石川佳純・平野美宇ペアがハンガリー・オープンで期待通り優勝し、誠に喜ばしい。この頃の暗い世相に明かりを灯す快挙である。卓球王国の中国有力者が参戦していなかったものの、これでホップの弾みがついて、3月の世界選手権(釜山)でステップを踏み、7月の東京五輪で金にジャンプする道筋が整ったと言える。ただし、計画通り開催できればの話であるけれど、、、。
いつ感染して抵抗力を無くした老体を蝕むかもしれない世相であるだけに、刹那的にも明るい話題に酔いたい。『大江戸の飯と酒と女』(安藤優一郎著、朝日新聞出版)はタイトルだけでも気分が浮き立つ。さすがに憲法改正とやらに狂奔する謹厳実直、公正無私、李下に冠を正さない怪しげな安倍政権に逆らう新聞社系のジャーナリスティックな視点である。また桜を見る会の季節が近づき、エライヤッチャ、えらいやっちゃとお陰詣りのように意味もなく踊りまくりたい気分の時、格好の話題を提供してくれている。凡そ200年前の江戸後期にも、ハチャメチャな大飯食い・大酒飲み大会のブームが起きたそうである。私も老いてますます休肝日が作れずに困っているけれど、73歳にもなって五升入りのドンブリ鉢で1杯半(一升瓶7.5本!)を飲んだという天堀屋七右衛門さんの逸話を聞かされると、我がヘナチョコぶりに情けなくなる。
食べ物の話題では、江戸だけに蕎麦、寿司、天麩羅の隆盛話も面白いけれど、牛肉は欧化した明治になってのすき焼きからだろうと思っていたのに、意外や、江戸中期に彦根藩井伊家から将軍や幕閣に牛肉の味噌漬けを付け届けしていたそうである。それが今に残る近江牛ブランドの発祥だそうな。やはり地方特有の産物が賑わう多様性社会が人間生活を潤すなあ。
江戸の潤いと言えば、何を外しても吉原。伝達手段として瓦版を想像する江戸時代にもシティヘブンのような風俗情報誌が実はあったそうで、『吉原細見』という遊女紹介読本がベストセラーとなっていた。だけでは詰まらない話であるけれど、これを創刊したのが蔦屋重三郎だったのである。ネット宅配レンタルのTSUTAYAとの関係は知らないけれど、浮世絵の喜多川歌麿の作品を世に出したといえば必ず出てくる出版元の名前である。風俗情報誌編集長だけでは歴史に名を留めなかっただろうに、これで稼いで人脈を築き、西洋も見張る日本文化を隆盛にした功績は大きい。
この後にお待ちかねの遊女や飯盛女、出会い茶屋などの話に進むけれど、言うことを聞かない文部事務次官を尾行して地位を逐うくらい風俗に対する取り締まりが厳しい清廉潔白な安倍政権下では、いつでっち上げの微罪で処罰を食らうかもしれないので、ここら辺でお終い。
飯と酒
憂さ晴らしたき
暗き世に
女で敵逐ふ
桜のおとど
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