★ニコタマ・サンセット座・12月上映ベスト
★1・『ダディ・ノスタルジー』89<ベルトラン・タベルニエ>ジェーン・バーキン・LD・老父と娘の、南仏の別荘ヴィラでの枯れた真情。
★2・『埋もれた青春』54<ジュリアン・デュヴィヴィエ>ダニエル・ジェラン・LD・誤認裁判で,青春を牢獄で過ごした男の決断。
★3・『離愁』73<ピエール・G・ラフェレ>ジャン=ルイ・トランティニアン・VHS・ナチス侵攻から逃れる列車で会った避難男と、ドイツ女性。
★4・『レイト・ショー』77<ロバート・ベントン>アート・カーニー・VHS・ウェスト・ハリウッドの安アパートに住む、映画に捨てられた人々。
★5・『マイクス・マーダー』84<ジェームズ・ブリッジス>デブラ・ウィンガー・DVD・ロスの安アパートで起きた殺人事件で浮かび上がった美女。
★6・『イギリスから来た男』99<スティーブン・ソダーバーグ>テレンス・スタンプ・DVD・ハリウッドで失踪した娘を探してイギリスから来た父親の復讐。
★7・『幸福への招待』56<アンリ・ヴェルヌイユ>フランソワーズ・アルヌール・VHS・イヴの夜に身分を偽ってゴージャスな時間と、真実の朝。
★8・『ノックは無用』52<ロイ・ベイカー>リチャード・ウィドマーク・DVD・ホテルのベビーシッターになったマリリン・モンローは情緒不安定な女性だった。
★9・『気まぐれ天使』47<ヘンリー・コスター>ケイリー・グラント・DVD・イヴの夜に、ベビーシッターや小間使いに現れた紳士は、天使だった。
★10『グランド・フィナーレ』16<パオロ・ソレンティーノ>マイケル・ケイン・DVD・スイスの養老院で静養している指揮者は、イギリス女王のオファーを蹴る。
★その他に見た傑作は、「犯罪河岸」「サタンバグ」「人生模様」「私家版」「犯罪都市」「第ニの機会」などでしたが、さすがは年末傑作ラッシュ。
●12月に見た試写ベスト・3
*1・『リチャード・ジュエル』監督・クリント・イーストウッド 主演・ポール・ウォルター・ハウザー ★★★★☆
1996年、アトランタ・オリンピック開催中に警備員のポールは爆発物が置かれているのを発見したが、なぜか彼が容疑者として逮捕された。
*2・『シェークスピアの庭』監督・主演・ケネス・ブラナー 共演・ジュディ・デンチ ★★★☆☆☆
晩年の作家シェークスピアが、自作戯曲の公演中にロンドンの劇場が事故で消失して、それを期に作家は故郷で晩年をすごした最期の日々。
*3・『影裏』監督・大友啓史 主演・綾野 剛 ★★★☆☆
芥川賞受賞の沼田真佑の原作を、故郷の盛岡を舞台にして描いた友人の失踪ミステリーで、盛岡市出身の大友監督が地の利を活かした傑作にした。
*その他に試写で見た傑作は、ビル・コンドン監督の「GOOD LIER・偽りのゲーム」、とか、ライアン・ジョンソン監督「ナイブス・アウト」がマズマズ。
●12月26日(木)14-00 汐留<FSホール特別披露試写>
M-105『ナイブス・アウト』"Knives Out " (2019) Lionsgate, MRC-T Street Productions, Motion Pictures Artwork
監督・脚本・ライアン・ジョンソン 主演・ダニエル・クレイグ、クリストファー・プラマー<131分・ビスタサイズ>配給・ロングライド
まさにあのアガサ・クリスティ原作のミステリーのように、古い英国のお屋敷で起きた密室殺人事件の、犯人当ての舞台劇のような、実に古風な作品。
イギリスの郊外にある古い城のようなお屋敷に住む高齢な85歳のクリストファーは、世界的なミステリー小説の作家だが、誕生日の翌朝に死体で発見された。
誕生日のパーティに招待されていた客の中に殺人犯はいるに違いない・・・という想定で、宿泊客が尋問されるが、アガサの「そして誰もいなくなった」のような設定。
事件のあとに、宿泊客はそれぞれにアリバイの尋問を受ける事になったが、匿名の依頼をうけて駆けつけたのは名探偵のダニエル・クレイグ、007だ。
尋問を受けるのは、その夜に城に宿泊していた一家の長老の母親や、二人の息子やその妻とか、その子供達や弁護士、家政婦などなど十数人が一応は容疑者となる。
その殺人事件を担当する、担当巡査や警部補などが次々に登場するので、かなり疑惑の関係者も多くて、地区の担当刑事や、外来の名探偵とその助手など・・・。
困るのは、演出が平板なのか、わざとそうしたのか、その尋問を受ける関係者が、みな一様に似たような容疑で尋問を受けて冷静な反応をするので、面白味がない。
しかもジェームズ・ボンド氏が、シャーロック・ホームズ気取りで、いかにも<したり顔>の名探偵のふりをするので、映画というよりも、舞台劇のようなタイクツさ。
この手の御家騒動の後継者財産争いの定番のような、意味深なドラマがダラダラと続くので、後半はもう犯人も判って来ているので、かなりダレた御家騒動で終わった。
■高く上がりすぎた平凡なレフトフライ。 ★★★
●1月31日より、TOHOシネマズ日比谷他でロードショー