鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.236 (ほたる多職種研修会:うつ病の理解と介護うつ予防)

2013-12-02 10:32:31 | 日記

11月29日、生命先端研となりのレクチャホールで今年3回目となるほたるの多職種研修会を行いました。今回は、うつ病をテーマに、県立鶴岡病院 精神科認定看護師の安部和明氏からの講演を聴講しました。

親しみやすい方言で、とても分かりやすく、ウイットに富んだすばらしい講演だったと思います。以下、講演内容です。

まずは、来年度開院予定の山形県立こころの医療センター(仮称)のPR
以下の病棟が設置予定
 スーパー救急病棟
 子ども・ストレス病棟
 ・こどもユニット
 ・ストレスユニット
 社会復帰病棟
 慢性期病棟
 医療観察法病棟
鶴岡病院がなくなって、新しい精神科の病院ができると考えて欲しい

1、自殺について
年間:3万人、
未遂はその40倍
周りに最低5人(600万人、国民の1/20)にこころにキズ!
→ 06年に自殺対策基本法が制定された

日本人の自殺の特徴
全年齢層にみられること

自殺死亡率:庄内:30人 /人口10万あたり
  全国平均:23-24人

自殺者の年次推移:平成10年に3万人を突破:要因は男性の自殺

・うつ病は一生のうち、7-13%が罹患
・うつ病、女性は男性の2.5倍
・自殺者は、男性が70%
・自殺のキーワードは孤立
  → 自殺防止の第一歩は、あいさつ と 声かけ

世界で、自殺 100万人、WHOでも重要課題
自殺前の96%は精神障害、なかでもうつ病は1位
うつ病の早期発見・早期治療が自殺予防

日本人の自殺:日本の文化が影響? 切腹文化(自殺を美化?)

2、うつ病

うつ病は、「脳の病気」 = 脳神経の伝達の乱れ

発症要因:
 環境変化(新築うつ病)、
 ストレス(退職、配偶者の死など)、
 身体変化(お産前後、脳卒中後など)
 性格は関係ない?
 ポイント:誰でも起こりうる

症状:

からだの症状として発症
 食欲不振 < 倦怠感 < 不眠(中途覚醒、早朝覚醒が特徴)
 受診する科:内科>婦人科>脳外科 10人に1人しか精神科を受診していない
 こころとからだは繋がっている
 気分転換より休息が大事
 酒と眠剤は併用禁

心の症状
 喜び、関心の喪失 (理由もないのに悲しい、気分が晴れない)
 楽しかったことが楽しくない
 おしゃれをしなくなる
 不安感(将来に対する不安)、
 意欲の低下(やる気がでない)
 集中力低下・考えることが難しくなる(今日のメニュー、思いつかない、急な物忘れ)
*うつ病と認知症の鑑別
  妄想:罪業、貧困、心気的、 一方、認知症は被害的
 悪いことばかり、ぐるぐる志向:悪い方向に考え、自分を責める
 ↑ 対応は、アドバイスはしない、傾聴が基本、無難 、薬で対応したほうがよい
 最悪は、死を願う、自殺する
「あなたは死にたい気持ちはありますか」としっかり確認することが大事


気づく→気づいたら
 1、相談 鶴岡市総合相談室など
 2、受診してみる
かかりつけ医、総合病院、精神科クリニック
 3、診断
 4、治療を受ける

●自殺未遂や自殺願望を口にしたら 精神科 へ受診!
●自殺する前は、精神病病態!

治療の3本柱
 1、休息と活動のバランス
 2、薬物療法
 3、精神療法(通院)
  うつ病患者は薬物療法に抵抗感がある
  50-60%再発

うつ病の方とどう接するか
 1、うつ病は直線的によくならない (見守る)
 2、励まさない (気晴らしと励ましは逆効果)
 3、重要な決定は先延ばし
 4、どのように接する
   会話の内容より、誠実な態度が重要

3、こころの健康づくり
 1、規則正しい生活、睡眠
 2、バランスの良い食事
 3、適度の運動
 4、自分自身の限界を知る
 5、ストレス発散
 6、ものごとをプラスに考える
 7、コミュニケーションを多くとる

こころのストレッチ
「前向き思考」 → 「ものは考えよう」
 プラスに考え方(表現)を変えること 視点を変える (上の写真を参照)
 逆の視点(反対)を意識する → 全体像がみえる
 困難にポジティブに対応できる
「相談」で視点の確保
 起床時間を一定に、朝の光でスイッチオン、朝食をしっかり

4、介護うつ予防
サポートする立場から
 うつ状態 = エネルギー不足 と心得る
 介護者の1/4はうつ病
 介護者は常にうつ状態
 介護負担の分散 = サポート体制の確立

 出来事 → 受け止め方 → 気分、
 受け止め方をかえるには →質の高い情報
  認知症の理解
  介護者自身のQOL
  制度などのサポート体制の理解

 質の高い情報とは
  専門書からの情報は教科書的
  同じ立場の話からの情報は、実践的
 家族教室、家族会の設定が重要

アルコールの特徴
 一時的に気分が楽なるが、素面になるとリバウンド 落差が問題
 酒はストレス解消にはならない

ゲートキーパー
 気づき、話を聞いて、必要な支援へつなげる、見守る
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« No.235 (山形県医師会産業医... | トップ | No.238 (庄内南部地域連携パ... »
最新の画像もっと見る

日記」カテゴリの最新記事