細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『マーウェン』は、フィギュア・マニアのヘイトクライム、という、かなりの異色。

2019年06月29日 | Weblog

6月21日(金)13-00 半蔵門<東宝東和映画試写室>

M-045『マーウェン』"Welcome to Marwen " (2019) Universal International. Dreamworks Pictures / Imagine Entertainment

監督・脚本・ロバート・ゼメキス 主演・スティーブ・カレル、ダイアン・クルーガー <116分・シネマスコープ・東宝東和映画配給>

<ヘイトクライム>という言葉の認識の薄かった当方は、かなりフォローしきれない作品だが、これをスピルバーグがプロデュースに関わった、という。

とにかく、一種の精神傷害のような病癖なのだが、徴兵制度のあったアメリカでは、希望入隊にしても、その過酷な体験の衝撃で精神に異常をきたした人は多い筈。

そうでなくても日常的に、都会では特に無差別に、感覚的にプレッシャーを感じることは多く、それを<他人事事例>として見過ごせるタフなメンタルな人はいいが・・・。

この作品の<マーウェン>は、生来の神経過敏障碍をもった男で、<クロスドレッサー>という軽い女装癖傷害があって、それで暴力行為を受けて入院した。

しかしアルコール依存症もあって離婚経験もある彼は、その暴行が原因で記憶喪失となり、過去の記憶はなくなり、フィギュア人形の製作と収集に拘わるようになった。

そうした青春期のプレッシャーや離婚などから、一応はアメリカ海軍を名誉除隊していた年金で自活はできるものの、幼児的なフィギュア収集の病根はつきまとう。

こうした障害者は,アメリカなどの徴兵制度のある社会では多いらしく、過去にも「暴力行為」や「愛しのシバよ帰れ」「他人の家」などなど、客観的には扱われていた。

ゼメキス監督の名作「フォレスト・ガンプ・一期一会」も、どちらかというと<ヘイトクライム>のテーマと解釈してもいいだろうし、実は根強い精神傷害らしい。

ま、この作品では、そこを深くは切り込まないで、むしろ軽めのライト・コメディにしているものの、ちょっと見ていて中途半端な喰い足りなさも残った異色作品だ。

 

■ボテボテのサードゴロで一塁同時のリクウェスト・・。 ★★★?

●7月19日より、全国ロードショー


●『トールキン*旅のはじまり』で待ち受ける波瀾万丈な人生が小説のネタ。

2019年06月26日 | Weblog

6月19日(水)13-00 六本木<FOX映画試写室>

M-044『トールキン:旅のはじまり』" Tolkien" (2019) 20th century Fox, OX Searchlight Pictures / Chelnin Entertainment.

監督・ドメ・カルコスキ 主演・ニコラス・ホルト、リリー・コリンズ、コルム・ミーニー <112分・シネマスコープ>配給・20世紀フォックス映画

いまや年号も代わり、すっかりとハリウッド映画会社も変革してしまい、メジャーで残っているのは、このフォックスとユニヴァーサルのみか・・。

と寂しい思いをしつつFOX映画の試写室に行ったものの、この新作だってハリウッド映画というよりは、「ロード・オブ・リングス」や「ホビット」の仲間。

それだけ、映画界も、<ハリウッド主導>だった時代が過去になり、もうパラマウント映画やMGMなどの、かつてのメジャーの作品は、・・・ない。

この作品も、「ロード・オブ・リングス」や「指輪物語」などの原作者J・R・R・トールキンの青春時代の回想録のような、むしろイギリス映画なのだ。

どうも「ハリーポッター・シリーズ」や「ロード・オブ・リングス」、それに「ホビット」なども、みな同じように見えてしまうオールドファンには無差別なのだ。

しかも、この新作は、それらの創作冒険絵巻と違って、その原作者のトールキンの青春時代なので、似ている背景や人生展開までが、すべてミックス・ダウンした感じ。

たしかに、幼くして父親を失い、アフリカに生まれたトールキンは、母も12歳のときに急死して、孤児となったトールキンの人生は多難続きだった。

しかし孤児となったトールキンは、母の友人だった牧師の後見でロンドンに移住して、オックスフォード大学に入学するほどの学力をつけたが第一次世界大戦勃発。

激戦地では、親友たちも目前で銃弾の犠牲になり、たしかにトールキンの青春は、とてもわれわれのような平和な時代に育った者には想像を絶する地獄だったに違いない。

その波乱の青春、そして「ロード・オブ・・・」の長編や「ホビット」のようなヒット小説を書き上げるに到る人生が綴られて行くという、ご苦労様作品だ。

 

■大きなライトフライだが、上がり過ぎで滞空時間の長いデカ・フライ。 ★★★☆

●8月30日より、TOHOシネマズ日比谷他でロードショー


●『メン・イン・ブラック:インターナショナル』は、シリーズ番外編だ。

2019年06月23日 | Weblog

6月18日(火)10-50 二子玉川<109シネマズ・9スクリーン・RS>

M-043『メン・イン・ブラック・インターナショナル』"Men in Black:International" (2019)Sony Pictures/Columbia Presents.

監督・F・ゲイリー・グレイ 主演・クリス・ヘムズワース、リーアム・ニースン<119分・ワイド>ソニー・ピクチャーズ配給

ロクに試写も、宣伝もしないで緊急公開している、この大好きだったシリーズ3作目は、主演のトミー・リーとウィル・スミスではないところが致命傷。

ま、ウィルは売れっ子で「アラジン」に出演していたし、トミー・リーもご多忙なのか、この新作は「メン・・」ではなく、「カップル・イン・ブラック」なのだ。

若返りを狙ったのか、一応は、ブラック・スーツにサングラスの女性と、新米社員のような不器用な2人組捜査官は、組織内犯罪の摘発でロンドンに飛ぶ・・・。

という発想はともかく、あのラップのリズムのメイン・テーマもなく、サングラスもかけない若手ふたり組のコンビは、まったくシリーズの個性が似合わないのだ。

加えて上司のリーアム・ニースンも終始不機嫌でまったく場違いのままなので、せっかくの、あのシリーズの痛快なバカ乗りコメディを期待した当方の見当違い。

わけのわからないアラブ系の二人のテロリストも、ただボーッと出てくるだけでサスペンスもまく、ファンとしては別ブランド・パッケージを見せられた気分。

これだけ「MIB」のニュアンスのない新作ならば、タイトルも替えるべきじゃないのか・・・と、不快感で、クレジットも見ないで退出した。

 

■代打指名はいいとして、三球三振。 ★★

●全国公開中


●『プライベート・ウォー』は、凄まじい戦場取材女性記者の迫力人生。

2019年06月21日 | Weblog

6月14日(金)13-00 築地<松竹本社3F試写室>

M-042『プライベイト・ウォー』" A Private War " (2018) APW Films, LLC, All Rights Reserved.

監督・マシュ・ハイネマン 製作・シャーリーズ・セロン 主演・ロザムンド・パイク、スタンリー・トゥッチ <110分・シネマスコープ>配給・ポニーキャニオン

戦争報道という危険な激務は、誰も望んで現地取材はしたくないだろうが、この作品のヒロイン、マリー・コルヴィンは自ら望んでシリアに赴いた。

2000年に、外国人記者協会の<ジャーナリスト・オブ・ジ・イヤー>賞を受賞した女性記者のマリーは、2012年にはシリアの戦場に志願して取材。

それまでにも、多くの中東紛争の現地取材を志願して決行し、スリランカでは砲弾の爆破に遭って左目を負傷して視力を失い、黒い眼帯がトレイドマークとなった。

<アラブの春>の紛争では、チュニジア、エジプト、リビアなどの現地取材をして、カダフィ大佐を取材したが、ボリビア人の夫は自殺。

その傷心からか、片目アイパッチの彼女は、「サミー・デイビス・ジュニアのようだ」と皮肉を言われながらも、戦渦のシリアなどを現地取材し12年の2月に取材中a戦死。

56歳という激動の人生は、女性記者として讃えられて、多くの受賞を果たして高い評価を受けて、この映画は女優のシャーリーズ・セロンがプロデュースした。

「モンスター」の好演で03年にはアカデミー主演女優賞を受賞したシャーリーズは、当時、個人的に取材したことがあったが、まさに闘志満々の美女だった。

ホテルのエレベーターで別れてからも、ドアをまた開けて、「もっと、話したいことがあるの・・」と、廊下で立ち話したことがあったが、とにかく熱血女性。

だからこのヒロインも、シャーリーズが本当は演じたかったのだろうな・・・と思って見たほど、パワフルな女性映画で、戦争映画というと、彼女は怒るだろう。

 

■レフトの頭上を越えるライナーで、俊足のスリーベース。 ★★★★☆

●9月13日より、TOHOシネマズ・シャンテなどでロードショー


●『ワイルドライフ』で、平静を繕う家族の姿を静観していく少年の視線。

2019年06月18日 | Weblog

6月11日(火)12-30 六本木<キノ・フィルム試写室>

M-041『ワイルドライフ』"Wildlife" (2018) June Pictures / Magic Child+Nine Stories /Sight Unseen Productions

製作・監督・脚本・ポール・ダノ 主演・キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール <105分・ビスタサイズ> 配給・キノフィルムズ

 あまりパッとしなかったが、07年の「ゼア・ウィル・ビ・ブラッド」13年の「それでも夜は明ける」などに出演していたポールの初監督作品。

こういう俳優上がりの監督という作品も多いが、あのロバート・レッドフォードの初監督「普通の人々」を思い出させるような上質なアメリカン・フィルム。

恐らくはポール自身の過去の生活とか現実の悩みなどを、こうして60年代を背景にして、一気にドラマ化したような、無防備なほどの情熱が熱い傑作だ。

原作はピューリッツアー賞を受賞したリチャード・フォードの小説で、ポールは、あの「エデンの東」などの巨匠エリア・カザンの孫のゾーイ・カザンと共同脚色。

カナダに近いモンタナの田舎町で暮らす14歳の少年の生活は、父親の失業と出稼ぎから崩れ出して、母親はスイミング・スクールで働き、アルバイトを余儀なくされる。

とくに仕事もない写真館でアルバイトをすることになった少年エド・オクセンボールドの視線から見える日々は、舵をなくしたボートで、荒波を航行していくような波乱。

まさに音もなく崩れ落ちて行く<ワイルドライフ>なのだが、まるで、そこはクールに、あの「セールスマンの死」や「愛しのシバよ帰れ」のように冷静を装うのだ。

一見、何事もなく健全に生活している一般家庭でも、実は<火の車>なのだ、という視線を、あくまで多感な少年の視線を通じて描いて行くスタンスはお見事。

いろいろとゴタゴタがある家庭なのだが、写真館でアルバイトしている少年が、ラストで3人だけの家族写真を撮ろうとする、その少年の優しさにホロリとした。

 

■左中間をライナーで抜くヒットで、一気に三塁に滑り込みセーフ。 ★★★★☆

●7月5日より、新宿武蔵野館他でロードショー


●『ホット・サマー・ナイツ』は<熱いトタン屋根のガキ猫>のようだが。

2019年06月16日 | Weblog

6月3日(月)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-040『ホット・サマー・ナイト』"Hot Summer Night " (2017) A24 and Imperative Entertainment. 

監督・脚本・イライジャ・バイナム 主演・ティモシー・シャラメ、マイカ・モンロー <107分・シネマスコープ>配給・ハピネット

1991年のアメリカ東海岸、有名な避暑地ケープコッドの夏。

アメリカは湾岸戦争に突入し、<クイーン>のリード・シンガー、あのフレディ・マーキュリーがエイズで亡くなった夏。

1942年には、あの名作「おもいでの夏」がここで生まれたが、この東海岸には地元の避暑客と、観光客が混沌となった夏休みとなる。

こうしたサマー・シーズンを背景にした青春映画は多いが、オールドファンにはトロイ・ドナヒューとサンドラ・デイの「避暑地の出来事」があった。

この作品も、その避暑地でのサマー・シーズンの夏には、父を亡くした少年ティモシーの傷心を案じた母親は、叔母の住むビーチの家でひと夏を過ごすことにした。

という、よくある設定の青春の<夏休み>映画なのだが、ここではホームドラマいうよりは、ちょっと不良っぽいティモシーのワンマン青春ドラマ。

ラストには、最大級のハリケーンが避暑地を襲い、凄まじい嵐のなかで、ティモシーの青春も凄まじい嵐に、まさに人生の試練を受ける・・という夏のおわり。

たしかに、ちぃと、アラブ系の顔立ちと肌色をしたティモシーのフル出演の青春映画として、試練の多い夏の日々だが、これからのシーズンには似合うリズムだ。

 

■ただのショートゴロをファンブルの間に、同時セーフ。 ★★★☆

●8月16日より、新宿ピカデリーなどでロードショー


●消えたソサエティ

2019年06月14日 | Weblog

わたしは、初めてアメリカン・ポップスを聞いてから、歌手フランク・シナトラのファンだ。それも、200枚ものLPレコードを持っているクレイジー。

7回の来日公演は,もちろん、すべて聞きに参上したし、

彼のパームスプリングの家まで、見に行った<追っかけ>である。

数十年前から、<フランク・シナトラ・ソサエティ>の会報には連載を描いて、ネタには不自由しないほど、<シナトラ・オタク>を自認している。

年に二回の<シナトラ・パーティ>にも欠席したことはない。

ところが、そのパーティが昨年の夏から、突然に消滅したのだ。

会長が突然のご病気らしい、というウワサは聞いたのだが、その真相がわからないままに、消息も不明となり、困惑している現状で、知友のメンバーに聞いても、誰も真相は知らないのだ。これはミステリーである。

会報に連載していた原稿も中断したままで、誰に相談しようにも方法がないという、今世紀最大のミステリーなのだ。どなたか、その真相をご存知の方は、教えてほしい。フランク・シナトラへの<礼儀>としても、ぜひ、この真相が知りたい。


●5月のニコタマ・サンセット傑作座は、シナトラの『抱擁』がダントツ・ベスト!!!

2019年06月13日 | Weblog

5月のニコタマ・サンセット傑作座・上映ベストエイト

 

*1・『抱擁』57(チャールズ・ヴィダー)フランク・シナトラ・VHS ★★★★☆☆

   実在の芸人ジョー・E・ルイスの姿を演じたシナトラの最高傑作で、むしろ彼自身の波乱の人生を回顧しているような深い味がジワリと沁みる。

 

*2・『タンデム』87(パトリス・ルコント)ジャン・ロシュフォール・VHS ★★★★

   地方巡業の寄席芸人ロシュフォールが、何でも屋の旧友ふたりで、フランスの田舎町を流して行くだけの、これはフーテンの寅さんの同族の人生行路。

 

*3・『ジンジャーとフレッド』85(フェデリコ・フェリーニ)マルチェロ・マストロヤンニ・VHS ★★★☆☆

   あのアステアとロジャースのダンス・コンビのパロディで、イタリアの田舎町を巡業するふたりの往年のカップルが魅せる、これも哀しいフィナーレ。

 

*4・『ストーン・コールド』05(ロバート・ハーモン)トム・セレック・DVD 

   ロバート・B・パーカーの原作による、リタイア警察官の中西部の小さな田舎町で起きた凶悪犯罪事件の捜査ぶりが、いかにも現代ウェスターンの紫煙。

 

*5・『フランキー・ザ・フライ』96(ピーター・マークル)デニス・ホッパー・VHS

   80年代のロサンゼルス暗黒街で、ギャングの手下として行きて来た下っ端男が、人生最期の賭けを決行するオフ・ビートなハードボイルド傑作。

 

*6・『ラケット』51(ジョン・クロムウェル)ロバート・ミッチャムのダーク・ノワールに、あああロバート・ライアンも共演の凄さ。

*7・『死の接吻』47(ヘンリー・ハサウェイ)ビクター・マチュア主演を喰ったリチャード・ウィドマークの本格ギャング・デビュー。

*8・『ランダム・ハーツ』99(シドニー・ポラック)ハリソン・フォードが主演の、珍しくも嬉しい、不審の浮気捜索ノワール。

 

●5月に見た試写ベストは、ヴェンダースの究極の遠距離ロマンス

2019年06月12日 | Weblog

5月に見た新作試写ベスト・5

 

*1・『世界の涯ての鼓動』(D)・ヴィム・ヴェンダース <ジェームズ・マカヴォイ、アリシア・ヴィキャンデル> ★★★★☆☆

    偶然に休暇で恋におちた二人の仕事は、絶対に再会不可能な関係の、何と中東の従軍記者と、深海の生物研究者だったが、恋はもっと強い。

 

*2・『さらば愛しきアウトロー』(D)・デヴィッド・ロウリー <ロバート・レッドフォード、トム・ウェイツ> ★★★★

    映画史最後のビッグ・スター、ロバート・レッドフォードが演じる窃盗常習犯で、先輩ポール・ニューマンへの友情のオマージュなのだろう。

 

*3・『誰もがそれを知っている』(D)・アスガー・ファルハディ <ペネロペ・クルス> ★★★☆☆☆

    スペイン南部の田舎町で起きた、結婚式の最中にの少女誘拐事件で、偶然に明らかになっていく、その驚くべき過去の家族の秘密とその真実。

 

*4・『シンク・オア・スイム』(D)・ジル・ルルーシュ <マチュ・アマルリック、ギヨーム・カネ> ★★★☆☆

    仕事を失い、家族とも離別した情けない中年のフーテン男子は、何気なく通った水泳スクールで、競泳の楽しみを見いだして世界大会へと・・。

 

*5・『アラジン』(D)ガイ・リッチー <ウィル・スミス,メナ・マスード> ★★★☆

    たしか92年に公開されたアニメーションの「アラジン」を、その主題歌が大ヒットしたので、実写映画化したディズニーの商魂には、恐れ入りました。

 

★その他に見た試写は、リーアム・ニースン主演『スノー・ロワイヤル』でした。


●『さらば愛しきアウトロー』でお別れの好漢レッドフォードの笑顔。

2019年06月10日 | Weblog

5月17日(金)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-037『さらば愛しきアウトロー』"The Old Man & the Gun" (2018) Twenties Century Fox Film Corporations

監督・脚本・デヴィッド・ロウリー 主演・ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック <93分・シネマスコープ>配給・ロングライド

何しろ、最後のハリウッド・スターともいえる、ロバート・レッドフォードも83歳で、これが<最後の出演映画>ということで、早々と試写室は満席。

ま、かく言う当方も、彼とはほぼ同じ歳で、彼の出演作品は恐らくは全部見て来たことだから、ファンではないが<同級生>気分のクラス会みたいなもの。

だから今さら悪口もいうつもりはないが、たしかに多くのレッドフォード・ムービーは見て来たわけだから、「明日に向かって撃て」や「スティング」が思い出す。

不思議なもので、これだけのビッグ・スターになると、好き嫌いではなくて、クラスメイトのような親しみを感じているので、批判的な事はいいたくない。

「愛と哀しみの果て」が素晴らしかったが、個人的には「追憶」が好きだったし、「華麗なるギャッツビー」も良かったが「普通の人々」の演出も光っていた。

ということは、なんだかんだ言っても、<ロバート・レッドフォード>は、この半世紀ほどは、文句なしの<ハリウッド大スター>だったのだ。

そしてこのラスト・ピクチャーとして出演したのも、またしても悪党であって、それも根っからの悪人ではなく、あのサンダンス・キッドのままなのがいい。

実在のアウトローだったという老人は、組織立った大きな窃盗をするでもなく、あくまで個人的な小遣い稼ぎの感覚で16回もの入獄と脱獄を繰り返して来た。

その真相はともかくとして、やはり先輩のポール・ニューマンが演じていて小悪党を好んで演じ通していて、この作品でも、その懲りない根性を見せてくれる。

 

■ゴロでライトに抜けた返球の隙に、セカンドに滑って判定セーフ。 ★★★☆☆

●7月12日より、TOHOシネマズ・シャンテ他でロードショー