魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カタホウネンエソ

2022年10月21日 19時14分35秒 | 魚紹介

今日は色々あり、ホウネンエソの仲間を紹介しなければいけないということで、ワニトカゲギス目・ムネエソ科・ホウネンエソ属のカタホウネンエソ。

ホウネンエソの仲間は従来あまり縁のないグループであったが、「ヘンテコ深海魚便」のおかげで、一般家庭にも手に入るような存在になった。今回入手したカタホウネンエソは、ヘンテコ深海魚便の中に入ってやってくるワニトカゲギス目の魚の中でももっとも多く見られるものといえる。日本にはムネエソ科の魚の仲間が18種ほどいるが、このホウネンエソ属の魚は8種類。駿河湾にはノコバホウネンエソ、ホシホウネンエソ、スルガホウネンエソ、ミツユビホウネンエソ、そしてこのカタホウネンエソの5種が知られている。日本産ムネエソ科魚類はキュウリエソ亜科と、ムネエソ亜科というふたつの亜科に分けられるが、深海魚を紹介する図鑑でお馴染みなのはムネエソ亜科のほうである。

カタホウネンエソの特徴はこの大きな棘。後側頭骨棘と呼ばれるもので、この棘が数本に枝分かれしているのが特徴で、ホシホウネンエソなどと見分けられる。また、写真にある黒い横帯(背鰭前黒色帯)の先端が細くとがっているのも特徴。これによりマルホウネンエソと見分けることができる。ノコバホウネンエソは尾柄下縁に鋸歯があるのに対し、カタホウネンエソは見られないことにより区別することができる。

水深200~300mほどの海底を大きな群れで泳いでいるらしく、一つの網で数百匹入ることもあるようだ。このときは100匹以上が一つのジップロックの中に入っていた。この仲間は太平洋側の中~深層を遊泳している。ハダカイワシのように夜間に浅いところへ浮上するのかは不明。普通は食用にならないムネエソの仲間なので、生態の調査はどうしても遅れてしまいがちである。

カタホウネンエソは唐揚げや素揚げで食した。かなり美味しい。ただし後側頭骨棘が大きく、食べるときに邪魔になりやすい。たくさんの個体がいると大変だが、あらかじめ棘をハサミなどでとっておくとよいだろう。食すると意外とキュウリウオ科(ワカサギの仲間)のような味がする。ワカサギにも、カタホウネンエソにも脂鰭がある。祖先を共有しているのだろうか。

今回のカタホウネンエソは沼津市戸田の青山沙織さんから送っていただいたもの。いつもありがとうございます。

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