遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

竜馬がゆく 三巻

2008-12-09 22:55:05 | 読書
竜馬、勝海舟に弟子入りしました。まだ半分にもきていません。

この三巻での時代背景は、尊王攘夷で日本が狂気の中にいた頃です。人斬り以蔵らが暗躍して佐幕派開国派を殺せば攘夷が達成できると信じ込んでいて、その度が過ぎて幕府が新撰組などを組織することになります。どちらも殺し屋集団で日本のためになんにもならなかった連中です。多くの攘夷派は狂信的でしたが、その中で長州の桂や薩摩の大久保、西郷らはその狂気にのめり込むことなく、新政府は開国して新しい国家を築き上げます。その間『神州日本』の狂信は表舞台から引き下がることになって、昭和に再び復活。世界を相手にした愚かな戦争をおっぱじめることになると司馬氏は三巻の中で分析していました。今でも変な右翼思想はありますが、それよりも卑近な例として『一本をとる柔道』というような日本人らしい無意味な思い込み+信じ込み+決め込み思想があります。あくまでも彼ら自身のマスターベーションでしかないのですが、オリンピックのような場でそれを実践してしまって逆に一本負けで惨めな負け方。泣きながら引退を表明する羽目になったりしました。別に勝てるならポイント勝ちで十分なのにな。日本流の柔道がそんなに素晴らしいなら柔道を国際化しなかったら良かったのに。まあ、身近なところに小さな『攘夷』的思想が日本人には残っていて、自分も投資はしているのにアメリカ流の金融経済が破綻すると大喜びで否定したり、外国に行ったらそこのものを嬉しそうに食うのに輸入された外国の食べ物は危険だという報道に無条件でうなづいたりしてしまうわけです。

本筋とは違いますが、僕が長年不思議に思っていた疑問がこの三巻で解決しました。土佐に帰省して墓参りに行くと墓石にきざまれた名前にはやたらに動物の字が入ってるんですな。司馬氏によると、これは土佐の風習で動物の精気を受けて子供が丈夫に育つようにという土俗信仰からきているそうです。坂本龍馬に限らず、後藤象二郎や吉村寅太郎、馬場辰猪等が有名ですね。僕の父方の祖父の名には『熊』、祖母の名には『鶴』の字が入っています。父の名には『雄』が使われていますが、これも同じ流れで動物の字として入っているのかもしれません。

本日のお酒:KIRIN 一番搾り + 谷泉 袋どり生原酒 吟醸生
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