現象学を追っていくとハイデガーは避けては通れない。『存在と時間』は、思想の世界で20世紀最大のインパクトを与えた本だ。
問題は、刊行された『存在と時間』は未完の書であることだ。上下巻のうち、上巻でしかない。本来は3つの部分で構成されるはずであった。
Ⅰ 第一部第一、第二篇--「準備作業」としての人間存在の分析
Ⅱ 第一部第三篇--「本論」としての「存在一般の意味の究明」
Ⅲ 第二部第一、第二、第三--歴史的考察
このうちⅠ(第一部第一、第二篇)が書かれただけで、挫折した。
実は、先に構想され、固まっていたのはⅡ、Ⅲのほうなのであった。これの導入部としてⅠが書かれたのだが、いざ本にしてみると、Ⅱ、Ⅲの構想とうまくドッキングしなくなったのだ。
木田元は、ハイデガーが残した論文や講義録、「アリストテレスの現象学的解釈」や「ナトルプ草稿」、「ヒューマニズム書簡」などを援用しつつ、書かれざる『存在と時間』下巻を再構成しようと試みた。それが本書である。
□木田元『ハイデガー『存在と時間』の構築』(岩波現代文庫、2000)
問題は、刊行された『存在と時間』は未完の書であることだ。上下巻のうち、上巻でしかない。本来は3つの部分で構成されるはずであった。
Ⅰ 第一部第一、第二篇--「準備作業」としての人間存在の分析
Ⅱ 第一部第三篇--「本論」としての「存在一般の意味の究明」
Ⅲ 第二部第一、第二、第三--歴史的考察
このうちⅠ(第一部第一、第二篇)が書かれただけで、挫折した。
実は、先に構想され、固まっていたのはⅡ、Ⅲのほうなのであった。これの導入部としてⅠが書かれたのだが、いざ本にしてみると、Ⅱ、Ⅲの構想とうまくドッキングしなくなったのだ。
木田元は、ハイデガーが残した論文や講義録、「アリストテレスの現象学的解釈」や「ナトルプ草稿」、「ヒューマニズム書簡」などを援用しつつ、書かれざる『存在と時間』下巻を再構成しようと試みた。それが本書である。
□木田元『ハイデガー『存在と時間』の構築』(岩波現代文庫、2000)