鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

ほたる多職種研修会:平成28年度第1回

2016-08-09 10:59:42 | 日記


本年度1回目となるほたる主催の多職種向け研修会の報告です。

この研修会は、介護職の医療面でのスキル不足という地域課題を解決するために
おもに介護職を対象に、そのスキルアップを目指して行われているものです。

今回は、介護職からのリクエストが多い精神科疾患を取り上げ、こころの医療センターの認定看護師の安部さんを講師に招き学習会を開催しました。

広い会場が確保できず、断った人も多かったようですが、医師会講堂が満席のなか、現場で役立つ知識や情報を学ぶ良い機会になったのではないかと思います。


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ほたる多職種研修会 平成28年 第1回
日時:平成28年8月1日 18:30~
会場:医師会講堂
参加者:介護職、看護師、療法士、歯科衛生士、保健師、医師、事務、行政など約100名
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うつ病を理解しよう
 ~ 実践で役立つ知識・情報 ~

山形県立こころの医療センター 精神科認定看護師 安部 和明 氏

1、最近の自殺の動向

 減少傾向にある とくに男性
 一方で、50歳以上の死亡原因の第3位
 3-6月に多い
 全年齢にみられる
 無職が多い
 庄内地区は多く、交通事故の4倍、秋田と同じ
 96%が精神障害
 自殺者に、アルコール依存症が多い 
 自殺者の1/3がアルコールを摂取している
 アルコールはシラフ時、抑うつ気分を強める
 飲酒者の自殺リスクは6倍(非飲酒者に比し)
 
2、気分障害に関して
  従来分類:うつ病、躁うつ病、抑うつ神経症
  DMS:大うつ病性障害、双極性障害、気分変調性障害
  ICD:反復性うつ病性障害、双極性感情障害、持続性感情障害


3、うつ病

  増えている、現場でも混乱している
   要因
    高ストレス社会
    ストレスに対する脆弱性
    啓発活動の結果(受診行動促進、意識向上)
    ・・・
  
  まずは、内科受診を勧める 
  内科が精神科を紹介するのが望ましい

  きっかけ、
   昇進、退職、転勤、妊娠、引っ越し、など「環境の変化」

  うつ病発症の要因
   ストレス、性格、 体質、環境、

  
  うつ病と躁うつ病へ違う病気!
   うつ病は抗うつ薬
   躁うつ病は気分安定薬

  うつ病と鑑別する疾患:双極性障害:Ⅰ型 Ⅱ型

  誤って双極性障害をうつ病と診断している場合がある

  うつ病の初診は、圧倒的に内科、 
   症状:食欲不振>倦怠感>睡眠障害

  うつ病のサイン
   睡眠障害、
   食欲減退、
   気分(元気がでない、憂鬱、自分を責める、人に会いたくない・・・)、
   体調(働きたくない、疲れやすい・・)

   否定ではなく、共感、共有から

  2週間以上症状が持続することが診断上重要

  喜び関心の喪失 悲しい、気分がはれない、たのしくない、
  イライラ
  自責感、ぐるぐる思考
  
4、治療

  相談、 受診、 診断、 治療、
  
  1)休息
    個人ごとに方法、時間はさまざま
    休息と活動のバランスが重要
  2)薬物療法
    うつ病の人は薬が嫌い
    薬の説明が重要 
    抗うつ薬 睡眠薬 抗不安薬 の3点セットで処方することが多い
    減量はゆっくり
  3)精神療法
    アドバイスはしない、
    支持的・共感的なものが標準
    予後、見通しを話すと安心する
    

  環境調整
  その他 (電気けいれん療法:よく効く、認知行動療法、光線療法)


5、認知行動療法

   再発予防に有効
   ストレスへの対応力を養う、適切な行動に導く訓練
   具体的には、別の見方、考え方があることを知ってもらう 「ものは考えよう」
   アドバイスではなく、つらさに共有、共感することことが重要

6、援助・支援のポイント

  患者は、良くなっている自覚がないことが多い


7、家族への説明
 
  ・あまり態度を変えず、今までどおり自然に接しましょう
  ・ゆっくり休ませてあげましょう
  ・安易な励ましは逆効果、温かく見守りましょう
  ・重大な決断はやめましょう
  ・こころの病気は直線的に良くなるわけではない
  ・自殺防止のポイントを理解しましょう
  ・不適切な忠告にまどわされないで
  ・患者さんの話をじっくりと聞いて、安心感を与えましょう
  ・ご家族自身の健康も意識して下さい


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