本書は1990年に発売され現在は絶版になりましたが、当時の30年ぐらい前にコンピューターが普及しつつありました。
しかし、PCが高額であり根気やITの基本知識が無いと一般の人には利用できない状況でして、一部の専門家やマニア層が使う程度だと思います。Macにはアイコンがありましたが、BasicやMS-DOSの時代でPCをコマンドラインで操作する時代でした。
日本では、NECの88,98や富士通のFM TOWNS、シャープのX68000が売れていたと記憶しています。
本書には、コンピューターのインターフェース(インタフェース)設計を想定した認知科学の応用分野の1つとして考えられた「認知工学」の内容が書かれています。
システム設計者や機械設計者、ヒューマンインタラクションの専門家にとって参考になる内容があります。
著者が「原子力発電所」や「産業プラントの制御システムと安全システム」を分析していくうちに認知工学に行き着いたようで、当時はUI(ユーザーインターフェース)が確立されてなく、Windows 95 の誕生前に執筆されていたことから、UIの研究書としても興味深い内容です。
30年以上前にもシステム工学はありましたが、情報処理や人間の認知、心理的な影響ついて随分と研究されていたのだと改めて思いました。今は便利なPCやモバイル、ITサービスがありますが、これらのベースになる要素があり興味深い書籍です。