魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ホテイエソ

2024年02月07日 15時01分44秒 | 魚紹介

昨日はぶろぐを更新できず、ごめんなさい。今回はワニトカゲギス目・ホテイエソ科のホテイエソ。

ワニトカゲギス目の中でも、体が細長く、口が大きく、鋭い歯が生えているグループは、ひとによって解釈の違いが大きい。いくつかのグループをすべてひとつの科「ワニトカゲギス科Stomiidae」としていたり、逆にホテイエソ科・ワニトカゲギス科・ホウキボシエソ科・ミツマタヤリウオ科・トカゲハダカ科・ホウライエソ科の6科に分けたりしている。なお、Stomiidaeとひとまとめにしていても、6つの亜科に分けることが多い。

ホテイエソのヒゲ

下顎が湾曲しているのがホテイエソの特徴

ホテイエソ属は29種が知られているようだが、日本産の種は2種のみからなり、残念ながら日本にも分布するホテイエソ、ヒレグロホテイエソ以外の種の同定についてはよくわからない。西太平洋からは2019年にもう1種が新種記載されたが、おそらく日本にももっと多くの種がいると思うのだが。ホテイエソ属の特徴としては臀鰭起部は背鰭起部のほぼ下方にあることや、下顎が上顎よりも長く、上方に強く湾曲しているという特徴がある。種の同定としては胸鰭の鰭条数や、下顎先端のひげも重要な同定形質であるが、これらの特徴は深海から水揚げされるときに消失していることも多く、そのような意味でも同定が難しくなっているという現実がありそうだ。沖合の中層~深層を遊泳するメバチなどの胃内容物としても出てくることがあるが、やはり消化が進んでいる個体の同定は困難である。

なお、よく似ているカンテントカゲギス属は顎が湾曲しないので見分けることができる。なおカンテントカゲギス属については一切入手経験がない。どなたか入手可能でしたらご一報お願いいたします。

黒くて格好いい魚なのだが、食の情報はほぼない。もっとも、食用になるほど漁獲されることはないし、もし漁獲されても珍しい魚とされる種である本種は、標本にされることが多いだろう。今回は一夜干しにして、焼いて食べたが、どうも同じような「腹鰭が後方にある魚」に近いような味がした。

「ヘンテコ深海魚便」のホテイエソ?

「ヘンテコ深海魚便」ホテイエソ?の下顎ひげ

さて、ここからが難関。2022年の漁期に「へんてこ深海魚便」青山沙織さんからホテイエソの仲間がとどいた。下顎の先端に大きな白色体を有していて、その先が伸びていなかったのだが(写真は見にくいのだが)、顎は湾曲しているし、まあホテイエソだと思っていた。しかしながら...

「ヘンテコ深海魚便」のホテイエソ?の胸鰭

ホテイエソにはないとされている胸鰭がしっかりあった。いったいなんだろう。ただ鰭条数の確認はできなかった。日本産のホテイエソ属魚類ではヒレグロホテイエソに1軟条の胸鰭があるとされている。しかし、下顎にあるひげの様子は大きく異なっているようである。結局同定不可であり、種も不明のままだったので、福岡県の「動脈」さんのところへ送った。彼ならばしっかり見てくれるだろう。今回のホテイエソは長谷川大樹さん、青山沙織さんより。いつもありがとうございます。


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