●6月27日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-122 『永遠と一日』"Mia Eoniotita Ke Mia Mera (1998) Theo Angelopoulos Greek Film Centre, Greek Paradis Films, La Sept Cinema
製作・監督・脚本・テオ・アンゲロプロス 主演・ブルーノ・ガンツ、イザベル・ルノー、アキレアス・スケヴィス <ビスタサイズ・133分>
冬の港町の早朝、ギリシャのテサロニキで、明日は入院を控えている作家のブルーノは、重い病気で今日が人生の最期の外出日だということは、自覚していた。
肌寒い海辺をひとりで歩いていると、幸福だった自分の人生の思い出が、走馬灯のように脳裏をよぎっていくが、寂れた工場の跡で不良グループが摘発されていた。
偶然ひとりの少年を匿ったブルーノは、自分の子供だと言って警察の摘発を逃れてから、そのアルバニアからの難民少年を不憫に思い、その日を一緒に過ごしたのだ。
カフェで少しの食事を与えて、電車で国境の近くの駅まで少年を送っていくうちに、まるで、自分の子供のような情感が湧いて、久しぶりに心が温まった。
その国境への旅のあいだに、彼は若くして他界した妻との、つつましく、ささやかな時間を思い出し、ひとを愛することの幸福を久しぶりに味わって、ときを忘れていた。
映画のほとんどの時間は、その貧しい難民少年との、まさに<逃亡者>のような時間だったが、その間にも、ささやかながら妻との幸福だった時間が逆流したのだ。
たった一日の間に、彼は自分の人生の重要な時間を、その難民少年を救済することで、まさに再体験をして、多難で障害の多かった人生にも意義深いものを感じていた。
高原の寒い風の吹く国境で、その一日を過ごした少年との別れは、まさに自分の人生の中でも、もっとも有意義で光輝くものであったことに、一生の意味も自覚した。
どこかあの「ハリーとトント」を思い出させる、ひとりの老人の最期の時間は、高尚で裕福だった自分の生涯以上に、充実した一日だったことに、本来の幸福を知ったのだ。
雨の降る帰りのバスから見ると、マントを着て傘をさして走り行く自転車の数人とスレ違うが、その不思議にユーモラスなシーンに、人生を讃える監督のユーモアがあった。
まさに人生の流れを、たった一日の異国の少年との時間で描いた幸福と意義は、1998年の、カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドール大賞を受賞した。
■滞空時間の長い、フルカウントからのホームラン。 ★★★★★
●フランス映画社、日本ビクター・DVD
●6月27日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-122 『永遠と一日』"Mia Eoniotita Ke Mia Mera (1998) Theo Angelopoulos Greek Film Centre, Greek Paradis Films, La Sept Cinema
製作・監督・脚本・テオ・アンゲロプロス 主演・ブルーノ・ガンツ、イザベル・ルノー、アキレアス・スケヴィス <ビスタサイズ・133分>
冬の港町の早朝、ギリシャのテサロニキで、明日は入院を控えている作家のブルーノは、重い病気で今日が人生の最期の外出日だということは、自覚していた。
肌寒い海辺をひとりで歩いていると、幸福だった自分の人生の思い出が、走馬灯のように脳裏をよぎっていくが、寂れた工場の跡で不良グループが摘発されていた。
偶然ひとりの少年を匿ったブルーノは、自分の子供だと言って警察の摘発を逃れてから、そのアルバニアからの難民少年を不憫に思い、その日を一緒に過ごしたのだ。
カフェで少しの食事を与えて、電車で国境の近くの駅まで少年を送っていくうちに、まるで、自分の子供のような情感が湧いて、久しぶりに心が温まった。
その国境への旅のあいだに、彼は若くして他界した妻との、つつましく、ささやかな時間を思い出し、ひとを愛することの幸福を久しぶりに味わって、ときを忘れていた。
映画のほとんどの時間は、その貧しい難民少年との、まさに<逃亡者>のような時間だったが、その間にも、ささやかながら妻との幸福だった時間が逆流したのだ。
たった一日の間に、彼は自分の人生の重要な時間を、その難民少年を救済することで、まさに再体験をして、多難で障害の多かった人生にも意義深いものを感じていた。
高原の寒い風の吹く国境で、その一日を過ごした少年との別れは、まさに自分の人生の中でも、もっとも有意義で光輝くものであったことに、一生の意味も自覚した。
どこかあの「ハリーとトント」を思い出させる、ひとりの老人の最期の時間は、高尚で裕福だった自分の生涯以上に、充実した一日だったことに、本来の幸福を知ったのだ。
雨の降る帰りのバスから見ると、マントを着て傘をさして走り行く自転車の数人とスレ違うが、その不思議にユーモラスなシーンに、人生を讃える監督のユーモアがあった。
まさに人生の流れを、たった一日の異国の少年との時間で描いた幸福と意義は、1998年の、カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドール大賞を受賞した。
■滞空時間の長い、フルカウントからのホームラン。 ★★★★★
●フランス映画社、日本ビクター・DVD
●6月27日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-122 『永遠と一日』"Mia Eoniotita Ke Mia Mera (1998) Theo Angelopoulos Greek Film Centre, Greek Paradis Films, La Sept Cinema
製作・監督・脚本・テオ・アンゲロプロス 主演・ブルーノ・ガンツ、イザベル・ルノー、アキレアス・スケヴィス <ビスタサイズ・133分>
冬の港町の早朝、ギリシャのテサロニキで、明日は入院を控えている作家のブルーノは、重い病気で今日が人生の最期の外出日だということは、自覚していた。
肌寒い海辺をひとりで歩いていると、幸福だった自分の人生の思い出が、走馬灯のように脳裏をよぎっていくが、寂れた工場の跡で不良グループが摘発されていた。
偶然ひとりの少年を匿ったブルーノは、自分の子供だと言って警察の摘発を逃れてから、そのアルバニアからの難民少年を不憫に思い、その日を一緒に過ごしたのだ。
カフェで少しの食事を与えて、電車で国境の近くの駅まで少年を送っていくうちに、まるで、自分の子供のような情感が湧いて、久しぶりに心が温まった。
その国境への旅のあいだに、彼は若くして他界した妻との、つつましく、ささやかな時間を思い出し、ひとを愛することの幸福を久しぶりに味わって、ときを忘れていた。
映画のほとんどの時間は、その貧しい難民少年との、まさに<逃亡者>のような時間だったが、その間にも、ささやかながら妻との幸福だった時間が逆流したのだ。
たった一日の間に、彼は自分の人生の重要な時間を、その難民少年を救済することで、まさに再体験をして、多難で障害の多かった人生にも意義深いものを感じていた。
高原の寒い風の吹く国境で、その一日を過ごした少年との別れは、まさに自分の人生の中でも、もっとも有意義で光輝くものであったことに、一生の意味も自覚した。
どこかあの「ハリーとトント」を思い出させる、ひとりの老人の最期の時間は、高尚で裕福だった自分の生涯以上に、充実した一日だったことに、本来の幸福を知ったのだ。
雨の降る帰りのバスから見ると、マントを着て傘をさして走り行く自転車の数人とスレ違うが、その不思議にユーモラスなシーンに、人生を讃える監督のユーモアがあった。
まさに人生の流れを、たった一日の異国の少年との時間で描いた幸福と意義は、1998年の、カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドール大賞を受賞した。
■滞空時間の長い、フルカウントからのホームラン。 ★★★★★
●フランス映画社、日本ビクター・DVD