション。
3/『ラム・ダイアリー』監督/ブルース・ロビンソン 主演/ジョニー・デップ ★★★☆☆
中米のプエルトリコに左遷されたジャーナリストは、レイジーな日々に富豪と軍部の癒着の実態に気づいてしまう。60年代のブラックな味。
●その他に見た傑作は
『プレイ/獲物』エリック・ヴァレット作品
『ハングリー・ラビット』ニコラス・ケイジ主演
『ソウル・サーファー』ショーン・マクナマラ作品
『ジョイフル・ノイズ』トッド・グラフ作品。・・・といったところ。
●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)
今夜の放送/ Vol.092『河と橋/ジャズの旅・2日目』Jazz across the Bridge by the River
★春の河、そこには必ず素敵な橋がある。
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎
★4月29日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介
1/『ブリッジ・スルー・タイム』演奏/ロニー・リストン・スミス
2/『ウォーキング・バイ・ザ・リバー』唄/エラ・フィッツジェラルド
3/『クライ・ミー・ア・リバー』唄/ハリー・コニック・JR
4/『ムーン・リバー』唄/ジャネット・シーデル
5/『リバー・ステイ・アウェイ』唄/ジミー・ランシング
6/『リバー・ステイ・アウェイ』唄/フランク・シナトラ
7/『イースタンアベニュー・リバー』唄/ジェリー・ジェフ・ウォーカー
★今週の映画紹介/『ブライズ・メイズ』主演/クリスティーン・ウィグ
●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、5月6日(日)「キッズ・デイズ」と題して、楽しい子供たちのためのジャズを。
どうぞ、ご期待ください。
●4月27日(金)13−00 六本木<FOX映画試写室>
M−051『幸せへのキセキ』We Bought a Zoo (2012) 20th century fox / LBI entertainment
監督/キャメロン・クロウ 主演/マット・デイモン <124分> ★★★★
妻に病死され、会社をクビになり、息子とも息の合わないジャーナリストのマットは決めた。
どうせ残りの人生だ。がらっと別のコースを生きよう。
で、ど田舎の格安の一軒家屋を買って再出発。と、覚悟を決めた。
しかし、その物件には必須の交換条件があって、倒産寸前の小さな動物園の動物飼育の管理をしなくてはならない。
絶滅動物と、人間嫌いな飼育関係者たちとのリセットの人生。
何と、これは実話というから、アメリカには酔狂な人もいるものだ。
はじめは挫折だらけのコメディ・タッチだが、さすがは「ザ・エージェント」などの逆境人生を得意とする監督は、後半冴えて来る。
自分の人生をリセットするマットは、不慣れな動物たちとの交流を通じて、実は家族との人間形成にも情愛が甦るのだ。
このシナリオ構成と、細かな演出が素晴らしく、見ていて、こちらも動物園復興に強力したくなる。
公開される「幸せの教室」にも似ているが、こちらは密度が遥かに濃くて面白い。
そしてアクション系の多いマットも、実に柔軟な好演ぶりは、さすがだ。
邦題の「キセキ」は、奇跡ではなく、軌跡の方の意味らしい。
早くも、次回アカデミー賞の有力候補作品の登場だ。
■軽く上がったファール性のレフトフライがそのままポールに当たるホームラン。
●6月8日より、日比谷スカラ座などでロードショー
●4月24日(火)13−00 目黒<ウォルト・ディズニー試写室>
M−050『崖っぷちの男』Man on a Ledge (2012) summit entertainment / buena vista
監督/アスガー・レス 主演/サム・ワーシントン <102分> ★★★☆
ニューヨークのマディスン街にあるルーズベルトホテルの21階の窓から、飛び降りようとしている男サム。
なぜ彼は自殺しようとしているのかが、フラッシュバックされる。
彼は警察官だったが、窃盗容疑で服役中。
父の葬儀で仮出所中に逃亡して、このホテルの窓から出た。
テレビで中継される騒ぎの中、ご指名の女性交渉人が説得にあたる。
しかし、この男には自殺の意志はなく、説得の時間を引き延ばそうとするようだ。
それ以上は、このミステリーのネタばらしになるので遠慮するが、どうも狙いが複雑すぎる。
だいいち、入獄中に、これだけ緻密な計画と準備がどうして出来たのだろう。
自分を罠に仕掛けた宝石業のボスに復讐するにしては、どうも作戦が欲張りだ。
「アバター」のサムも、スーツは似合わないし、芝居もイモ臭く、名優エド・ハリスもクサい。
つまり、演出が撮影の段取りに翻弄されてか、肝心に人間的な部分が出て来ていない。
アイデアを欲張りすぎたハリウッド・エンターテイメント。またも崖っぷち。
このホテル。10年くらい前に泊まったことがあるので、懐かしくて☆をプラスした。
■初球狙いのヒットはいいが、セカンドを狙って憤死。
●7月7日から、丸の内ルーブルなどでロードショー
●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)
今夜の放送/ Vol.092『河と橋/ジャズの旅』Jazz across the Bridge by the River
★春の河、そこには必ず素敵な橋がある。
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎
★4月22日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介
1/『スワニー・リバー』演奏/デイブ・ブルーベック
2/『レイジー・リバー』唄/ルイ・アームストロング
3/『チェルシー・ブリッジ』演奏/ベン・ウェブスター
4/『クライ・ミー・ア・リバー』唄/ジュリー・ロンドン
5/『レイジー・リバー』演奏/ジョージ・シアリング
6/『明日に架ける橋』唄/ケイコ・リー
7/『オールマン・リバー』唄/フランク・シナトラ
★今週の映画紹介/『ブラック&ホワイト』主演/リース・ウィザースプーン
●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、4月29日(日)「リバー&ブリッジ/2」と題して、河と橋をテーマにしたジャズをもっと。
どうぞ、ご期待ください。
●4月20日(金)13−00 六本木<シネマート3F試写室>
M−049『ミッシング I D』 Abduction (2012) lions gate / gotham group
監督/ジョン・シングルトン 主演/テイラー・ロートナー <106分> ★★★☆☆☆
ピッツバーグの高級住宅地に住む高校生のテイラーは、行方不明人サイトを検索していて、自分の写真を見つける。
子供の時の写真だが、着ていたシャツの記憶はある。
名前も住所も全く違う自分がいたのだ。
しかし数日後にテロリスト・グループの襲撃で両親は殺され、テイラーはガールフレンドと共に逃げる。
あの「ボーン・アイデンティティ」のジェイソン・ボーンと同様の設定。
とはいえ、ベテランのアクション監督は、要所要所に斬新なアイデアを盛り込み突っ走る。
どうやら生みの親も、育てた両親も政府の秘密調査機関に働く人間だったらしい。
そして国家機密を探るロシアの工作員との、影の戦争を繰り返していたのだ。
ヒッチコックのスパイ映画のような、交通機関を駆使した追いつ追われつの逃避行がノンストップで走る。
よけいなラブシーンや、無駄なカットもなく、クライマックスはパイレーツの野球場。
メジャーリーグ・ファンのわたしとしては、あの球場にカメラが入っただけで嬉しくて☆のおまけとなる。
また、恐らく、このシリーズも続いて制作されるだろうが、楽しみな切り口だ。
不思議な事に、主演のテイラーのヤボな青年も、ラストでは立派なヒーローに見えた。
■左中間の当たりが意外に伸びてスライスし、フェンス直撃のツーベース。
●6月1日より、全国ロードショー
●4月19日(木)13−00 渋谷<ショウゲート試写室>
M−048『ハングリー・ラビット』Seeking Justice (2011) endgame entertainment / aura films
監督/ロジャー・ドナルドソン 主演/ニコラス・ケイジ <106分> ★★★☆☆
さすがはベテラン監督の手堅いアクション快作だ。
学校教師ニコラスの妻が、ある夜、暴漢に襲われて重傷で入院した。
病院の待合室で見知らぬ男に同情されて、犯人は捕まっても1年程度で解放される。
あんな奴は始末した方が街のためだ。「そう思うだろう」と暗殺の示唆を告げて同意を求める。
そして翌日、警察の捜査の始まる前に、妻にプレゼントしたネックレスを持った不審者の死体が見つかる。
すると謎の電話で、不思議な指示が続いた。復讐の見返り要求なのだ。
あのデヴィッド・フィンチャーの「ゲーム」や「ファイト・クラブ」に似た設定だ。
そしてニコラスへの無理な要求が続く。
まさにサラ金からの借金地獄のように、危険な強要が拡大されて、彼は逃げ場を失って行く。
かなり知的に練られたシナリオを、監督は相変わらずスムーズな演出で飽きさせない。
作品の多いニコラス・ケイジにとっても、久しぶりに硬派なサスペンス。
殺人代理業のテーマは、よく描かれる話だが、この作品の着地は納得できた。
■ファールで粘って逆玉を左中間に痛打。技ありのヒット。
●6月16日より、新宿バルト9ほかでロードショー
●4月17日(火)13−00 目黒<ウォルト・ディズニー映画試写室>
M−047『ソウル・サーファー』Soul Surfer (2012) enticing entertainment / island film
監督/ショーン・マクナマラ 主演/アナソフィア・ロブ <106分> ★★★☆
ハワイの海でサーフィン中に、鮫に襲われて左腕を失った女性サーファーの復活の実話。
もしこれがフィクションならば、ただの青春根性映画だろうが、実話というのが大きい。
カウワイ島に住む陽気なサーファー家族。
地区のサーフィン競技会に出場すべく練習中に、突然の災難にあった13歳のベサニーは緊急搬送された。
かろうじて命はとりとめたものの、医者は彼女の精神的なショックの大きさを気遣った。
しかし、彼女は退院した直後も、片腕で海に向かった。
シナリオは特に精神的な葛藤を描くでもなく、淡々と復帰して行く姿をドキュメント・タッチで追う。
それが映画としては、実にサラリとして、屈託のないファミリー映画として、ごく健全だ。
ま、ことの重大さを厳しく描かれても閉口するが、それは実に軽いノリなのがよろしい。
よく晴れたハワイの海と、勇気あるサーファーの姿を見る、実に健全な根性実話ではある。
見事なパイプラインの映像も、サーフ映画ファンには魅力。あのヘレン・ハントも母親役を好演している。
それにしても、片腕のないサーフィン映像を、よくぞここまで処理できたもの、と、余計な感心もした。
そこがハリウッドの技術の凄さだろう。アカデミー特殊効果賞ものである。
■左腕のデッドボールで出塁。
●6月9日より、全国ロードショー。
●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)
今夜の放送/ Vol.092『アメリカ中西部ジャズの旅』Jazz across the USA
★好天の春、懐かしいミスター・ボー・ジャングルとの旅」など、どうですか?
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎
★4月15日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介
1/『ルーズ・ユアセルフ』唄/エミネム(映画「8mile」より)
2/『アラバマ』演奏/ニール・ヤング
3/『ワン・トゥ・テン・トゥ・オハイオ』演奏/ジェリー・マリガン
4/『ミスター・ボージャングル』唄/ジェリー・ジェフ・ウォーカー
5/『ユー・ドント・ウォント・マイ・ラブ』唄/キム・カーンズ
6/『シカゴ』唄/フランク・シナトラ
7/『メンフィス・アンダーグラウンド』演奏/ハービー・マン
★今週の映画紹介/『ゴーストライター』主演/イアン・マクレガー(昨年度キネマ旬報ベストワン作品)
●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、4月22日(日)「リバー&ブリッジ」と題して、河と橋をテーマにしたジャズを。
どうぞ、ご期待ください。
●4月13日(金)13−00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>
M−046『ジョイフル・ノイズ』Joyful Noise (2011) warner brothers / alcon entertainment
監督/トッド・グラフ 主演/クイーン・ラティファ <112分> ★★★☆
タイトルの意味は「歓喜の騒音」ではなくて、全米の聖歌隊の歌唱コンテストの名称だとか。
各都市には多くの教会があるが、その教会所属の聖歌隊というのは、すべてボランティア。
古くはビングの「我が道を往く」から、ウーピーの「天使にラブソングを」など、聖歌隊の映画は多い。
あの「ブルース・ブラザース」も傑作だった。
ジョージア州の小さな町の聖歌隊も、町の不況で元気がない。
それでもクイーンと、ドリー・パートンは音楽好きの若い信者を集めて、ロスの全国大会に出場しようと励む。
まさにあの秀作「ブラス!」と同じ発想。でもこちらはアメリカン・カントリー。
もともとマイケル・ジャクソンやポール・マッカートニーの曲は賛美歌になる曲想のものが多い。
だから迫力のビートに乗せたコーラスで聞く曲のメドレーは、まさにミュージカル。とってもコンサートのように愉しい。
ラストの決勝戦で、大衆のノリが悪いのを察知したラティファは突然、スライ&ファミリー・ストーンの名曲に切り替える。
かくして、めでたく聴衆は熱狂するが、思わずこちらの足もリズムに同調する。
ぜひ、サウンドのいいシアターで楽しんで頂きたい、ミュージカルだ。
「シカゴ」でオスカーを受賞した、クイーン・ラティファが、本来の魅力を炸裂させるのが、とても嬉しい。
そうそう、あのクリス・クリストファーソンも久々に唄って聞かせる。
■ファールで粘って、とうとうフォアボール。
●4月28日より、シネマート新宿などでロードショー