花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

小津安二郎「お早よう」

2011年08月02日 | 諏訪商店街振興組合のこと
映画「お早よう」は昭和34年、「彼岸花」に続く2作目のカラー作品です。小津監督はかつて不朽の傑作「生まれてはみたけれど」(11月25日上映予定)を作っていますが、「お早よう」は、あまり深刻な理屈を使わずに繰り返したような軽妙な小品になっています。
舞台は東京郊外の新興住宅地。堤の下にはマッチ箱を重ねたような同じ家が並びます。太平洋戦争ではシンガポールに従軍、捕虜生活を体験した小津安二郎は、隣近所が小競り合いを起こしながらも平和な日々が続く、そんな静かな日常を愛したのでしょう。
団地の奥さん連中には三宅邦子、杉村春子、高橋とよ、沢村貞子、長岡輝子が演じ、町費をネコババしたの、隣の子供の様子がおかしいの、押し売りが来たのと、噂話には事欠きません。
上品な小津監督がめずらしくオナラをギャグとして取り入れていますが、少しも下品さを感じさせません。さすがです。
     
「おい ちょいとまた押してみな」
プ~
「どうだい」
「ぼくも」
     
「あ こんにちは 奥さんですか エートどうです ゴム紐・歯ブラシ・鉛筆・亀の子だわし」
     
「ただいま」
「お父さん また秋刀魚の干物だよ」
「勇ちゃん あんた言わないって云ったでしょ」
「おばちゃん、豚汁おいしいよ」
「よかったわね」
「よかないよ、毎晩だもの」
     
「口ばかり達者で どうしてあんなのが生まれちまったもんだか
何言ってんだか
俺が払ったガス代 ネコババしやがって」
     
「やあお早よう アァいいお天気ですね」
「ほんと いいお天気」
「この分じゃ二三日続きそうですね」
「そうね 続きそうですね」

文化の駅サテライトステーション事業 第2部 映画「お早よう」は 8月26日金曜日午後6時30分より スワセントラルパーキング2階会議室にて上映します 入場無料です