山形県医師会主催による、山形県全体の医療IT化普及のための研究会という位置づけの会です。
この会は、10数年前、私が県医師会の理事の頃から始まったと記憶していますが、当時は、日本医師会のレセプトソフトORCAの普及を目指した活動を主に行っていました。その後は、病院の電子カルテ導入時期であったこともあり、病院間での電子カルテに関する情報共有がおもなテーマだったと思います。
病院の電子カルテ導入が一段落したあとは、各地域のネットワーク化が山形県主導で進みましたので、地域医療情報ネットワークが主なテーマとなり、今日に至っています。山形県の医療情報化の足跡を辿るという意味でも、歴史のある会なのです。
さて、今回は特別講演として、医療とマイナンバー制度をテーマに、この分野の第一人者である山本先生をお呼びして、講演を拝聴しました。医療にマイナンバーを使うのは、まだ、時期尚早であり、当面は、医療独自の番号(医療ID)が必要という、山本先生の主張です。
その後、各地域のネットワークの進捗状況の報告がありました。
Net4Uに関しては、今回は、過去3年間の、各職種毎のNet4Uアクセス状況を分析し、報告してきました。
この件に、関しては、別に報告したいと思います。
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山形県医師会ITフェア
日時:平成28年5月21日 14:00~16:45
会場:山形国際ホテル
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1、開会
2、挨拶
3、特別講演
「医療における番号制度」
一般社団法人 医療情報システム開発センター理事長
自治医大客員教授
山本 隆一 先生
持続可能な医療提供のために
税と社会保障の一体改革
医療ID,なぜ、マイナンバーでいけないのか
マイナンバー
原則、行政手続き以外に使えない
年金、労働、福祉医療、税(現在、主に使われている)
国民ID:海外では普及している、遅れた日本
複雑なシステム
マイナンバー制度の4つの要素
個人番号(マイナンバー)12桁
個人番号カード
情報提供ネットワーク
マイナポータル
マイナンバーとは
12桁
給与、謝金、配当などを支払う側は個人番号を収集記録し、源泉徴収税の支払に添付する
個人番号カードとは
住基カードの後継
本人確認の証明書を格納
写真付きの官製身分証明書
裏面に個人番号を記載
当面無料
配布:現在、900万枚
情報提供ネットワーク
日本には、多くの番号制度がある
マイナポータル
共通認証基盤の入り口
例:電子お薬手帳、
医療介護情報への展開
医療等IDの検討体制
保険証の代わりに使う →3師会反対
医療IDのユースケース
NDB,がん登録、特定健診などのDBを必要に応じて、セキュリティーを確保した上でつなげる。
保険証の即時資格確認
地域医療連携を超えた情報の共有
4、各ネットワークの事例発表
1)各ネットワークの状況について
山形県医師会情報広報委員会医院 山田 昌弘
ちょうかいネット、Net4U、OKI-net、もがみネット、べにばなネットの運用状況のアンケート調査報告
ID-Link導入費用:初期費用:2000万、維持費:100万、更新:500万/5年
ネットワークを超えた連携は、病病連携に限られる
課題:緊急時対応、セキュリティー
2)OKI-netの現況について
高橋胃腸科外科医院院長 高橋秀昭
長井、南陽、置賜で、協議会を設立
在宅医療における多職種連携は今後の課題
WEB会議システムを導入中 退院前カンファレンスでの利用を期待
3)電気・水・ちょうかいネット
さとう内科クリニック院長 佐藤 顕
ちょうかいネットは、生活インフラのひとつである
健診データも、今後閲覧可能となる予定
医師の所見を公開することこそが有用
・医師の記録より、看護記録が有用ではないか
・医師の所見の開示に関しては、記録の質の担保が必要(読むに堪えない記録もある)
・ちょうかいネットは、医療・介護連携には向かない
4)在宅医療・介護連携におけるNet4U活用の現状
三原皮膚科院長 三原一郎
2013-15年間の各職種毎のNet4U利用状況について報告
課題は、医師の参加、利用が減少していること!
・既読機能が医師へのプレッシャーになっていないか?
・医療情報ネットワークを普及させるのに国の政策誘導が必要と感じるか?
・強制力は必要だが、参加することの楽しさ、喜びも知って欲しいし、その努力は必要
5)病診連携とべにばなネット
山形市立済生館呼吸器内科長 岩渕 勝好
病院電カルを診療所へ開示する利点
受診を勧めたが受診しただろうか
検査結果を患者が戻る前に知りたい
入院した後の経過を知りたい
救急受診し入院となった場合の状況を知りたい
すでにある済生館病院と地域診療所とのネットワークとべにばなネットとの競合をどうするのか?
少なくともコストの負担は増える
6)もがみネットの現状について
県立新庄病院副院長 板垣 孝知
平成25年1月から新庄病院でも電カルが稼働開始した
閲覧施設は拡大している
7)山形大学における医療情報ネットワークの取り組み
山形大学大学院医学系研究科
生命環境医科学専攻医療政策学講座教授 村上 正泰