●5月27日(火)10-00 神谷町<SONY映画試写室>
M-056『ハウス・オブ・カード/野望の階段』"House of Cards" (2013) MRC2 distribution company / sony pictures
監督・デヴィッド・フィンチャー 制作・主演・ケビン・スペイシー <100分> 提供・ソニー・ピクチャーズ ★★★☆
このところ、スティーブン・ソダーバーグ、フランク・ダラボンや、このデヴィッド・フィンチャーなどの、ハリウッド大物一級監督がテレビ・ドラマに進出が目立つ。
というのも、ハリウッド映画の制作が膨大な制作費をかけた大作で世界配給を目指すために、リスクが大きくてプレッシャーも強いので、巨匠たちは遠慮がちなのだ。
これもテレビのための13時間にも及ぶ政治サスペンスだが、ほぼ90分で、ひとつのエピソードにまとめられていて、今回はその13章がDVD発売される。
で、今回はそのプロモーションを兼ねて、最初のエピソード2話分が、ソニーの試写室でお披露目というので、駆けつけた。だって、フィンチャーだろ・・・が。
フィンチャー監督自身もプロデュースしているシリーズで、ケビン・スペイシーがワシントン下院の院内幹事の政界策士を演じているポリティカル・サスペンス。
次期国務長官のポストを狙っていた彼は、突然にその野望を外されて憤慨。突然に変動したホワイトハウス側の動きを探るべく、新聞社も巻き込んで独自に捜査をしていく。
時々カメラ目線で、愚痴をこぼすケビン・スペイシーの囁きが、いかにもテレビ映画的な演出で面白い。
昔から特にアメリカでは人気のある政界暴露ものだから、このエピソードは、たしかに面白くて興味をそそられるのだが、そこは一話が55分という枠があって、ちょいと食い足りない。
国務長官選挙を巡っては、ヘンリー・フォンダ主演の「野望の系列」が面白かったが、あの作品でチャールズ・ロートンが演じた疑惑の議員が、このケビンの役回りだ。
映画ではフランケンハイマー監督の「5月の7日間」のような、院内疑惑の大統領サスペンスの傑作があったが、ここでは、エピソードのタイムリミットがリスクになっている。
せっかく面白くなったのに、55分で強制終了して、別のエピソードに移る。これはテレビ映画の宿命で、結局は中編ドラマのつなぎとなってしまう、その不満が残るのだ。
あのヒッチコック劇場だって、かなり秀逸なエピソードはあっても、2時間の映画には適わない。2つのエピソードを続けて見ても、その不満は消えない。
ま、それでもさすが、フィンチャーの演出だから退屈はしない一級サスペンスだ。まさに回転寿司の感覚でつまみ食いするのもいいだろう。
■初球を狙っての、予想通りのセンター返し。
●6月4日、初回13話分、DVD,ブルーレイ全国発売。