四季の自然風景と題して、2010年から2017年の間に撮影した自然風景の中から16点を選んでみた。ここで今一度初心に戻って、私自身のために、自然風景写真に対する考えを整理しておきたいと思う。
1975年、OLYMPUS OM-2 というフィルムカメラで写真を撮り始めた。現在でも、写真撮影は単なる趣味である。写真学校にも通っていないし、誰にも師事していない。撮影機材は最高級ではないし、撮影できる日は週末だけ。それでも、アマチュアだからという妥協はしたくない。そんな気持ちで撮り続けて43年。フィルム時代の被写体は主に昆虫で、ホタル、特にゲンジボタルの生態写真は、ポジフィルムで1,500カットを越える。2010年にデジタルカメラを購入してからは、自然風景写真も積極的に撮り始めた。
昆虫写真は、目の前の被写体に対して、その種類や形態の特徴が分かる図鑑写真を撮る、あるいは生活史の一部瞬間という生態写真を撮るという目的を持って、その美しい姿を美しく写したい。勿論、被写体がいなければ撮ることができず、また産卵や羽化などのシーンに出会うのも苦労する。運の良さと生態の知識、そして撮影技術が必要だ。被写体とそのシーンに出会えれば結果は残せるし、場合によっては学術的に貴重な記録にもなるだろう。では、自然風景写真はどうだろうか。
自然風景写真は、自然の「美」を表したものに他ならない。まずは「美しい風景」に出会うことが必要だ。では「美しい風景」とは、どのような風景だろうか。そもそも「美」とは、広辞苑によれば「知覚・感覚・情感を刺激して内的快感をひきおこすもの」、ブリタニカ百科事典では「美には直接の感覚による美があるが、他方、直接感覚に依存せず精神的に感じられる美もある」としている。つまり「美しい風景」とは、人の心を激しく揺さぶるような、見る人に強烈な印象を残し、見る人の記憶に深く刻み付けられる「情景」なのであろう。
「情景」は、いつも、どこにでも存在するのだろうか。見る人の感じ方によって様々であろう。日本には有名な景勝地が多くあり、絶景と言われる風景もあるが、その風景を単に写しても眺めた結果でしかない。おそらく、造形という固定的なものに色彩や光などと言った変動的な要素が加わり、そこに何か心から感じるものがばければならないだろう。
心から感動する情景に出会ったら、自分は一体、何を美しいと感じ、何に感動しているのかを明確に認識すること。そしてそれをどう表現すればよいのかを考えた上で、構図、露出を決定して、シャッター・チャンスを狙って撮る。それが、自然風景写真なのだと思う。
撮影した自然風景は、一枚の印画紙、或いはjpeg画像をWebで公開することで結果(作品)となる。フィルムでは、印画紙への印刷時やデジタルスキャニングで多少の調整ができるものの、撮影時で結果の90%以上が決まると言っても過言でないだろう。一方、デジタルカメラでの撮影は、RAWで撮影すれば、現像ソフトでかなりの調整ができる。ポジフィルムほどの情報量はないが、細かな露出の調整ができるため、フィルムでは不可能であった領域も表現できる。当然、過度の修正を加えれば現実とは違う風景になり、情景とはほど遠いものになってしまうから慎むが、撮影後にもう一度見つめ直すことができる点では、作品作りに有利であるかもしれない。
これまでに関東甲信越を中心に「桜」「新緑」「紅葉」「霧氷」等をテーマにして自然風景写真を撮ってきた。ここに2010年から2017年の間に撮影した自然風景の中から勝手ながら自己満足の高い写真を16点選んで掲載してみたが、並べてみれば有名な景勝地の定番という風景が多い。中には、現地に何度も通ったり、マイナス23℃という極寒の中を徒歩で何キロも歩いて撮影した写真もあるし、勿論、自分なりに感動した情景なのだが、「目の前の自然と対峙して得た結果か」と問われれば自信がない。
今年も年末に、この一年で撮影した自然風景(昆虫の写真も)の中から、自己満足の範疇でベスト10を決めて掲載しようと思う。今回掲載した16点と比べて進歩のない写真ばかりかもしれないが、多くの反省を踏まえつつ、今後も撮り続けようと思う。
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
上高地/田代池の霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/6秒 ISO 50 +1EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.01.05)
ダイヤモンドダストとサンピラー
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/250秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2013.01.27)
カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F16 5秒 ISO 400 +1EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2013.01.27)
美ヶ原高原の霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.8秒 ISO 100 +1/3EV (撮影地:長野県松本市/美ヶ原 2017.11.19)
蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/100秒 ISO 100 +1EV(撮影地:新潟県十日町市 2015.4.25 5:46)
今井の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.0 1/250秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:千葉県白井市 2016.4.9 6:13)
駒つなぎの桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F1.4 1/1600秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県下伊那郡阿智村 2014.4.19)
山桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/30秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:東京都奥多摩町 2014.4.19 6:50)
中綱湖/オオヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 0.5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県大町市 2017.5.04)
大山千枚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 1/30秒 ISO 100(撮影地:千葉県鴨川市 2012.4.7)
奥四万湖/浮島
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.5秒 ISO 100(撮影地:群馬県吾妻郡中之条町 2016.5.15)
ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 3秒×69カット多重 ISO 1600(撮影日:2012.06.08)
ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 30分相当多重 ISO 400(撮影日:2017.6.09)
美人林
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F8.0 1/4秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2017.10.08)
まいめの池/紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18)
九十九谷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 1/100秒 ISO 100(撮影地:千葉県君津市 2016.2.21)
雲見千貫門
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F22 1.3秒 ISO 100(撮影地:静岡県賀茂郡松崎町 2012.1.2)
富士と霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県塩尻市・高ボッチ高原 2012.12.02)
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ご覧いただき、またコメントを頂戴しまして、ありがとうございます。
相変わらずの駄作ばかりですが、
これからも自然の中で癒されながら撮って行こうと思います。