6月17日、南庄内緩和ケア推進協議会(庄内プロジェクト)主催のスキルアップ
研修会が行われました。今回は、日本海総合病院 精神科科長、認知症疾患医療
センター長 渋谷譲先生をお招きして、がん患者や認知症患者の精神面でのケア
サポートについて学びました。
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庄内プロジェクト緩和ケアスキルアップ研修会
テーマ:人生のエピローグを支援する〜がん患者や認知症患者のケアサポート〜
講師:日本海総合病院 精神科科長、認知症疾患医療センター長 渋谷譲先生
日時:2015年6月17日 19:00~
会場:荘内病院講堂
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以下、FBの「庄内プロジェクト」サイトからの引用です。
鶴岡出身の渋谷先生には、毎年この多職種向け緩和ケア研修会に来ていただき、医療職以外でもわかりやすいお話をしていただいており、昨夜も地域の多職種、多数の参加がありました。
以下、講義内容
◎がん患者への精神的サポート
「難しいケースでも、聴くスキルを生かして、丁寧な対応を心がけることが基本」
・がん医療への不満を感じる最大の理由は、患者・家族への精神面に対する支援の不足である(がん患者意識調査、2010年)
・がん患者の精神疾患:大うつ病 3-12%、適応障害 4-35%
・不安への対応:患者の話を聴く、共感を示す、必要に応じて情報提供、誤解や悲観的予後の訂正をする
・怒りへの対応:医療者が非がないのに患者から怒りが表出されることがある。患者の怒りに巻き込まれ、自分を擁護する言葉に終始したり、診察時間を減らして顔を合わせないようにしたり、逆に怒りを向け返すと問題が深刻化することもある。話をさえぎらずに最後まで聴く、話の途中で反論しない、共感を示す、非があれば謝罪する
・「死にたい」への対応:希死念慮の背景には多彩な苦痛が存在する。身体症状、うつ病や絶望感、自律性の喪失や依存の増大、乏しいソーシャルサポート。話し合いを避けること自体が患者の苦悩を深いものにしてしまう可能性がある。思いや背景を理解しようとする準備があることを伝え、話し合う姿勢を示すことが重要
◎認知症患者のBPSD(行動心理学的徴候)への対応
「一人の大人に対して敬意と愛情を持って接する姿勢」
・認知症は、自己肯定感(自尊心)が傷つき、役割を失う病であり、しばしばこれまでの対人関係(社会的関係)が壊れ、対人関係性の悪化を背景とした精神的背景としてBPSDが生まれる
・パーソンセンタードケア:介護者は、患者に関する、価値観、個人の人生の歴史、過去の興味や技能、好き嫌いなどを持っておくことが必要
・接し方のコツ〜バリデーション
認知症の人の「経験や感情を深め、共感し、力づける」
自尊心を傷つけない、納得のいくように話す、情報は簡潔に伝える
◎会場からの質問
1)がん治療医より
抑うつ状態ではあるが、がんが進行し余命に限りがある状況では、いろんなことを決めていただく必要に迫られる場面を経験する、できればそのようなことは避けたいが、どうしたらよいか?
→抑うつの深刻な状態では、その人の本来の形での意思決定はできないと考えられる(やけくそで決めてしまうなど)、どうしてもしなくてはいけない場合は、その人となりや考え方を知っている主治医やスタッフ、家族で話し合って決定していくこともやむをえないのではないか
2)病院緩和ケアチーム医師より
精神科常勤医がいない総合病院で緩和ケアに携わると、深刻な抑うつ(焦燥感が強い、希死念慮がある)患者に遭遇し、タイムリーに精神科医に相談できず、悩ましい場面があるが、そういった場所で働く医師にこれだけはやっておいた方がよいということがあれば教えて欲しい
→とりあえず「不眠」と「混乱・興奮状態」への対応策を2−3個持っておくことで、患者・家族・スタッフの苦しみは軽減しつつ、精神科医が来るまでの時間を待つことができるのではないかと思う、そのような対処法や薬物的対応を持っておくのが良いでしょう。
◎オープニングアクション
講演の前に、鶴岡に新たにできた訪問看護リハビリステーション「アジュダンテ」の石井康記さん、リハビリ訪問看護ステーション「みどり」の中村千佳さんから、施設の紹介がありました。
鶴岡にふたつしかなかった訪問看護ステーションが、リハビリを得意とするステーションが新たにできたことで、在宅療養されている方々のQOL向上につながりそうです。
講演の終わりには、鶴岡地区医師会長の三原一郎先生から、渋谷先生に感謝状が手渡されました。
渋谷先生には、身近な総合病院精神科医として、これからもいろいろ教えていただくことがたくさんあると思いますが、これからもよろしくお願いします。
次回の緩和ケアスキルアップ研修会は9月の予定です。
改めてご案内します。
研修会が行われました。今回は、日本海総合病院 精神科科長、認知症疾患医療
センター長 渋谷譲先生をお招きして、がん患者や認知症患者の精神面でのケア
サポートについて学びました。
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庄内プロジェクト緩和ケアスキルアップ研修会
テーマ:人生のエピローグを支援する〜がん患者や認知症患者のケアサポート〜
講師:日本海総合病院 精神科科長、認知症疾患医療センター長 渋谷譲先生
日時:2015年6月17日 19:00~
会場:荘内病院講堂
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以下、FBの「庄内プロジェクト」サイトからの引用です。
鶴岡出身の渋谷先生には、毎年この多職種向け緩和ケア研修会に来ていただき、医療職以外でもわかりやすいお話をしていただいており、昨夜も地域の多職種、多数の参加がありました。
以下、講義内容
◎がん患者への精神的サポート
「難しいケースでも、聴くスキルを生かして、丁寧な対応を心がけることが基本」
・がん医療への不満を感じる最大の理由は、患者・家族への精神面に対する支援の不足である(がん患者意識調査、2010年)
・がん患者の精神疾患:大うつ病 3-12%、適応障害 4-35%
・不安への対応:患者の話を聴く、共感を示す、必要に応じて情報提供、誤解や悲観的予後の訂正をする
・怒りへの対応:医療者が非がないのに患者から怒りが表出されることがある。患者の怒りに巻き込まれ、自分を擁護する言葉に終始したり、診察時間を減らして顔を合わせないようにしたり、逆に怒りを向け返すと問題が深刻化することもある。話をさえぎらずに最後まで聴く、話の途中で反論しない、共感を示す、非があれば謝罪する
・「死にたい」への対応:希死念慮の背景には多彩な苦痛が存在する。身体症状、うつ病や絶望感、自律性の喪失や依存の増大、乏しいソーシャルサポート。話し合いを避けること自体が患者の苦悩を深いものにしてしまう可能性がある。思いや背景を理解しようとする準備があることを伝え、話し合う姿勢を示すことが重要
◎認知症患者のBPSD(行動心理学的徴候)への対応
「一人の大人に対して敬意と愛情を持って接する姿勢」
・認知症は、自己肯定感(自尊心)が傷つき、役割を失う病であり、しばしばこれまでの対人関係(社会的関係)が壊れ、対人関係性の悪化を背景とした精神的背景としてBPSDが生まれる
・パーソンセンタードケア:介護者は、患者に関する、価値観、個人の人生の歴史、過去の興味や技能、好き嫌いなどを持っておくことが必要
・接し方のコツ〜バリデーション
認知症の人の「経験や感情を深め、共感し、力づける」
自尊心を傷つけない、納得のいくように話す、情報は簡潔に伝える
◎会場からの質問
1)がん治療医より
抑うつ状態ではあるが、がんが進行し余命に限りがある状況では、いろんなことを決めていただく必要に迫られる場面を経験する、できればそのようなことは避けたいが、どうしたらよいか?
→抑うつの深刻な状態では、その人の本来の形での意思決定はできないと考えられる(やけくそで決めてしまうなど)、どうしてもしなくてはいけない場合は、その人となりや考え方を知っている主治医やスタッフ、家族で話し合って決定していくこともやむをえないのではないか
2)病院緩和ケアチーム医師より
精神科常勤医がいない総合病院で緩和ケアに携わると、深刻な抑うつ(焦燥感が強い、希死念慮がある)患者に遭遇し、タイムリーに精神科医に相談できず、悩ましい場面があるが、そういった場所で働く医師にこれだけはやっておいた方がよいということがあれば教えて欲しい
→とりあえず「不眠」と「混乱・興奮状態」への対応策を2−3個持っておくことで、患者・家族・スタッフの苦しみは軽減しつつ、精神科医が来るまでの時間を待つことができるのではないかと思う、そのような対処法や薬物的対応を持っておくのが良いでしょう。
◎オープニングアクション
講演の前に、鶴岡に新たにできた訪問看護リハビリステーション「アジュダンテ」の石井康記さん、リハビリ訪問看護ステーション「みどり」の中村千佳さんから、施設の紹介がありました。
鶴岡にふたつしかなかった訪問看護ステーションが、リハビリを得意とするステーションが新たにできたことで、在宅療養されている方々のQOL向上につながりそうです。
講演の終わりには、鶴岡地区医師会長の三原一郎先生から、渋谷先生に感謝状が手渡されました。
渋谷先生には、身近な総合病院精神科医として、これからもいろいろ教えていただくことがたくさんあると思いますが、これからもよろしくお願いします。
次回の緩和ケアスキルアップ研修会は9月の予定です。
改めてご案内します。