12月23日(祝)6時30分より上映の小津安二郎再発見は「お茶漬の味」です。
この映画には、有閑マダム方が登場する。広辞苑によると「時間的にも経済的にも余裕があり、社交や娯楽で日々を過ごす婦人」とあります。今でこそ死語になっていますが、昭和8年、モダニズム文化全盛で軍事色が強くなりつつある頃に生まれた言葉ということです。
有閑マダム方は友達どうしで温泉やデパートや、はたまたパチンコや野球見物に出かけたりしています。淡島千景のマニキュアを塗りながらたばこをスパスパ吹かす姿は、男尊女卑の時代にこんなことがあったのかと驚かされます。このあたりの風俗描写が興味をそそられる面白い作品になっています。
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小津監督は、こうしたブルジョア社会を描きつつ鶴田浩二に「ラーメンは安いのが魅力」と言わせたり、笠智衆に「パチンコが流行るようじゃいかんです」といわせたりして、庶民生活の良さを言いたかったかのように受け取れます。
この作品、昭和15年頃に書かれていて、小津監督は「淑女は何を忘れたか」を撮った後、同系列の「お茶漬の味」を書いたのですが、軍の力が強くなってきた時代「この非常時に不謹慎」と検閲にひっかかりお蔵になりました。よほど悔しく感じたのでしょう、小津安二郎は、昭和27年、亭主が出征するところを南米への出張に書き換えたりして映画化しました。
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夫の佐分利信を軽蔑しつつ生活を謳歌する木暮実千代ですが、ある日突然、夫が出張で当分帰らないことを知らされます。現代なら「亭主元気で留守が良い」となるところですが、意地を張りながら動揺は隠せません。このシーンは最後の最後になりますが、木暮実千代に可愛らしさが出てくるあたりは、見所です。
モノクロ作品ですが、木暮実千代の衣裳や、ひょうたんをデザインした浴衣など、斬新なデザインには驚かされます。ひょうたん柄の浴衣といえば“東京物語”の温泉地でも出現しますので注意してご覧ください。
昭和20年頃の、銀座や後楽園、歌舞伎座、羽田空港などが見られるのも楽しいところです。
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あ、それから友達役で出ている上原葉子(旧姓 小桜葉子)は、加山雄三の母上です。
この映画には、有閑マダム方が登場する。広辞苑によると「時間的にも経済的にも余裕があり、社交や娯楽で日々を過ごす婦人」とあります。今でこそ死語になっていますが、昭和8年、モダニズム文化全盛で軍事色が強くなりつつある頃に生まれた言葉ということです。
有閑マダム方は友達どうしで温泉やデパートや、はたまたパチンコや野球見物に出かけたりしています。淡島千景のマニキュアを塗りながらたばこをスパスパ吹かす姿は、男尊女卑の時代にこんなことがあったのかと驚かされます。このあたりの風俗描写が興味をそそられる面白い作品になっています。
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小津監督は、こうしたブルジョア社会を描きつつ鶴田浩二に「ラーメンは安いのが魅力」と言わせたり、笠智衆に「パチンコが流行るようじゃいかんです」といわせたりして、庶民生活の良さを言いたかったかのように受け取れます。
この作品、昭和15年頃に書かれていて、小津監督は「淑女は何を忘れたか」を撮った後、同系列の「お茶漬の味」を書いたのですが、軍の力が強くなってきた時代「この非常時に不謹慎」と検閲にひっかかりお蔵になりました。よほど悔しく感じたのでしょう、小津安二郎は、昭和27年、亭主が出征するところを南米への出張に書き換えたりして映画化しました。
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夫の佐分利信を軽蔑しつつ生活を謳歌する木暮実千代ですが、ある日突然、夫が出張で当分帰らないことを知らされます。現代なら「亭主元気で留守が良い」となるところですが、意地を張りながら動揺は隠せません。このシーンは最後の最後になりますが、木暮実千代に可愛らしさが出てくるあたりは、見所です。
モノクロ作品ですが、木暮実千代の衣裳や、ひょうたんをデザインした浴衣など、斬新なデザインには驚かされます。ひょうたん柄の浴衣といえば“東京物語”の温泉地でも出現しますので注意してご覧ください。
昭和20年頃の、銀座や後楽園、歌舞伎座、羽田空港などが見られるのも楽しいところです。
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あ、それから友達役で出ている上原葉子(旧姓 小桜葉子)は、加山雄三の母上です。