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2月23日(日)酒田で、第2回目となる庄内地域医療情報ネットワーク研究大会が行われました。1回目は、ID-Link研究会全国大会と同時開催として行ったもので、今回は地域単独での開催となりました。
ちょうかいネットは、ID-Linkという仕組みを利用した、庄内全域での医療情報ネットワークで、酒田では、日本海総合病院、本間病院、鶴岡では荘内病院、Net4Uが開示施設となり、数多くの診療所、訪問看護ST,薬局、介護施設などが参加しています。
ちょうかいネット
医療情報ネットワークは、構築しただけでは機能しません。地域全体に広めていくためには、顔の見える関係作りを並行して行う必要があります。その意味でも、このような研究会を定期的に開催し、事例を報告しながら情報ネットワークの活用状況を評価していくことは重要です。
一方で、在宅医療における、多職種チームによるコミュニケションを重視した医療介護連携には、ちょうかいネットだけでは限界があり、Net4Uのような地域密着型のシステムが有用と感じています。
Net4U
今回の研究会では、ゲストとして山形大学医学部医療政策学講座教授の村上先生をお呼びして、医療制度改革について講演頂きました。トピックは、人口減少とさらに進む超高齢社会を見据えた、病院機能の再編です。1/7基準病棟を減らし、亜急性期入院医療を充実させる方向にあるようです。また、在宅支援に特化した地域包括ケア病棟が新設されるとのことでした。
事例報告では、
日本海総合病院副院長 島貫隆夫先生から、ちょうかいネットが順調に運用されている現状がデータを示し報告されました。次いで、佐藤顕先生からは、内科診療所の立場から、自身の患者の病院での診療内容を知ることで生涯教育の一助になっているとの報告がありました。ケアマネの安藤さんからは、介護職のちょうかいネット利用について、介護職が医療情報を適切に扱えるのか、ケアマネの守秘義務を含め、多くの議論をしたとの報告がありました。現在6人をちょうかいネットに登録しているとのことです。
鶴岡からは、荘内病院脳神経外科佐藤和彦先生から、日本海病院との病病連携にちょうかいネットを活用し、とくにスピードが要求される緊急手術にはとても有用なシステムとの報告がありました。湯田川温泉リハ病院の武田先生からは、湯田川温泉リハビリテーション病院の院内情報システムの課題について説明があり、Net4Uの院内システムとしての利用の可能性について検討している旨の報告がありました。最後に、包括支援センターのケアマネでもある小野寺さんから、看取り患者をNet4Uに登録しを、主治医や訪問看護師と連携しながらスムースな看取りに繋げることができた事例報告があり、ケアマネにとって、Net4Uは在宅ケアにとても有用との報告がありました。
研究大会後は交流会が行われ、親睦を深めました。
以下、講演のメモ書きです。
1、開会のあいさつ
2,講演
「医療制度改革と地域連携」
山形大学医学部医療政策学講座 教授 村上正泰 氏
山形県 1万/年 減
人口減少,高齢患者の増加 平均在院日数の長期化、
↓
急性期の集約化
後方病院機能の確保
地域包括ケアの構築
庄内地域:医師、看護師、病院数少ない、
現役世代の急性期医療ニーズは減少
慢性期の医療ニーズが大幅に増加
急性期病院の将来患者数は減少へ
競い合うのではなく、補完的関係が必要
亜急性期病棟へのニーズの高まり
地域包括ケア病棟の新設
主治医機能の評価 地域包括診療料、1503点 月1回
病床機能報告制度
地域の各医療機関が担っている機能の現状を把握→地域医療ビジョン策定へ
機能の分担と連携 →ICT活用の重要性の高まり
効率的な医療・介護連携体制
3、事例発表
■「登録患者・アクセス数からみた ちょうかいネット の現状」
日本海総合病院 副院長 島貫隆夫 氏
稼働して3年間
利用者:順調、着実に増加
登録患者数:10638 (2014年2月1日現在)
開示:4か所
月平均:1000人、1患者を3医療機関へ登録するパターンが多い
病院別:登録患者数、荘内病院:100
リハビリテーション病院での登録が増えている
登録患者数 10-33 の施設が多い
登録患者数が多い医療施設の登録は多い(ヘビーユーザの存在)
登録患者数とアクセス数
診療所のアクセス数は伸びている
項目別では、 診療録 >> 画像
とくに、本間病院、診療録参照多い
病診連携では診療録、病病連携 では画像参照多い
訪問看護ステーションのアクセス増えてきている
Participant 機能
(参加医療機関へ情報の登録をメールで周知する機能)
課題~展望
利用期間の伸び悩み
参照施設からの情報提供
診療予約のシングルサインオン
診療所の電子カルテの相互乗り入れ
ちょかいネットからの予約も可能とする
■「ワクワク ドキドキ ちょうかいネット」
さとう内科クリニック 院長 佐藤 顕 氏
ちょうかいネットのある暮らし
ちょうかいネットでのカルテ回診
病院での診療~診断を参照することで、生涯学習に役立つ
■「ケアマネから見た医療介護連携におけるちょうかいネットの役割について」
酒田市ケアマネジャー連絡協議会 会長
安藤 早苗 氏 (在宅介護センターかたばみ荘)
酒田市ケアマネ連絡協議会
94事業所、246名
役員会5回、研修会3回
課題整理、 連携についての協議、
知りえた情報を判断と責任できるか 介護系ケアマネが多い
時期尚早との判断したが・・
登録:6名
メリット
正確、最新、処方内容担当医が着目している症状、複数科の診療情報、タイムロス
デメリット
生活面での情報がすくない、看護記録が閲覧できない、温度版情報が不足、情報が一方通行、顔の見える関係が希薄
情報の正確性、スピード → ケアプランに反映
医療情報の不適切な取り扱い、医療知識が
ケアマネの個人情報保護 「秘密保持」がうたわれている、
介護職にも、守秘義務がある
秘密保持
倫理容量法令順守、法人として連帯責任、研修受講義務
■「荘内病院における医療情報ネットワーク ー病診連携を中心にー」
荘内病院 外科系診療部長 佐藤和彦
登録数:772件、
日本海病院との病病連携数:93
緊急システム利用:14件 とても便利
荘内病院からの:
メリット :選択、事前、省力化
事例;2 日本海病院から荘内病院脳外科へ、 耳鼻科、脳外科
携帯(タブレット)端末が必要なわけ、 スピードが重要
ITの活用:医療連携、退院前カンファレンス、救急、医療介護連携
■「回復期病院における、庄内地域医療情報ネットワークツールNet4Uとちょうかいネットの利用方法」
湯田川温泉リハ病院 院長 武田憲夫 氏
課題は、紙カルテとの二重登録
Net4Uを使った在宅患者さんへのリハビリサポート : 訪問、評価、アドバイス
ID-Link
来院前に情報収集
退院後の患者情報を知ることができる
希望と元気を与えよう 希望と元気は、回復のエネルギー
■「介護支援専門員としてのNet4U活用術」
地域包括支援センターあさひ 所長 小野寺幸則 氏
居宅介護支援センターであい、ケアマネ:5名
Net4U 22件、
地域包括支援センター あさひ 1.6人体制
Net4U 25件
88歳、女性
経口摂取不能 自宅での看取り事例
関係機関で情報を目で見て確認、共有できる
時間的制限がない、
困ったことがあれば、Net4U上で相談、支援方法がきける
システムがタダで使える
いつでも主治医とつながっている安心感
最新の医療情報、→ 質の向上
地域包括ケアシステムでも有用
介護システムからNet4Uをコピペしているので入力の負担感は少ない、
課題は、Net4U利用DRがまだ少ないことに