●10月24日(金)12-30 六本木<FOX映画試写室>
M-120『ゴーン・ガール』"Gone Girl" (2014) 20th century fox / regency enterprises
監督・デヴィッド・フィンチャー 主演・ベン・アフレック <149分> 配給・20世紀フォックス映画 ★★★☆☆☆
これまた今度のアカデミー賞にはかなりの部門でのノミネートが予測される新作だが、ストーリーの成り行きは全く予測できない2時間半。
基本的には、わたしの精神的なテンションの持続は、サッカーの試合のように90分くらいだ。だから2時間を越える映画は疲れるので遠慮したい。
が、この映画は「フューリー」と同様に、遥かに2時間を越えるラニング・タイムなのに、まったく退屈しないし、エンド・クレジットも気にならない。
もちろん長いからオスカーを狙える豊富な内容を持続できるのだが、それはスタッフの技量の問題で、そこがアカデミーでは論議されて、評価されるが、これはその対象に値する。
たしかにデヴィッド・フィンチャー監督の力量は堅実で、わたしの好みでもあり、しかもサスペンス映画となるとワクワク、とにかく最優先で試写室に向かうのだ。
さて、これはタイトルのように、女性失踪の映画。あのサンドラ・ブロック主演の「失踪」や、最近では「マーサ・メイ・・・」が非常に洗練されていて印象的だった。
3年前に、必殺のオスカー候補だった「ソーシャル・ネットワーク」が受賞を失したあと、フィンチャーは、彼本来の「セブン」のようなサスペンスをテーマに選んだ。・・・と思った。
ところが、この作品は複雑怪奇。その結婚5年目の記念日なのに、べン・アフレック夫妻の奥様が消えた。子供はいないが、リッチな家は荒らされていて、明らかに誘拐事件。
そこでミズーリ州の田舎町では大騒ぎ、ベンがテレビで妻の失踪による捜索願いの生放送で実態を訴える。もちろん地元警察は必死で捜索するが見つからない。それまで映画の前半は事件ものだ。
しかし自宅から、妻のロザムンド・パイクが残したらしい、捜索のヒントになる手紙が発見されてからは、どうやらこの事件、知能的な推理ゲームのような異様な展開となっていく。
だから、これ以上の後半は<ネタバレ>になるので書けないが、ドラマは「氷の微笑」や「危険な情事」のような、とても予測のできない猟奇的な心理ゲームのようになっていくのだ。
実に冴えたカメラによって、消えた妻はドラマの後半で驚くべき逆転劇を展開していく、さすがフィンチャーの映画術は、ここでも多くのアカデミー賞を狙うのだ。
■鋭いライナーがライトのフェンス上段に当たり、ファールグラウンドに転々。
●12月12日より、TOHOシネマズ日劇ほかでロードショー