鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.286 (庄内地域医療情報ネットワーク研究大会)

2014-02-25 11:19:33 | 日記


2月23日(日)酒田で、第2回目となる庄内地域医療情報ネットワーク研究大会が行われました。1回目は、ID-Link研究会全国大会と同時開催として行ったもので、今回は地域単独での開催となりました。

ちょうかいネットは、ID-Linkという仕組みを利用した、庄内全域での医療情報ネットワークで、酒田では、日本海総合病院、本間病院、鶴岡では荘内病院、Net4Uが開示施設となり、数多くの診療所、訪問看護ST,薬局、介護施設などが参加しています。

ちょうかいネット

医療情報ネットワークは、構築しただけでは機能しません。地域全体に広めていくためには、顔の見える関係作りを並行して行う必要があります。その意味でも、このような研究会を定期的に開催し、事例を報告しながら情報ネットワークの活用状況を評価していくことは重要です。

一方で、在宅医療における、多職種チームによるコミュニケションを重視した医療介護連携には、ちょうかいネットだけでは限界があり、Net4Uのような地域密着型のシステムが有用と感じています。

Net4U

今回の研究会では、ゲストとして山形大学医学部医療政策学講座教授の村上先生をお呼びして、医療制度改革について講演頂きました。トピックは、人口減少とさらに進む超高齢社会を見据えた、病院機能の再編です。1/7基準病棟を減らし、亜急性期入院医療を充実させる方向にあるようです。また、在宅支援に特化した地域包括ケア病棟が新設されるとのことでした。

事例報告では、

日本海総合病院副院長 島貫隆夫先生から、ちょうかいネットが順調に運用されている現状がデータを示し報告されました。次いで、佐藤顕先生からは、内科診療所の立場から、自身の患者の病院での診療内容を知ることで生涯教育の一助になっているとの報告がありました。ケアマネの安藤さんからは、介護職のちょうかいネット利用について、介護職が医療情報を適切に扱えるのか、ケアマネの守秘義務を含め、多くの議論をしたとの報告がありました。現在6人をちょうかいネットに登録しているとのことです。

鶴岡からは、荘内病院脳神経外科佐藤和彦先生から、日本海病院との病病連携にちょうかいネットを活用し、とくにスピードが要求される緊急手術にはとても有用なシステムとの報告がありました。湯田川温泉リハ病院の武田先生からは、湯田川温泉リハビリテーション病院の院内情報システムの課題について説明があり、Net4Uの院内システムとしての利用の可能性について検討している旨の報告がありました。最後に、包括支援センターのケアマネでもある小野寺さんから、看取り患者をNet4Uに登録しを、主治医や訪問看護師と連携しながらスムースな看取りに繋げることができた事例報告があり、ケアマネにとって、Net4Uは在宅ケアにとても有用との報告がありました。

研究大会後は交流会が行われ、親睦を深めました。


以下、講演のメモ書きです。

1、開会のあいさつ

2,講演
「医療制度改革と地域連携」
山形大学医学部医療政策学講座 教授 村上正泰 氏

山形県 1万/年 減
人口減少,高齢患者の増加 平均在院日数の長期化、

急性期の集約化
後方病院機能の確保
地域包括ケアの構築

庄内地域:医師、看護師、病院数少ない、
現役世代の急性期医療ニーズは減少
慢性期の医療ニーズが大幅に増加
急性期病院の将来患者数は減少へ
競い合うのではなく、補完的関係が必要
亜急性期病棟へのニーズの高まり
地域包括ケア病棟の新設
主治医機能の評価 地域包括診療料、1503点 月1回
病床機能報告制度
 地域の各医療機関が担っている機能の現状を把握→地域医療ビジョン策定へ
機能の分担と連携 →ICT活用の重要性の高まり
効率的な医療・介護連携体制

3、事例発表

■「登録患者・アクセス数からみた ちょうかいネット の現状」
   日本海総合病院 副院長 島貫隆夫 氏

稼働して3年間
利用者:順調、着実に増加
登録患者数:10638 (2014年2月1日現在)
開示:4か所
月平均:1000人、1患者を3医療機関へ登録するパターンが多い
病院別:登録患者数、荘内病院:100
リハビリテーション病院での登録が増えている
登録患者数 10-33 の施設が多い
登録患者数が多い医療施設の登録は多い(ヘビーユーザの存在)
登録患者数とアクセス数
 診療所のアクセス数は伸びている
 項目別では、 診療録 >> 画像
 とくに、本間病院、診療録参照多い
 病診連携では診療録、病病連携 では画像参照多い
 訪問看護ステーションのアクセス増えてきている
Participant 機能
 (参加医療機関へ情報の登録をメールで周知する機能)
課題~展望
 利用期間の伸び悩み
 参照施設からの情報提供
 診療予約のシングルサインオン
 診療所の電子カルテの相互乗り入れ
 ちょかいネットからの予約も可能とする

■「ワクワク ドキドキ ちょうかいネット」
 さとう内科クリニック 院長 佐藤 顕 氏

ちょうかいネットのある暮らし
ちょうかいネットでのカルテ回診
病院での診療~診断を参照することで、生涯学習に役立つ

■「ケアマネから見た医療介護連携におけるちょうかいネットの役割について」
 酒田市ケアマネジャー連絡協議会 会長
  安藤 早苗 氏 (在宅介護センターかたばみ荘)

酒田市ケアマネ連絡協議会
94事業所、246名
役員会5回、研修会3回

課題整理、 連携についての協議、
知りえた情報を判断と責任できるか 介護系ケアマネが多い
時期尚早との判断したが・・
登録:6名
メリット
正確、最新、処方内容担当医が着目している症状、複数科の診療情報、タイムロス
デメリット
生活面での情報がすくない、看護記録が閲覧できない、温度版情報が不足、情報が一方通行、顔の見える関係が希薄
情報の正確性、スピード → ケアプランに反映
医療情報の不適切な取り扱い、医療知識が
ケアマネの個人情報保護 「秘密保持」がうたわれている、
介護職にも、守秘義務がある
秘密保持
倫理容量法令順守、法人として連帯責任、研修受講義務

■「荘内病院における医療情報ネットワーク ー病診連携を中心にー」
  荘内病院 外科系診療部長 佐藤和彦

登録数:772件、
日本海病院との病病連携数:93
緊急システム利用:14件 とても便利
荘内病院からの:
メリット :選択、事前、省力化
事例;2 日本海病院から荘内病院脳外科へ、 耳鼻科、脳外科
携帯(タブレット)端末が必要なわけ、 スピードが重要
ITの活用:医療連携、退院前カンファレンス、救急、医療介護連携


■「回復期病院における、庄内地域医療情報ネットワークツールNet4Uとちょうかいネットの利用方法」
湯田川温泉リハ病院 院長 武田憲夫 氏

課題は、紙カルテとの二重登録
Net4Uを使った在宅患者さんへのリハビリサポート : 訪問、評価、アドバイス
ID-Link
来院前に情報収集
退院後の患者情報を知ることができる
希望と元気を与えよう 希望と元気は、回復のエネルギー

■「介護支援専門員としてのNet4U活用術」
地域包括支援センターあさひ 所長 小野寺幸則 氏

居宅介護支援センターであい、ケアマネ:5名
 Net4U 22件、
地域包括支援センター あさひ 1.6人体制
 Net4U 25件

88歳、女性
経口摂取不能 自宅での看取り事例
関係機関で情報を目で見て確認、共有できる
時間的制限がない、
困ったことがあれば、Net4U上で相談、支援方法がきける
システムがタダで使える
いつでも主治医とつながっている安心感
最新の医療情報、→ 質の向上
地域包括ケアシステムでも有用
介護システムからNet4Uをコピペしているので入力の負担感は少ない、
課題は、Net4U利用DRがまだ少ないことに


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No.285 (庄内プロジェクト活動報告会第2部)

2014-02-25 10:46:48 | 日記


引き続き庄内プロジェクトの活動報告会、地域連携WGの報告です。
各職種毎に、多くの勉強会、話し合いを行ってきました。
記録の意味も含めて、発表スライドから報告内容のすべてを記載しておきます。

■南庄内在宅医療を考える会
  報告者:石橋 学 氏

 平成23年度第3回
・日時:H25年3月26日(火) 19:00~
・場所:鶴岡地区医師会館 3階講堂
・テーマ:在宅医療での主治医不在時の支え合いグループの構築
・対象:医師
・参加者:診療所医師12名、勤務医1名
      行政担当官1名  計14名
・内容
 ミニレクチャー:「死体検案書の書き方」
   庄内保健所 所長 松田 徹 先生
・在宅主治医不在時の支え合いグループの構築
 その後、支え合いグループ「ゆきちねっと」が創設されるに至る
 登録医:15名、運用は2例

 第1回南庄内在宅医療を考える会
・日時:H25年6月21日(金) 19:00~20:45
・場所:鶴岡地区医師会3階講堂
・テーマ:「訪問看護師さんともっと仲良くなろう」
・対象:医師、訪問看護師
・参加者:診療所医師14名
     訪問看護師14名(ハローNs、きずな)
・フリーディスカッションによる意見交換(悩み、要望など)
 *Ns側から:緊急時も含めたDrとの連絡に関する問題
         その際のNet4Uの有用性
 *Dr側から:ALS患者のレスパイト先の件
         サービス担当者会議への関わり方
 第2回南庄内在宅医療を考える会
・日時:H25年11月26日(火)
・場所:鶴岡地区医師会館3階講堂
・テーマ:「ケアマネさんと仲良くなろう」
・対象:医師、ケアマネージャー
・参加者:医師13名、ケアマネージャー33名
・事前に行った「主治医との連携に関するアンケート調査結果」を
 踏まえ(鶴岡市地域包括支援センター連絡会)
    4グループに別れてのフリーディスカッション
  *医師医見書の内容(認知症の判断にギャップ?)
  *医師・ケアマネ間の連携   Net4Uの活用
   *患家より往診医を探して欲しい旨の依頼(CM)
   *サービス担当者会議に関すること
 第3回南庄内在宅医療を考える会
・日時:H26年2月26日(金) 19:00~20:15
・場所:鶴岡地区医師会館3階講堂
・テーマ:  「目からウロコ!
 私たちが知らなかった訪問リハビリの真実」
・対象:医師、訪問リハビリ従事者

■つるやくネットワーク活動報告
 報告者:鶴岡地区薬剤師会 あかね薬局 篠田太朗

①つるやくネットワーク=『病院と薬局の薬剤師の連携』
 7月:『簡易懸濁法の実習』
  講師:協立病院薬剤部 志田先生
 3月17日:『褥創と薬物治療』
  講師:荘内病院薬局 富樫先生 
②がん治療研修会(3回)
 5月『抗がん剤治療について 基本的な事を中心に』
  講師 荘内病院薬局 がん薬物療法認定薬剤師 阿部先生
 8月『内服抗がん剤の副作用と指導のポイント』
  講師 荘内病院 がん化学療法看護認定看護師 佐々木先生
11月『こんなに効くの!?抗がん剤化学療法著効例と最近の乳がん治療』
  講師 荘内病院 診療部主幹 外科医長 鈴木先生
③在宅医療推進部会を新設
 医師会ほたるとの在宅ミーティング開始。(ほぼ毎月)
 薬剤師会の在宅相談窓口を設置(あかね薬局内)→パンフ・相談書式も作成。
 相談件数は、他職種:2件、薬剤師:2件。
 薬剤師間の在宅勉強会(4・9・2月)実施。
④『在宅医療と薬の多職種意見交換会』
・薬剤師への介入ニーズ(薬剤管理困難・多科受診・認知症・独居・老老介護・
緩和ケア など)
・他職種から薬剤師への相談できる関係・窓口のニーズ→薬剤師会相談窓口の周
知強化。
・薬剤師が訪問してどこまでやってくれるのか?(訪問服薬指導の認知不足)⇒
『服薬管理の改善・薬物治療の効果と副作用評価、処方提案』
・薬剤師の他職種の仕事の理解不足。→2月の研修会でハローナース工藤さんに
訪問看護についてレクチャーしていただく予定。
・薬剤師のスキル・マンパワー不足。→薬剤師会内での研修・薬局間サポート体
制の強化。

■医療と介護の連携研修会
 報告者:叶野 真弓 氏

 <1回目> 
 日 時 8月8日(木)午後6時30分~8時30分
 場 所 出羽庄内国際村 ホール
 テーマ 「地域の中で連携を語る」
 ~多職種の医療・介護の役割理解と連携づくり ~
  事例報告とグループワーク     
   障害のある事例の看取り支援
 講師:山形県立保健医療大学  
            准教授 後藤 順子 氏
 事例報告者
  訪問看護ステーションきずな
   菊池 千香 氏
 鶴岡市障害者相談支援センター 
  齋藤 幸 氏
<2回目> 
日 時 11月21日(木)午後6時30分~8時30分
 場 所 出羽庄内国際村 ホール
 テーマ 「医療依存度の高い利用者の支援について」
  ~ 家族と共に住みなれた自宅で暮らし続ける為に ~
 通所事業所でのたん吸引や在宅酸素を続けながら介護が必要な方の支援の実践
 報告とグループワーク
 講師:山形県立保健医療大学  
       准教授 後藤 順子 氏
 事例報告者 
   デイサービスきらり  
      管理者 宍戸 良子 氏
   くしびき居宅介護支援センター 
     介護支援専門員 工藤 孝子 氏

■医科歯科連携を考える会
 報告者:阿部 真裕 氏
1.平成25年度 医科歯科連携を考える会
 「多職種向け研修会」(H25.9.21/14:00?17:00)
 会場:鶴岡市総合保健福祉センター「にこ?ふる」3F大会議室
 内容
  演題「がんの栄養管理、これまでと今後の展望」
  講師:淑徳大学 看護栄養学部 栄養学科教授 桑原節子先生(管理栄養士)
2.医療者教育WG 第4回 緩和ケアスキルアップ研修会への講師の派遣(H26.2.19)
 内容
  演題「がん患者の口腔ケアを始める前に ~くちを観て、診て、看る?」
  講師:東北労災病院 歯科衛生士 佐藤美由紀先生
3.他の連携事業
  内容 在宅及び湯田川温泉リハビリテーション病院 訪問歯科診療

■南庄内栄養と食の連携を考える会
 報告者:小川 豊美 氏
 自宅で手軽に出来るソフト食を一緒に作ろう!(年2回)
 グループワーク ・各メーカー協力
 *パンフレットの作成
 第一段階・・・各施設・病院の食形態の持ち寄り
  媒体・・・ペーパー及び庄内プロジェクトホームページへの掲載
  ①ソフト食対応表 ②食形態施設比較表 ③学習会・調理実習
 第二段階・・・鶴岡バージョン嚥下ピラミッドの作成と活用
 ・鶴岡版嚥下ピラミッドの活用
 ・食形態の詳細を示した冊子の発行
 ・調理師を加えソフト食対応表の作成と調理実習
 ・自宅・有料老人ホームを見据えた取り組みを実施

■ふらっとの会
 報告者:小野寺
 10月4日:18:30~20:30 グランド・エル・サン
 参加者:19の職種から76名
 この会は、多職種が「フラットな関係」で連携が行える環境をつくることを目的
 とし 今年で4回目

■IT活用:医療・介護連携でのNet4U活用
 報告者:鶴岡地区医師会 地域医療連携室 遠藤 貴恵
 参加施設:74
  病院:5、診療所:27、歯科診療所:2、訪問看護ST:2、
  居宅介護事業所:14、介護系事業所:8、調剤薬局:16
 ケアマネの参加数、記載数、文書登録数が大幅に伸びている

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