ゆめ未来     

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犠牲者2117の報道写真が、事の始まりだった 特捜部Q 

2021年04月19日 | もう一冊読んでみた
特捜部Q アサドの祈り/ユッシ・エーズラ・オールスン    2021.4.19    

話の発端は、新聞に掲載された「犠牲者2117」の一枚の報道写真だった。
そこから、アサドことザイード・アル=アサディの過去が明らかになり、18年来の宿敵ガーリブ(アブドゥル・アジム)との壮絶な戦いが展開する。
如何にして、テロは計画されるのか。その計画にいとも容易くアラブの若者は取り込まれていく。このことが克明に描写されている。
カールは、終始しっかりアサドをささえる。
ローセは特捜部Qに戻って来る。ローセとローセに憧れるゴードン、このコンビの活躍が面白い。
長い小説だが、文章は読みやすく、飽きずに読みとおすことができた。

      北欧ミステリーを堪能/評・稲野和利(ふるさと財団理事長)



 ジュアン・アイグアデルは信心深い人間ではなかった。.........しゃがんで用を足している教皇と東方の三博士などという罰当たりなフィギュアを集めていたほどだ。そんな“不信心者”のジュアンも、最近では毎日十字を切りながら過ごしている。万一神が存在しているなら、何がなんでも神と懇意になっておかないと。それほど切羽つまっていた------。

 ジャーナリストにとって、悲嘆に暮れている人間の表情はいつだって興味をそそるものだ。

 ラース・ビャアンが死んだ? 確かにあいつはいけ好かない野郎で、傲慢なろくでなしで、俺の好感度ランキングでは地面より下にめり込んでいた。だが、あいつの死を願ったことがあるかというと、さすがにそれは……。

 ときとして、人には希望しか残されていないことがある。だが言い換えれば、どんなに淡くても希望だけは常に存在するのだ。

 ガーリブは臆病な連中を憎んでいた。まったく、こいつらは、この世での命が単なる借りものにすぎないということがわからないのか? それを理解させることは私の使命ではないのに。ガーリブは数えきれないほどこういう腰抜けどもが目の前で無駄に慈悲を乞うのを見てきた。そのたびに、その苦しみを早く終わらせてやったものだ。


    『 特捜部Q アサドの祈り/ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田奈保子訳/ハヤカワ・ミステリ 』

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