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明知故犯

2024年01月13日 20時39分44秒 | フィギュアスケート

 「明知故犯」という単語をGoogle検索すると、許美静(メイビス・ヒー)の名曲「明知故犯」がヒットする。中国語の意味は「悪いと知っていながら敢えてする」。以前、織田信成選手のフリーについて書いた投稿でこの単語を使った。「3回転以上のジャンプを2回跳ぶ場合、少なくとも1回はコンビネーションかシークエンスにしなければならない」が、敢えて2本とも単独で跳ぶことがあるのをそう表現した記憶がある。
 ヨーロッパフィギュアスケート選手権2024男子フリーで、アダム・シャオ・イム・ファがバックフリップ(後ろ宙返りジャンプ、いわゆるバク宙)を行った。危険な動きとして禁止されているので2点減点されたが、総合276.17で優勝。
 なんで減点されると知りながら競技会でやった 日刊スポーツの記事によると11月にインタビューでバックフリップを組み込む理由について語っている。(以下引用)
 「我々のスポーツが限界を超えるのをプッシュする1つの方法だと思う。当然、初心者に『バックフリップ、あるいは4回転アクセルをしてください』とは言わない。アスリートには準備が必要。バックフリップについても進め方は同じ。床で練習する、技術的な習得をする、すべて安全である状態にするには時間が必要です。(導入は)このスポーツにたくさんの新しいこと、多様性をもたらすことができる。そのおかげで、すでに美しいこのスポーツがより美しくなり、より劇的になる。さらにそれは、何人かのスケーターが、個性的なタッチを入れることを可能にする」(引用終わり)
 きちんと段階を踏んで練習すれば、安全に行える技術として習得できると言いたいようだ。側転系の動作は許されるようになっているし、選手たちの技術が向上すれば問題ないと考えているんだろうか。
 さっそくネット上で波紋を呼んでいる。日本のフィギュアスケートファンの反応は、概ね否定的のようだ。「危険だから禁止されているのに」「氷に大きな穴を作る可能性があり、それは次に滑る選手にとって危険」という意見。また「減点されても余裕で勝てる点差だからやったのは、他の選手たちに失礼」「グランプリファイナルでやっていない」「世界選手権でやるのか?」等、競技に取り組む態度として問題を感じる人も。「即、失格にすれば」減点2点では甘いか
 観客を楽しませるためにやった、と本人は言っているようだが、「みんなが楽しいと思うわけではないこと、不快に思うファンもいること、競技の場と、エキシビションやショーの場では、同じファンでも感じ方が違うこと、などをわかってもらいたい」というmixiの書き込みに、私も賛同する。
 今回のフリー、ジャンプの着氷姿勢が少しずつ前かがみで、あまり美しくなかった。インタビューでこのスポーツを美しくしたいという気持ちを語っているが、そう思うならジャンプをプログラムの中で完璧に跳んで下りて、表現の一部となるようにしてほしいと思う。

 バックフリップといえば、長野オリンピックの女子フリーでスルヤ・ボナリー(フランス)が行ったのが印象に残っている。
 またミーシャ・ジーは男女シングルとペアでボーカル入りの曲が認められていなかった時期に、ルールに抵触する可能性をふまえつつ、ボーカル入り(はっきりした歌詞がないもの)を使っていたことがある。後にボーカル入り音楽は使用可能になった。
 はたして、シャオ・イム・ファは世界選手権でもバックフリップをやるのか? もしやったら観客はどんな反応をするだろうか(ブーイングされたりして)。今後も注目


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