いつものTさんから、吉村先生の感想です
割と小柄な体格の先生から発せられる大声。山田監督への熱き思いがビンビン伝わってくる1時間にわたる講演、迫力がありました。映画を知り尽くしておられる方と推察いたしますが、どの質問にも適確に、さらには裏話まで披露くださり、楽しかったです。時間があればもっともっといろいろなお話を聞かせていただけたでしょうに。又、是非是非お越しくださることをお願いしたいです。黒澤、小津、山田、各氏に続く時代の若手監督はいますが、日本の映画はこれからどんな方向に進んでいくと思われますか?
追記
吉村氏の「寅さんシリーズ」への傾向のきっかけとなったエピソード(すっぽかされたデート?のおかげ)は、とても嬉しいお話でした。!(^^)!
そして“家族”の感想です
当時の流行歌、青江美奈の「長崎ブルース」で長崎からスタートして、函館に到着し、森進一の「港町ブルース」へとつなげたのは面白い。歌唱力では定評のある倍賞千恵子に「島原の子守歌」を笠智衆には「正調?炭坑節」を歌わせたりと大サービス。サービスと云えば、チョイ役に森川信、三千恵子、クレージーキャッツ等を出演させ、更には、客演のような形で渥美清、春川ますみ、花沢徳衛を起用したのも大出血サービスですね。
ウォッチングで面白かったのは、プラットホームに「電報対応駅」と看板があったり、上野動物園での“肉まん・あんまん”の販売ケースに「井村屋」が書かれていたり、道産っ子馬の曳く荷馬車のお通りがあったりで、笑ってしまいました。
大きな(本題)テーマからは外れるかもしれませんが、私自身60代半ばとなり、笠智衆演じるおじいさんの(生き方)存在感が身に沁みました。もし次男のところに身を寄せていたら、結局は厄介者扱いされ(目に見えて)みるみる惚けていたかもしれなかった処を、長男たちの北海道行きに同行し、立派に役目を果たして、満足そうに死んでいったおじいさんの生き方が、とても印象に残りました。孫のお守りと教育、夫婦喧嘩への仲裁、不平不満など一言も発せず、時には険悪な空気が流れる中、全身全霊で家族の役に立とうと老体に鞭打つおじいさん。笠智衆に乾杯!
そして、倍賞千恵子という生真面目で努力家のこの女優・・・・・。天真爛漫な娘時代。二人の子の母となって、幼い愛児を死なせてしまって放心している母親(大変やつれて一気に年を取った感じ)を見事に演じていました。
映像的には
・長崎・・・急な坂の上に敷かれたレール上を加速をつけて下り落ちるトロッコ列車
・福山・・・高度成長期の象徴のように、まるで砂漠の中に忽然と現れた如くの工場と工業団地群
・大阪・・・人、人、人の万博会場
・北海道・・・大自然の、冬の雪の白さと、春の黒い土と草原の緑と青空 が圧巻でした。
それにしても、まだ1970年は愛煙家にとっては天国でしたね(車中で堂々と喫煙)
Tさん感想をありがとうございました。笠智衆が孫を叱るところは印象に残りました。そして、東京という都会の冷たさも見事に描かれていました。タバコを吸うシーンでは、人の迷惑にならないかヒヤヒヤモノでした。感想ありがとうございました。